財務省の片山財務大臣は、2026年8月25日の記者会見で、個人向け国債の商品性の見直しと新商品の設計を急いでいると述べました。

背景にあるのは、個人向け国債にNISA(少額投資非課税制度)のような税制優遇を設けるかどうかの検討です。

金利が上昇し、定期預金も個人向け国債も以前より魅力的な水準になっているなかで、もし個人向け国債に税制優遇が加われば、資産の置き場所として選ばれやすくなるかもしれません。

この記事では、2026年8月時点の金利水準をもとに、定期預金と個人向け国債のメリット・デメリットを整理します。

ココがポイント
  • 2026年8月時点、個人向け国債の金利は年1.71〜2.06%で、メガバンクの定期預金(年0.50%)を上回る
  • 定期預金は中途解約すると金利が大きく下がるが、個人向け国債は発行後1年経過すれば元本割れせずに換金できる
  • 個人向け国債へのNISA対象化や相続税減免が検討されているが、2026年8月時点ではまだ決定していない

1. 金利で比べる、定期預金と個人向け国債(2026年8月時点)

まずは、実際の金利水準を確認します。

定期預金と個人向け国債の金利水準(2026年8月時点の一例)1/2

定期預金と個人向け国債の金利水準(2026年8月時点の一例)

出所:財務省、三菱UFJ銀行、あおぞら銀行の公表情報をもとにLIMO編集部作成

メガバンクの定期預金(1年もの)は年0.50%です。ネット銀行の中には、あおぞら銀行のBANK The 定期(1年もの)のように年1.20%を提示しているところもあり、同じ定期預金でも金融機関によって水準に差があります。

一方、2026年8月募集分の個人向け国債は、固定3年が年1.71%、変動10年が年1.87%、固定5年が年2.06%です。いずれのタイプも、多くの定期預金より高い金利になっています。ただし、個人向け国債の金利は毎月の募集ごとに見直されるため、今後も同じ水準が続くとは限りません。

2. 安全性は?元本保証のしくみを比較

金利だけでなく、資産の安全性も比較しておきたいポイントです。

定期預金は、預金保険制度(いわゆるペイオフ)によって、1つの金融機関ごとに預金者1人当たり元本1000万円までとその利息が保護されます。1000万円を超える部分は、金融機関が破綻した場合に全額が戻らない可能性があります。

個人向け国債は国が発行する債券であり、預金保険制度の対象ではありませんが、国が元利金の支払いを行うという意味で信用力の高い金融商品とされています。また、発行から1年が経過すれば中途換金が可能で、その際も額面金額どおりに買い取ってもらえるため、元本割れが生じないしくみになっています。中途換金時には直前2回分の利子(税引前)相当額に0.79685を掛けた金額が差し引かれますが、これは受け取り済みの利子にかかる税金相当分の調整であり、元本そのものが目減りするわけではありません。

3. 中途で解約・換金したくなったら?

ライフイベントなどで、途中でお金が必要になることもあります。この場合の扱いも、定期預金と個人向け国債では異なります。

定期預金を満期前に解約すると、当初の約定利率ではなく、中途解約利率という低い利率が適用されます。例えばあおぞら銀行のBANK The 定期の場合、1年ものの約定利率は年1.2%ですが、中途解約利率は年0.1%です。せっかくの高い金利のメリットが、途中解約によってほとんど失われてしまう点には注意が必要です。

個人向け国債は、発行後1年を経過していれば、1万円単位でいつでも中途換金できます。前述のとおり、直前2回分の利子相当額は差し引かれますが、元本部分は保たれます。発行から1年未満は原則として換金できない点(大規模な自然災害の被災者や保有者本人が亡くなった場合を除く)は、あらかじめ理解しておく必要があります。

和田 直子

「金利が同じくらいなら、いつでも自由に引き出せる定期預金の方が安心」と考える方も多いと思います。ただ、実際に中途解約すると金利がほぼゼロに近い水準まで下がってしまう銀行も少なくありません。

近い将来に使う予定があるお金は定期預金や普通預金に、しばらく使う予定のないお金は個人向け国債にというように、資金の性格によって置き場所を分けて考えると、金利の高さだけで選ぶよりも失敗しにくくなります。