4. 【補足的老齢年金生活者支援給付金】所得82万円・納付420月で受け取れる額はいくらか
所得の基準をわずかに超えた人には、金額を段階的に減らしたうえで支給を続ける仕組みがあります。それが補足的老齢年金生活者支援給付金で、超過幅が大きくなるほど支給率は小さくなります。
前提は昭和31年4月2日以後に生まれた方(基準額80万9000円)です。保険料納付済期間420月、35年分を納めた人が前年の所得82万円だった場合を計算します。
4.1 【試算】35年分の納付で月4377円、年額では5万2524円
上限の90万9000円から所得を引いて10万円で割ると、調整支給率が出ます。
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計:82万円
- 保険料納付済期間:420月
- 調整支給率:(90万9000円-82万円)÷10万円=0.89000
- 月額:4377円
- 年額:5万2524円
420月に対応する本則の額は月4918円です。ここへ0.89000が掛かって月4377円となり、年額では5万2524円になります。給付金は年金と同じ偶数月にまとめて支払われるため、1回の振込では8700円台が上乗せされる形です。
※算出式は5620円×納付済月数÷480×調整支給率です。本則と違って免除期間分は加算されないため、免除期間が長い方は本則より不利になることがあります。今回は5620円×420÷480×0.89000=4377円としました。
4.2 上限の90万9000円まで8万9000円。超えると支給はなくなる
この区間では、所得10万円あたり支給率が1ずつ下がります。420月のケースなら所得が1万円増えるごとに月額がおよそ492円削られ、8万9000円を超えて増えた時点で支給そのものがなくなります。
逆方向も同じ幅で動きます。所得を1万1000円減らして80万9000円以下に収まれば本則の月4918円となり、いまの4377円より月541円、年額で6492円多く受け取れます。
境界のどちら側にいるかで結果が変わるため、微妙な位置にある場合は年金事務所やねんきんダイヤルで具体的な金額を確認してみてください。前年の所得額は課税・非課税証明書で確かめられます。
5. 「年金生活者支援給付金」は3種類で所得の基準が違う。請求書の返送までがひと区切り
2026年度の年金生活者支援給付金は、前年度から3.2%引き上げられました。老齢は基準額が月5620円、障害は1級7025円・2級5620円、遺族は5620円という水準で、6月支給分の4・5月分から反映されています。
対象者の判定は前年の所得で行われ、老齢は80万9000円以下(昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下)、障害と遺族は479万4000円以下が基準です。老齢については65歳以上で世帯全員が市町村民税非課税という条件も加わります。
また、要件を満たしていても自動では振り込まれません。日本年金機構から届いた請求書に記入して返送するところまで済ませて初めて支給されます。封筒を開けないまま置いてしまうと受け取り損ねるため、年金関係の郵便物は中身を確かめておきましょう。判断に迷うときは年金事務所やねんきんダイヤルに相談してみてください。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- 日本年金機構「65歳の誕生日を迎える方で、老齢基礎年金を新規に請求する方」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
齊藤 慧
