新NISAで使う金融機関を翌年から変更したい場合、その手続きは前年の10月1日から受け付けられます。秋は、積立の中身や置き場所をまとめて点検しやすい時期です。

ひとりの家計や将来のお金を見直すとき、「もう40代。今から始めても遅いのでは」——資産形成に、そんなためらいを感じることもあるかもしれません。

まずは、同世代のひとり暮らしがどれくらい貯めているのかを、年代別に平均と中央値から確かめてみましょう。そのうえで、新NISAで「今から」始める意味を考えます。

今回は、30〜50歳代のおひとりさま(単身世帯)の平均貯蓄額と中央値を確認し、金融庁のNISA活用事例から「続け方」をみていきます。

LIMO編集部貯蓄解説班

「今から始めても遅い」と感じて手が止まる方は少なくありません。けれど資産形成で効いてくるのは、毎月の金額よりも、運用にさらす「年数」です。少額でも早く始めて長く続けたほうが、あとから多めに入れるより結果につながることもあります。

まずは無理なく出せる額で、何年続けられるかを考えてみてください。

なお、年代別の貯蓄額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認
【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認
ココがポイント
  • 30〜50歳代おひとりさまの平均貯蓄額は501万〜999万円、中央値は100万〜120万円
  • 新NISAの活用事例——月5万円を20年で元本1200万円が年3%試算で約1634万円(金融庁)
  • 月3万円を40年(約2752万円)との比較でわかる「金額より年数」

1. 【30〜50歳代おひとりさまの平均貯蓄額】中央値はいくらか?

金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」から、単身世帯の金融資産保有額(平均・中央値)を年代別にみていきます。

まず、ここでいう「金融資産」が何を指すのかを、LIMOの記事「【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?」から引用して確認しておきましょう。

この調査における金融資産とは、預貯金に加えて株式や投資信託、生命保険などを指します。ただし、日常的に決済で利用する普通預金口座の残高は対象外です。

出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認

1.1 30歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)

おひとりさま30歳代の貯蓄額1/3

おひとりさま30歳代の貯蓄額

出所:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成

  • 金融資産非保有:32.3%
  • 100万円未満:14.2%
  • 100~200万円未満:14.2%
  • 200~300万円未満:4.9%
  • 300~400万円未満:4.3%
  • 400~500万円未満:2.8%
  • 500~700万円未満:5.5%
  • 700~1000万円未満:3.1%
  • 1000~1500万円未満:5.5%
  • 1500~2000万円未満:4.3%
  • 2000~3000万円未満:2.5%
  • 3000万円以上:3.4%
  • 無回答:3.1%
  • 平均:501万円
  • 中央値:100万円

出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認

30歳代のおひとりさまは、平均501万円・中央値100万円。金融資産を持たない人も32.3%います。始めた人とそうでない人の差は、これから開いていきます。

1.2 40歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)

おひとりさま40歳代の貯蓄額2/3

おひとりさま40歳代の貯蓄額

出所:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成

  • 金融資産非保有:32.1%
  • 100万円未満:15.1%
  • 100~200万円未満:7.1%
  • 200~300万円未満:5.9%
  • 300~400万円未満:4.3%
  • 400~500万円未満:2.2%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:4.6%
  • 1000~1500万円未満:6.2%
  • 1500~2000万円未満:1.2%
  • 2000~3000万円未満:2.8%
  • 3000万円以上:9.9%
  • 無回答:2.5%
  • 平均:859万円
  • 中央値:100万円

出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認

40歳代は平均859万円・中央値100万円。平均だけが伸びるのは、3000万円以上を持つ人が9.9%と、30歳代の3.4%から大きく増えるためです。金融資産を持たない人も32.1%と、3人に1人ほどの水準が続きます。

1.3 50歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)

おひとりさま50歳代の貯蓄額3/3

おひとりさま50歳代の貯蓄額

出所:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成

  • 金融資産非保有:35.2%
  • 100万円未満:10.1%
  • 100~200万円未満:7.4%
  • 200~300万円未満:4.6%
  • 300~400万円未満:2.7%
  • 400~500万円未満:3.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:4.6%
  • 1000~1500万円未満:6.0%
  • 1500~2000万円未満:3.3%
  • 2000~3000万円未満:5.5%
  • 3000万円以上:10.4%
  • 無回答:1.9%
  • 平均:999万円
  • 中央値:120万円

出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認

50歳代は平均999万円・中央値120万円。金融資産を持たない人が35.2%と、30歳代・40歳代より高くなっています。その一方で、2000万円以上を持つ人も15.9%(2000~3000万円未満5.5%+3000万円以上10.4%)。蓄えの差がもっとも大きい年代です。

どの年代も平均が中央値を大きく上回り、実感に近いのは中央値のほうです。

LIMO編集部貯蓄解説班
30〜50歳代のおひとりさまは、金融資産を持たない人が3割前後を占め、平均と中央値の差も大きい年代です。中央値が100万円台にとどまるということは、多くの人がまだ「これから」の段階だということでもあります。次のページでは、新NISAは「金額より年数」という考え方をみていきます。

2. 【試算】中央値100万円から、65歳までに1000万円を目指すなら月いくら必要か

30〜50歳代の中央値は100万〜120万円でした。この金額を出発点に、65歳までに1000万円を用意するには毎月いくら積み立てればよいのか、年齢別に試算しました。

すでにある貯蓄も同じ利回りで運用し続けるものとし、利回りは年3%で固定して計算しています。複利の考え方は金融庁「つみたてシミュレーター」と同じで、月利は「(1+年利)の12分の1乗-1」として求めました。100円未満は四捨五入しています。

2.1 65歳で1000万円にするために必要な毎月の積立額(年3%で運用できた場合)

  • 30歳・貯蓄100万円(残り35年):月約9800円(いまの100万円は約281万円に育つ想定)
  • 40歳・貯蓄100万円(残り25年):月約1万7800円(同じく約209万円に)
  • 50歳・貯蓄120万円(残り15年):月約3万5900円(同じく約187万円に)

30歳なら月1万円弱で届く計算ですが、50歳になると必要額はその3.6倍に膨らみます。差を生んでいるのは収入でも意志の強さでもなく、残された年数です。

もっとも、この数字は「だから50歳では手遅れ」という話ではありません。50歳から15年でも、月3万6000円を続ければ1000万円には届きます。裏を返せば、今日が一番早いということです。

なお、年3%という利回りはあくまで一律に置いた仮定であり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。

3. 新NISAは「金額より年数」——月5万円を20年の試算

蓄えを増やす手段のひとつが、税制優遇のある新NISAです。金融庁が示すNISAの活用事例に、一定期間、少し多めの金額で積み立てるパターンがあります。つみたて投資枠で、月5万円を20年間続けるという設定です。

3.1 新NISAのつみたて投資枠で月5万円を20年

投資元本は月5万円×12カ月×20年で1200万円(手数料は除く)。運用利回りが一律で年3%だった場合、元本と運用損益を合わせて約1634万円、投資元本の約1.4倍と示されています。

3.2 「金額より年数」——老後資金は早く長く

ここで同じ事例集の別パターンと比べてみましょう。月3万円を40年続けるパターンは、元本1440万円で約2752万円、約1.9倍です。元本の差は240万円ほどなのに、増えた額は大きく開きます。

裏を返せば、金額を上げることよりも、運用にさらす「年数」のほうが結果に効いてくるということ。「多めに入れているから大丈夫」と思いがちですが、期間の短さは金額では埋めきれません。

ただし年3%はあくまで一律で置いた仮定で、将来の運用成果を保証するものではありません。手数料等も考慮されていません。投資には元本割れのリスクがあり、金融商品や投資方法などによってリスクは異なります。

先に決めるのは金額ではなく、続けられるかどうかです。

4. 【試算】元本が同じ360万円でも、「月1万円×30年」と「月3万円×10年」でこれだけ違う

「年数が効く」という話を、投資元本をそろえて確かめてみましょう。どちらも積み立てる総額は360万円、利回りは年3%で固定した場合の試算です。1000円未満は四捨五入しています。

4.1 投資元本360万円・年3%で運用できた場合の最終金額

  • 月1万円を30年続けた場合:約579万円(運用益は約219万円)
  • 月3万円を10年続けた場合:約418万円(運用益は約58万円)

出したお金は同じ360万円なのに、差は約161万円。毎月の金額を3倍にしても、期間が3分の1では追いつかないということです。

積立額を小さくしたときにどこまで効果が期待できるのかは、LIMOの記事「「月5000円」でも効果は期待できるのか、積立投資をシミュレーションしてみた」でも検証されています。

この試算も一定の利回りを前提に置いたものであり、実際の運用成果を保証するものではありません。

5. おひとりさまが今日から始められる3つのこと

30〜50歳代おひとりさまの貯蓄は、平均で30歳代501万円・40歳代859万円・50歳代999万円、中央値は100万〜120万円でした。中央値でみれば、多くの人は「これから」の段階です。

一つ目は、投資より先に「生活防衛資金」を確保すること。ひとり暮らしは頼れるのが自分の蓄えだけなので、生活費の半年〜1年分をすぐ動かせる預貯金で持っておきます。

二つ目は、少額でも早く、長く続けること。金額の大きさより年数が効きます。月1万円でも、始めて続けることに意味があります。

三つ目は、収入が増えたら積立額を上げること。昇給や臨時収入の一部を、生活費に溶かす前に積立へ回す。この一手間で、年数の効果に金額の効果も足せます。

LIMO編集部貯蓄解説班

老後資金づくりでよく語られるのが、退職金というまとまったお金を受け取ってから運用を始める形です。ただ、大きな金額を一度に投じると、その直後の値動きに結果が左右されやすくなります。時間をかけて少しずつ積み立てておくほうが、買う時期が自然に分散され、値動きに振り回されにくくなります。

30〜50歳代のいまは、その「時間」をまだ長く使える時期です。金額は少なくてかまいません。まず生活防衛資金を預貯金で確保し、そのうえで無理なく出せる額を新NISAなどで積み立てる。収入が増えたら早めに積立額を上げる。この順番なら、ひとりの家計でも着実に前へ進めます。

ただし投資には元本割れのリスクがあり、短期には値下がりする年もあります。あくまで無理のない範囲で続けることが、いちばんの近道です。

6. まとめにかえて

今回は、30〜50歳代おひとりさまの平均貯蓄額(30歳代501万円・40歳代859万円・50歳代999万円)と中央値(100万〜120万円)を確認しました。実感に近いのは中央値のほうで、多くの人は「これから」の段階です。

そのうえで、新NISAの活用事例では、月5万円を20年で元本1200万円が年3%の試算で約1634万円、月3万円を40年なら約2752万円と示されています(いずれも仮定であり、成果は保証されません)。金額より「年数」が効くことがわかります。

今日からできることは3つです。まず、投資より先に生活費の半年〜1年分を「生活防衛資金」として預貯金で確保すること。次に、少額でも早く始めて長く続けること。そして、収入が増えたら積立額を上げること。

投資には元本割れのリスクがある点を踏まえ、無理のない額から、自分のペースで始めていきましょう。

参考資料

LIMO編集部貯蓄解説班