5. 50代・60代に多い「備えが増えすぎて貯まらない」への不安。ファイナンシャルアドバイザー・筒井亮鳳が伝えたいこと
日頃のご相談では、受け取れる制度がないかを調べることに時間をかける一方で、毎月出ていくお金には手をつけていない、というケースをよく見かけます。効果が早く出るのは、たいてい後者です。
5.1 50代・60代に多いお悩み相談は「備えが増えすぎて貯まらない」
必要だと言われるたびに保障を足していくと、気づいたときには保険料が家計を圧迫しています。年齢を重ねてからの見直しは難しいと考えて、そのままにしてしまう方も少なくありません。次のような声を耳にします。

制度を調べることも大切ですが、受け取れるかどうかは要件次第です。一方、支出の見直しは自分の判断で今日から効果が出ます。
5.2 【ファイナンシャルアドバイザー・筒井亮鳳が回答】支出に優先順位をつける考え方
優先順位は、必要性の高さではなく「起きたときの家計への影響」で決めると整理しやすくなります。ご相談のなかでは、次の三つの順序でお話しすることが多くあります。
5.3 ポイント1:公的制度でまかなえる範囲を確認する
一つ目は、「公的制度でまかなえる範囲を確認する」ことです。医療費には自己負担の上限を定める制度があり、介護には公的介護保険があります。ここを知らないまま民間の保障を積み増していると、重複が生じやすくなります。
5.4 ポイント2:起きたときに家計が壊れるものだけ残す
二つ目は、「起きたときに家計が壊れるものだけ残す」ことです。貯蓄で対応できる範囲の出費まで保険で備える必要はありません。備える対象を絞ることで、保険料は下がり、手元に残るお金は増えます。
5.5 ポイント3:削った分の行き先を決める
三つ目は、「削った分の行き先を決める」ことです。保険料を下げたぶんをそのまま生活費に溶かしてしまうと、家計の体質は変わりません。貯蓄や積立に振り向ける先を先に決めておきます。
なお、公的な給付や制度には受給要件があり、多くは申請しなければ受け取れません。ご自身が対象になるかどうかは、お住まいの自治体や年金事務所、加入している健康保険組合に必ずご確認ください。保険の減額や解約は、健康状態によっては元の条件に戻せない場合があります。
6. まとめ|「もらえるお金」を待つより、確実な支出削減から
年金生活者支援給付金は2026年度に前年度比+3.2%の増額となり、老齢は基準額どおりなら年額約6万7000円を受け取れます。ただし、これは所得などの要件をすべて満たし、かつ請求手続きをして初めて手にできる金額です。
今回の試算では、給付金の基準額(10年で約67万円)は保険料見直しの効果(10年で36万円)より大きいものの、給付金は「もらえるかどうか分からないお金」、支出削減は「今日から確実に効果が出るお金」という違いがあることを確認しました。
まずは支出の見直しに着手しながら、並行してご自身が年金生活者支援給付金の対象になるかを確認する。確実な方から先に手をつけることが、家計を早く安定させる近道です。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- 日本年金機構「65歳の誕生日を迎える方で、老齢基礎年金を新規に請求する方」
- 日本年金機構「Q.「支給金額変更通知書」(または「不該当通知書」)が届きました。なぜですか。」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金生活者支援給付金にかかる支給金額のお知らせの送付について」
- LIMO「2026年度「年金生活者支援給付金」金額・支給要件・手続きをまるっと整理《年金本体に上乗せ&非課税のダブルメリット》 9月から順次発送される「緑の封筒」は放置NG。物価高を乗り切るための対象要件と申請手順」
筒井 亮鳳
