6. 【元銀行員の視点】株の配当金や売却益を確定申告すると非課税判定に影響する

住民税非課税の判定でつまずきやすいのが、株式や投資信託の扱いです。

かつては、所得税では確定申告をして、住民税では申告不要を選ぶという組み合わせが可能でした。配当控除や損失の繰越を使いながら、住民税の合計所得金額は増やさないという選び方です。

令和6年度から住民税の課税方式は所得税と一致するため、申告すれば合計所得金額に含まれる2/2

株の配当金・売却益を確定申告した場合の影響。確定申告しなければ住民税の合計所得金額に含まれず非課税判定に影響しない。確定申告すると合計所得金額に含まれ、非課税判定、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、扶養控除・配偶者控除の適用に影響が及ぶ。NISA口座の運用益は非課税

出所:東京都北区「令和6年度より上場株式等の配当所得等及び譲渡所得等について所得税と異なる課税方式を選択することが出来なくなりました」をもとにLIMO編集部作成

この選び方は使えなくなりました。東京都北区の公表によると、令和6年度(令和5年分)からは、住民税の課税方式を所得税と一致させることとなっています。

所得税で申告不要を選べば住民税でも申告不要になり、所得税で申告すれば住民税でも申告したことになります。片方だけを選ぶことはできません。

6.1 源泉徴収ありの特定口座は申告しない選択もできる

源泉徴収ありの特定口座であれば、証券会社が税金を差し引いて納めてくれます。この場合は確定申告をしない選択が可能です。

申告しなければ、その利益は住民税の合計所得金額に含まれません。非課税の判定にも影響しないことになります。

一方で、確定申告をすると合計所得金額に含まれます。北区が挙げている国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、介護保険料の算定にも反映されます。

銀行員だった頃、還付を受けられるかどうかという観点でご質問をいただくことはありました。申告した内容が住民税の側にも反映されるという話まで届いているとは限らないという印象があります。

6.2 NISA口座の運用益は合計所得金額に含まれない

同じ投資でも、NISA口座を使っている場合は考え方が変わります。金融庁の説明では、NISA口座で投資した金融商品から得られる利益は非課税とされています。

課税される所得として扱われないため、住民税の合計所得金額にも含まれません。非課税の判定を意識するなら、この違いは押さえておきたいところです。

ただし、損失が出たときに他の口座の利益と相殺できないという面もあります。どちらが有利かは投資の中身や他の所得によって変わるため、税の当てはめは税務署やお住まいの市区町村に確認するのが確実です。

7. 世帯全員の課税・非課税を1人ずつ確かめる

自分の世帯が該当するかどうかは、世帯全員分を確認する必要があります。

お住まいの市区町村で、住民税の課税証明書や非課税証明書を取得できます。世帯の人数分を取ると、誰が課税されているのかがはっきりします。

給与から住民税が引かれている方は、勤務先から渡される特別徴収税額の決定通知書でも確認できます。年金から引かれている方は、市区町村から届く通知で確かめられます。

8. 住民税は前年の所得で決まるため反映が1年遅れる

もう一つ気をつけたいのが、時間のずれです。

住民税は前年の1月から12月までの所得に基づいて計算されます。そのため、収入が減ってもその年の住民税にはすぐ反映されません。

退職した年や収入が大きく下がった年は、翌年度になってから非課税に該当することがあります。反対に、株を売って利益を申告した年は、翌年度に非課税から外れることもあります。

判定に使われるのは過去の数字だという点を意識しておくと、見通しが立てやすくなります。世帯構成が変わる予定があるなら、事前に市区町村の窓口で相談しておくのも一つの方法です。

9. 住民税非課税世帯は「世帯全員」と「前年の合計所得金額」で判断する

2026年度の住民税で非課税になる目安は、1級地の例で単身の給与収入110万円以下、65歳以上の公的年金等収入155万円以下です。扶養親族がいれば基準額は上がります。

ただし級地区分によって金額は変わりますので、自分の世帯の基準はお住まいの市区町村で確かめてください。

そして、株式や投資信託の利益を確定申告するかどうかも判定に関わります。申告のしかたを決める前に、住民税や保険料への影響まで見ておくと選びやすくなります。

税の当てはめは税務署に、非課税の判定や保険料は市区町村の窓口に確認するのが確実です。まずはご自身と世帯の課税状況を書類で確かめるところから始めてみてください。

参考資料

中本 智恵