10月は、人によっては年金から引かれるお金が変わることがある月です。その年度の保険料が確定して調整が入るため、振込額が前回と違っていることがあります。物価の上がり方も落ち着かないなかで、ひとり暮らしの家計はどうなっているのでしょうか。
65歳以上でひとり暮らし、そして無職の世帯では、毎月およそ3万円が足りていません。この記事では単身世帯の家計収支と2026年度の年金額、そして働き方によって年金がどれくらい変わるのかを確かめたうえで、亡くなったあとに残る年金の話まで整理します。
なお、65歳以上世帯の家計収支や2026年度の年金額、ライフコース別の年金額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 65歳以上の単身無職世帯は実収入13万1456円に対して支出16万1435円。毎月2万9980円の不足
- 2026年度の国民年金は満額で月7万608円。厚生年金の標準的な夫婦2人分は月23万7279円
- 亡くなった月分までの年金は「未支給年金」として遺族が受け取れる。請求の時効は5年
1. 【65歳以上】ひとり暮らしの高齢世帯は毎月2万9980円の赤字。収入13万円台という現実
まず、65歳以上でひとり暮らし、無職という世帯の家計を見ておきます。総務省の家計調査から、収入と支出の平均が示されています。
65歳以上の無職単身世帯では、実収入13万1456円(うち社会保障給付12万212円)に対し、支出は消費支出14万8445円と非消費支出1万2990円を合わせて16万1435円。毎月2万9980円が不足している計算になります。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
収入13万1456円のうち、12万212円が年金などの社会保障給付です。つまり、ほぼ年金だけで暮らしている世帯像だといえます。それに対して支出は16万1435円。差し引き2万9980円が毎月足りません。1年で36万円ほど、10年で360万円ほどを貯蓄から取り崩す計算になります。
夫婦世帯なら家賃や光熱費を二人で分け合えますが、ひとり暮らしではそうはいきません。人数が半分になっても支出は半分にならない、というところが単身世帯の厳しさです。まずはご自身の家計で、この不足額がいくらになるかを確かめておきたいところです。
2. 2026年度の年金額はいくら?国民年金は満額でも月7万608円
では、その収入の柱になる年金は2026年度でいくらなのでしょうか。年金額は物価や賃金の動きを踏まえて毎年改定されます。2026年度は国民年金が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%の引き上げになりました。日本年金機構が公表している金額例は次のとおりです。
国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):7万608円(+1300円)
厚生年金(夫婦2人分):23万7279円(+4495円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
ここで先ほどの家計と並べてみてください。国民年金の満額は月7万608円です。単身無職世帯の支出16万1435円に対して、半分にも届きません。国民年金だけで暮らしていく前提なら、貯蓄の取り崩しか、働いて収入を足すか、住居費を下げるかという選択になります。
いっぽう厚生年金の23万7279円は夫婦2人分の金額です。ひとり分の目安として読むと過大になるので、この違いは押さえておきましょう。
3. 働き方で年金はここまで変わる!5つのライフコース別の月額
同じ制度に加入していても、受け取る額は現役時代の働き方で変わります。厚生労働省は2026年度に65歳になる人を想定して、加入履歴の類型ごとに5つの金額例を示しました。
男性・厚生年金期間中心(平均厚生年金期間39.8年・平均収入50万9000円):年金月額17万6793円(基礎年金6万9951円+厚生年金10万6842円)
男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心(同7.6年・36万4000円):年金月額6万3513円(基礎年金4万8896円+厚生年金1万4617円)
女性・厚生年金期間中心(同33.4年・35万6000円):年金月額13万4640円(基礎年金7万1881円+厚生年金6万2759円)
女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心(同6.5年・25万1000円):年金月額6万1771円(基礎年金5万3119円+厚生年金8652円)
女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心(同6.7年・26万3000円):年金月額7万8249円(基礎年金6万9016円+厚生年金9234円)
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
いちばん多い例と少ない例で、月に11万円以上の差があります。分かれ目は厚生年金にどれだけ長く、どれだけの報酬で加入していたかです。39.8年加入した例が17万6793円、7.6年の例が6万3513円。この差がそのまま老後の毎月に効いてきます。
単身世帯の視点で見ると、6万円台や7万円台の例は先ほどの支出16万1435円をまったくまかなえません。ひとり暮らしで年金が国民年金中心という組み合わせは、家計の余裕がもっとも小さくなります。自分がどの型に近いかを確かめて、足りない分をどう埋めるかを早めに考えておきたいところです。
ここまで、ひとり暮らしの高齢世帯の家計と、2026年度の年金額、そして働き方による差を見てきました。毎月2万9980円の不足という数字が、いちばん実感に近いのではないでしょうか。
その年金には、もうひとつ知っておきたい面があります。年金は2カ月ごとの後払いなので、受け取る前に亡くなると未払い分が残るのです。
次の章で、遺族が請求して受け取る「未支給年金」と、5年という時効について確認しておきましょう。

