4. 59歳の人が確認すべき3つのポイント

4.1 ①年金見込額(老齢基礎年金・老齢厚生年金)

ねんきん定期便(59歳:年金見込額)3/3

ねんきん定期便(59歳:年金見込額)

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まず確認したいのが、老齢基礎年金と老齢厚生年金それぞれの見込額です。前述のとおり、この金額は「現在の勤務条件のまま60歳まで加入し続けた」という仮定に基づく試算である点を踏まえて見ておきましょう。

4.2 ②全期間の加入記録(封書ならではの年金加入履歴)

封書にのみ記載される「年金加入履歴」では、これまでの全ての就労・加入記録(会社名、加入期間など)を確認できます。転職や結婚による姓の変更があった場合、記録が正しく引き継がれていないケースもあるため、漏れや誤りがないかを丁寧に確認しましょう。

なお、この履歴には「合算対象期間」という区分が表示されることがあります。これは年金額の計算には反映されないものの、老齢年金を受け取るために必要な加入期間(原則120月)としてはカウントされる期間で、任意加入していたのに保険料を納めていなかった月数などが該当します。

4.3 ③保険料の納付実績

保険料納付額(累計額)も確認しておきたい項目です。国民年金保険料の累計額には付加保険料も含まれます。また、表示されている厚生年金保険料は被保険者本人の負担分のみで、事業主が別途同額を負担している事業主負担分は含まれていません。未納期間や、過去に申請した免除・猶予期間がそのままになっていないかも、あわせてチェックしておきましょう。

和田 直子
ねんきん定期便に記載されている『加入月数』は、作成された日の前々月(届いた月の約4カ月前)時点の実績です。直近数カ月分の就労記録はまだ反映されていないタイムラグがあるため、数カ月のズレがあっても未納ではないので安心してください。

5. 見込額を見た後に考えたいこと

5.1 60歳以降の働き方で見込額はさらに変わる

繰り返しになりますが、定期便に記載された見込額は「60歳到達時点」までの計算です。

60歳以降も厚生年金に加入して働く場合、その分の受給額はさらに増えます。

5.2 額面と手取りの差も意識しておく

記載されている見込額は、税金や社会保険料が差し引かれる前の「額面」です。実際に年金を受け取る際には所得税・住民税や社会保険料が天引きされるため、一般的な目安として、手取りは額面の8割から8割5分程度になることを想定しておくとよいでしょう。ご自身の状況によって差し引かれる金額は変わるため、あくまで大まかな目安として捉えてください。

5.3 受給開始時期(繰上げ・繰下げ)も選択肢の一つ

老齢年金は原則65歳から受け取りますが、早める「繰上げ受給」と、遅らせる「繰下げ受給」を選ぶこともできます。繰上げ受給を選ぶと1カ月あたり0.4%減額され、繰下げ受給を選ぶと1カ月あたり0.7%増額されます。ご自身の働き方や資金計画に合わせて、受給開始時期をどうするかも検討材料になります。

和田 直子
額面の見込額をそのまま生活費の計算に使ってしまうと、実際に受け取れる金額とのギャップに戸惑うことになりかねません。まずは見込額に0.8〜0.85程度を掛けて、手取りベースでのおおよその金額を把握しておくことをおすすめします。そのうえで、想定する毎月の生活費と比較すれば、「毎月どれくらい不足しそうか」が見えてきます。繰上げ・繰下げの判断も、この不足額の見通しが立ってからのほうが、納得感を持って選びやすくなります。

6. 次にとるべき3つのアクション

確認と試算を終えたら、以下の3つのアクションに進みましょう。

6.1 ①記録漏れがあれば「年金加入記録回答票」を提出

年金加入記録に「もれ」や「誤り」があった場合は、35歳・45歳・59歳の封書に同封されている「年金加入記録回答票」に必要事項を記入し、返信用封筒で返送するか、お近くの年金事務所に提出します。

転職時の空白期間や旧姓時の記録漏れは、将来の受給額に直結するため、早めの確認・訂正が受給漏れを防ぐことにつながります。

6.2 ②「ねんきんネット」でシミュレーション

「ねんきんネット」に登録すると、ご自身でさまざまな条件を設定して、将来受け取る老齢年金の見込額を試算できます。60歳以降の再雇用による給与の変動や、繰下げ受給を選んだ場合の金額など、定期便に記載された条件よりも詳細な条件で見込額を把握できます。

なお、厚生労働省が提供する「公的年金シミュレーター」であれば、定期便の二次元コードをスマホで読み取るだけで、面倒な登録なしですぐに試算が可能です。「ねんきんネットの登録手続きは少し面倒そう……」と感じる方は、まずは手軽に試せるこちらから始めてみてはいかがでしょうか。

6.3 ③60代の資金計画を確定させる

見込額(手取り換算)と、想定する生活費を突き合わせたら、60歳から65歳までの生活費や資産の取り崩し計画を具体的に立てましょう。年金の受給が始まるまでの期間をどう乗り切るかを明確にしておくことが、老後の安心につながります。

和田 直子
会社員・公務員として厚生年金に加入してきた方は、60代も厚生年金に加入して働き続けるか、繰下げ受給を選ぶかが増額の主な選択肢になります。
一方、自営業やフリーランスで国民年金のみの方は、40年納付の満額に届いているかをまず確認し、届いていない場合は過去10年以内の免除分の追納や、60歳から65歳での任意加入、付加保険料の納付といった方法で穴を埋めることを検討できます。ご自身がどちらの立場に近いかによって、取るべき選択肢が変わる点も意識してみてください。

7. まとめ

59歳に届く「ねんきん定期便」は、封書という形式だけでなく、記載される年金見込額の性質も35歳・45歳とは異なる、老後の資金計画を考えるうえで重要な資料です。見込額はあくまで60歳まで今の条件で働いた場合の試算であることを踏まえたうえで、加入記録の確認、手取りベースでの試算、そして60代の資金計画づくりへと進めていきましょう。

参考資料

和田 直子