3. 法定後見を利用するまでの流れ

実際に使うとなると、どこから動けばよいのでしょうか。

3.1 相談先は市区町村と家庭裁判所

厚生労働省によると、市区町村に設置されている中核機関や地域包括支援センター、社会福祉協議会、成年後見制度に関わっている専門職の団体などの地域の相談窓口で、あらかじめ相談ができます。

手続の流れや必要な書類については、家庭裁判所でも案内を受けられます。申立てには申立書などの書類や申立手数料などの費用が必要で、来庁の日時を電話で予約する家庭裁判所もあります。

3.2 申立てから審判まで

申立てのあとは、裁判所から事情を尋ねられることがあります。本人の判断能力について鑑定を行うこともあり、その場合は別途費用がかかります。

後見等の開始の審判をすると同時に、成年後見人等が選任されます。診断書の作成にあたっては、本人の家庭的・社会的状況等を医師に伝えるための「本人情報シート」が使われます。これはソーシャルワーカーなど、本人の身近なところで職務上の立場から支援している人が作成することが想定されています。

4. 選任されたあとに続くこと

後見人が決まれば終わり、というわけではありません。

4.1 財産目録と収支予定表の提出

成年後見人等は、選任後原則として1か月以内に、本人の財産や生活の状況を確認して、財産目録および収支予定表を作成し、家庭裁判所に提出します。

さらに、原則として少なくとも年に1回、本人の生活や財産の状況などの報告を求められます。家族が後見人になった場合も、この報告は同じように必要です。

4.2 やめたいときにどうなるか

法定後見が始まったあとで制度の利用をやめられるかどうかは、法務省のQ&Aでも項目が設けられている論点です。本人の状態が回復した場合など、条件があります。

始める前に、続くことを前提に考えておく必要があります。誰が後見人になるのか、報告を誰が担うのかまで含めて、家族で話しておきたいところです。

5. 元気なうちにできること

判断能力が下がってからでは選べない手があります。

5.1 任意後見は契約が前提

任意後見は、判断能力があるうちに契約を結んでおく制度です。誰に何を任せるかを自分で決められる代わりに、あとから慌てて使うことはできません。

契約には公正証書が必要で、費用もかかります。全国の公証役場が窓口になります。

5.2 口座の整理から始める

制度を使う前の段階でできることもあります。使っていない口座を整理する、家族に取引のある金融機関を伝えておく、といったことです。

どこに何があるか分からないまま判断能力が下がると、探すところから始めることになります。財産目録を作る場面でも、この整理が効いてきます。まずは市区町村の地域包括支援センターや中核機関に相談してみてください。

6. まとめにかえて

成年後見制度は、財産管理と身上保護の2つを法的に支える仕組みです。すでに判断能力が低下している場合は法定後見、これから備える場合は任意後見という入口に分かれます。

法定後見は家庭裁判所への申立てが入口で、相談、申立て、調査、審判という段階を踏みます。選任後は原則1か月以内に財産目録と収支予定表を提出し、その後も年1回以上の報告が求められます。

任意後見は判断能力があるうちにしか契約できません。元気なうちに口座を整理し、家族と話しておくところから始めてみてください。

参考資料