「住民税非課税世帯」という言葉を、給付金や支援制度のお知らせで見かけた方は多いのではないでしょうか。自分の世帯が当てはまるのかどうか、判断しにくいと感じる方もいます。

住民税が非課税になるかどうかは、前年の合計所得金額で決まります。2026年度(令和8年度)の課税分では、給与収入だけの単身者なら「110万円」以下が目安で、前年度の100万円から10万円引き上がりました。

銀行員だった頃、投資信託や株式の口座を開くときに、口座の種類や申告の扱いをご説明する場面がありました。この選び方が、後になって住民税の判定に関わってくることもあります。

この記事では、住民税非課税世帯の判定の仕組みと、2026年度の年収の目安、そして今後予定されている改正の内容を整理します。

ココがポイント
  • 2026年度の住民税で非課税になる目安は、単身なら給与収入110万円以下、65歳以上の公的年金等収入155万円以下(1級地の例)
  • 同じ収入でも級地区分で結果が変わり、2級地の柏市では給与106万5000円以下が目安
  • 令和8年度税制改正の大綱では、給与所得控除の最低保障額を65万円から69万円へ引き上げるとされた

1. 住民税非課税世帯とは、世帯全員に住民税の均等割がかからない世帯

まず言葉の意味から確認します。

個人住民税は、所得に応じて計算する「所得割」と、一定額を負担する「均等割」の2つで構成されています。このうち均等割まで含めてかからない状態が、いわゆる住民税非課税です。

そして住民税非課税世帯とは、世帯の一部ではなく世帯全員が非課税である世帯を指します。誰か1人でも課税されていれば、世帯としては該当しません。

1.1 非課税限度額は合計所得金額45万円が起点

非課税になるかどうかの基準は、非課税限度額と呼ばれます。大阪市の公表を例に見ていきます。

同一生計配偶者も扶養親族もいない場合、前年の合計所得金額が「45万円」以下であれば、均等割も所得割もかかりません。35万円に10万円を加えた金額が基準です。

同一生計配偶者や扶養親族がいる場合は、「35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族)の人数+21万円+10万円」が基準になります。人数が増えるほど基準額も上がる仕組みです。

なお、所得割だけがかからない基準は別に設けられています。こちらは加算額が21万円ではなく32万円で計算されます。

2. 住民税が非課税になる目安は給与110万円、公的年金155万円

ここからは、収入の金額に置き換えて見ていきます。

2026年度の住民税では、単身の給与収入の目安が100万円から110万円に引き上がった1/2

住民税が非課税になる年収の目安。2026年度課税分。1級地(大阪市の例)は給与収入で本人のみ110万円以下、扶養親族1人166万円以下、2人205万9999円以下。2級地(柏市の例)は本人のみ106万5000円以下、扶養親族1人156万9000円以下。公的年金等収入65歳以上は1級地が本人のみ155万円以下、扶養親族1人211万円以下、2級地が151万5000円以下と201万9000円以下

出所:大阪市「市民税・府民税・森林環境税が課税されない方」柏市「令和8年度以降、個人住民税がかからないかた(非課税)」をもとにLIMO編集部作成

1級地の大阪市の例では、給与収入だけの場合、本人のみの世帯で110万円以下が目安です。扶養親族が1人いれば166万円以下、2人いれば205万9999円以下となります。

公的年金等の収入だけの場合、65歳以上の本人のみの世帯で155万円以下が目安です。扶養親族が1人いれば211万円以下になります。

2.1 給与110万円になったのは給与所得控除の引き上げによるもの

単身の給与収入の目安は、前年度まで100万円でした。10万円動いた理由は、給与所得控除の見直しです。

江戸川区の公表によると、2026年度分の住民税から、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられました。給与収入162万5000円までの方が対象です。

合計所得金額45万円という基準に給与所得控除65万円を足すと、110万円になります。これが単身の目安が動いた仕組みです。

2.2 扶養親族の所得要件も58万円以下に引き上げ

同じ改正で、扶養に関する基準も動いています。

同一生計配偶者や扶養親族の所得要件は、合計所得金額48万円以下から58万円以下へ引き上げられました。給与収入では103万円以下から123万円以下に変わっています。

ひとり親の子の要件も総所得48万円以下から58万円以下に、勤労学生の要件も合計所得75万円以下から85万円以下になりました。

あわせて、特定親族特別控除が創設されました。19歳以上23歳未満の親族で合計所得金額が58万円超123万円以下の場合、住民税では所得に応じて45万円から3万円までの控除が受けられます。

扶養親族の人数は非課税限度額の計算に直接効いてきます。家族の収入が変わった年は、あらためて数え直しておきたいところです。

3. 住民税が非課税になる基準は級地区分で変わる

ここで注意したいのが、自治体によって金額が違うという点です。

均等割の非課税限度額は、生活保護法の級地区分に応じた率を基本額と加算額に乗じた金額を基準として、各自治体の条例で定められています。総務省の資料では、1級地が1.0、2級地が0.9、3級地が0.8とされています。

3.1 2級地の柏市は本人のみで41万5000円

実際の数字で比べてみます。柏市は2級地に該当すると公表しています。

柏市の均等割が非課税となる基準は「31万5000円×(本人と同一生計配偶者、扶養親族の合計人数)+10万円」で、扶養親族等がいる場合はさらに18万9000円が加算されます。本人のみの場合は41万5000円です。

収入に置き換えると、給与収入だけの本人のみの世帯で106万5000円以下、扶養親族が1人なら156万9000円以下が目安です。1級地の110万円と比べると、3万5000円の差があります。

公的年金等の収入だけの場合は、65歳以上の本人のみで151万5000円以下、扶養親族1人で201万9000円以下となります。65歳未満なら101万5000円以下です。

同じ収入でも住んでいる市区町村によって結果が変わることがあります。この記事の金額はあくまで例ですので、実際の基準はお住まいの市区町村の公表で確認してください。

4. 住民税の非課税ラインは今後も動く見込み、給与所得控除は69万円へ

この基準は、今後さらに動く見込みです。

2025年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正の大綱では、物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みを創設するとされました。

そのうえで、所得税と個人住民税の給与所得控除について、65万円の最低保障額を69万円に引き上げるとされています。

さらに、給与所得控除の最低保障額を5万円引き上げる特例も創設される予定です。個人住民税では令和9年度分と令和10年度分が対象とされています。

大綱ではひとり親控除の拡充も示されました。個人住民税の控除額を現行の30万円から33万円に引き上げるという内容です。

非課税の目安金額がいくらになるかは、法令の施行後に各市区町村が公表します。判定に関わる話ですので、確定した金額はお住まいの市区町村の案内で確かめるのが確実です。

5. 住民税が非課税かどうかは保険料や行政サービスの判定にも使われる

住民税の課税・非課税は、税額そのものだけの話ではありません。

東京都北区の公表では、合計所得金額が影響するものとして、扶養控除や配偶者控除などの適用、非課税判定、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、そして合計所得金額や地方税所得割額を算定基準に用いる行政サービスが挙げられています。

つまり、非課税かどうかの線をまたぐと、税額以外の負担も同時に変わることがあります。世帯の家計に効いてくる範囲は、思っているより広いといえます。

非課税世帯を対象にした支援の中身については、『【2026年最新】「住民税非課税世帯」を対象とした「優遇措置」8選 《年金・給与》年収いくらで該当するのか境界線も見ておこう「収入ゼロでも給付金が届かない?」5つの盲点を徹底解説』で整理しています。

中本 智恵
銀行員だった頃、投資信託や株式の口座を開くときに、特定口座の源泉徴収あり・なしを選んでいただく場面がありました。その時点では税金の手続きの話にすぎませんが、選んだ内容は後の申告のしかたにつながっていきます。住民税の判定は前年の合計所得金額で決まるため、口座と申告の扱いを知っておくと、あとから慌てずに済みます。