5. 粗利は業種中央値より厚いのに、営業利益率は下回る。ROEの高さはどこから来るのか

もう一段、収益の作りに降りてみよう。

過去5期を振り返ると、売上高は2022年5月期の915億円から2026年5月期の1,301億円へ、営業利益は17億円から44億円へ増えてきた。ROE(自己資本利益率)は9.9%、15.7%、8.7%、10.8%、13.9%と上下しながらも、水準としては切り上がっている。

では収益の質はどうか。2026年5月期の粗利益は738億円で、売上に対する粗利率は56.7%になる。小売業252社の中央値は47.7%だから、これを大きく上回る。中古品を安く仕入れて売る商売だから粗利が厚い、という理解はここまでは正しい。

ところが営業利益率は3.4%で、小売業の中央値3.7%をわずかに下回る。厚いはずの粗利が、営業利益の段階では業種の真ん中より薄くなっている。

差を作っているのは販管費だ。販管費は694億円で、売上の53.4%に当たる。粗利の厚みを、ほぼそのまま販管費が食っている構造である。

では何が増えたのか。上期の国内ブックオフ事業では、人件費の増加は売上総利益の増加で吸収したものの、システム機器の更新やツール類の価格改定などでシステム関連費用が増えたと会社は説明している。3Q累計でも人件費等の販管費増加に触れている。

人手の厚みは数字にも出ている。従業員数は2022年5月期の1,488人から2026年5月期は1,964人へ増え、平均年間給与も708万円から753万円へ上がった。

店舗と人で商品を集め、値付けし、並べて売る。この一連の手間がそのまま費用として残るのがリユース小売の作りだ。高粗利と高コストは、同じビジネスの裏表と考えられる。

6. 資本効率の高さは、利益率ではなく回転と資本構成から来ている

2026年5月期のROEは13.9%で、小売業の中央値7.5%の倍近い水準にある。

ここで注意したいのは、この高さが利益率から来ていない点だ。純利益率は2.1%で、小売業の中央値2.4%を下回っている。

代わりに効いているのは回転と資本構成である。総資産回転率は2.1回で中央値1.48回を大きく上回り、自己資本比率は34.7%で中央値48.8%を下回る。薄い利益率を、速い回転と厚めの負債で持ち上げてROEを作っている、という読み方ができる。

自己資本比率が業種の真ん中より低いことを、そのまま財務の弱さと決めつけるのは早い。店舗と在庫で回る事業では、負債をどこまで使うかは資本効率の設計そのものだ。もっとも、負債を厚く使ってROEを高めた形である以上、利益率が崩れたときの振れ幅も大きくなる。そこは併せて見ておきたい。

在庫の重さには変化がある。棚卸資産の回転日数は136.7日で、2022年5月期の150.7日から短くなった。在庫が減らないビジネスという印象は、少しずつ薄れてきている。

還元の水準も置いておこう。配当性向は22.9%で小売業の中央値33.1%より低い一方、DOE(株主資本配当率)は3.0%で中央値2.3%を上回る。利益から配当に回す比率は控えめだが、資本に対する配当の水準は業種の真ん中より高い。稼いだ分の多くを事業に残している会社だ、と整理できる。

7. 筆者コメント

探索領域の売上構成比と、その利益寄与の薄さを並べて見ると、この会社の現在地が見えてくる。

深化領域が稼ぎ、その資金で探索領域を育てる。資本配分としては王道にして効く手だ。論点は、育成期間がどれだけ続くかである。

中期経営方針の最終年度は2028年5月期。残りの期間で探索領域が利益の柱に育たなければ、ポートフォリオの変革という言葉は、売上構成の変化にとどまってしまう。

私が気にしているのは増益の質だ。今回の伸びは、単価の高い商材が既存店で売れたことに支えられている。相場や流行に振られやすい商材でもあり、追い風が吹いた年の数字という側面は持っているだろう。

株価は昨秋から水準を変えた。だが変わったのは稼ぎ方の構造ではなく、稼ぎの水準だとみている。構造が変わるのは、探索領域が売上ではなく利益で語れるようになったときだ。

次の決算を見るときは、連結の増益率よりも、その利益がどちらの領域から出ているかに着眼することをおすすめしたい。

参考資料

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石津 大希