4. 個人向け国債に「税制優遇」の動きが出ている
ここまでは現行制度での比較でしたが、個人向け国債をめぐっては、税制面での優遇を検討する動きが出ています。
片山財務大臣は2026年8月25日の記者会見で、個人向け国債のNISA化や税制優遇措置について「いろいろなご意見やご提案がある」としたうえで、個人向け国債の魅力向上に向けて商品性の見直しと新商品の設計を急いでいると説明しました。
政府が2026年7月21日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針2026)」でも、個人向け国債の魅力向上による国内投資家層の拡大を図ることが明記されています。背景には、日本銀行が金融政策の正常化にともなって国債の保有を減らすなかで、国債の買い手を多様化したいという事情があります。
報道によれば、財務省と金融庁は2027年度の税制改正要望に、個人向け国債をNISAの対象に加えることや、相続税を減免することなどを盛り込む方向で検討しています。ただし、片山財務大臣も会見で触れているとおり、多額の国債を保有する高所得者の優遇につながらないか、貯蓄から投資への流れとどう整合性を取るかなど、論点は複数あります。相続税の減免案については、他の相続財産との公平性を欠くのではないかという慎重論も出ています。2026年8月時点では、これらの優遇措置はまだ決定しておらず、年末の税制改正大綱に向けて今後議論が進む見通しです。
定期預金と個人向け国債の比較まとめ2/2
出所:財務省、預金保険機構、各行公表情報等をもとにLIMO編集部作成
現時点では、定期預金・個人向け国債とも利子・利息にかかる税金は20.315%で変わりません。もし個人向け国債がNISAの対象になれば、この税負担がなくなる可能性があり、実質的な利回りに差が出てくることになります。
個人向け国債のNISA化はまだ検討段階であり、実現するかどうか、実現するとしてどのような制度になるかは、今後の税制改正の議論次第です。「優遇が始まってから慌てて乗り換える」という選択肢もありますので、今すぐ結論を出す必要はありません。
それよりも、まずは今の金利水準で、ご自身の資金をどの期間・どの目的で置いておきたいのかを整理しておくことが大切です。制度の行方は、今後もニュースなどで継続的に確認していくとよいでしょう。
5. まとめ
2026年8月時点では、個人向け国債の金利(年1.71〜2.06%)は、多くの定期預金の金利(メガバンクで年0.50%程度)を上回っています。また、個人向け国債は発行後1年を経過すれば元本割れせずに中途換金できる点も特徴です。一方、定期預金は中途解約すると金利が大きく下がる銀行が多く、資金をいつ使う予定があるかによって選び方が変わってきます。
個人向け国債へのNISA対象化・相続税減免といった税制優遇は、2026年8月時点ではまだ検討段階です。制度が実際にどう変わるかは今後の税制改正大綱を待つ必要があり、本記事の内容も検討状況の進展にともなって変わる可能性があります。実際に資産の置き場所を決める際は、最新の金利や制度の内容を各金融機関や財務省の公式サイトで確認し、必要に応じて金融機関の窓口や税理士などの専門家にも相談することをおすすめします。
参考資料
- 財務省「片山財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和8年8月25日)」
- 財務省「個人向け国債窓口トップページ」
- 内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2026」
- 金融庁「預金保険制度」
- 三菱UFJ銀行「円預金金利」
- あおぞら銀行「金利一覧」
LIMO編集部貯蓄解説班
