厚生労働省の調査によると、公的年金の平均受給額は国民年金(老齢基礎年金)で月5万円台、厚生年金(国民年金部分を含む)でも月15万円台にとどまっており、年金収入だけで老後の生活をまかなうのは簡単ではありません。

年金収入が少ない世帯には「年金生活者支援給付金」という上乗せ制度がありますが、支給要件や手続きを正しく理解していないと、本来受け取れるはずの給付を逃してしまうこともあります。

この記事では、年金生活者支援給付金の給付額・支給要件・手続きの流れを整理したうえで、世代ごとの貯蓄の実態や、貯蓄を着実に増やすためのポイントもあわせて確認していきます。

※この記事では、データ部分などの一部を以下の記事から引用してます。

【最新データ】日本の富裕層の割合は?年代別の平均貯蓄額と年収別データから見る資産形成の最適解
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1. 公的年金の平均受給額はいくら?国民年金は月5万円台、厚生年金は月15万円台

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均年金月額は国民年金(老齢基礎年金)で5万円台、厚生年金(国民年金部分も含む)で15万円台です。

厚生年金・国民年金の平均年金月額1/8

厚生年金・国民年金の平均年金月額を全体・男性・女性別に示した表

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

1.1 平均値はあくまで目安、実際の受給額には大きな個人差がある

しかし上記はあくまでも全体の平均値に過ぎません。実際の受給額には個人差があり、月額30万円以上受け取っている人がいる一方で、1万円未満のケースも存在します。年金受給額は、現役時代の働き方や年金加入期間によって大きく変わってきます。

もし、年金とその他の所得を含めても一定基準以下となる場合には、「年金生活者支援給付金」を受け取れる可能性があります。

2. 「年金生活者支援給付金」とは?老齢・障害・遺族の3種類がある

「年金生活者支援給付金」は、年金収入やその他の所得額が一定基準額以下の年金生活者の暮らしを支えることを目的として、2カ月に一度、年金に上乗せして支給されるお金です。

年金生活者支援給付金は3種類2/8

年金生活者支援給付金の3種類と対象となる年金、金額の決まり方をまとめた表

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」をもとにLIMO編集部作成

2019年に始まった比較的新しい制度で、以下3種類の給付金ごとに、給付額や支給要件が設けられています。

  • 老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

3. 2026年度の給付額はいくら?前年度から3.2%増額

年金生活者支援給付金は、物価変動率を踏まえて年度ごとに見直しがおこなわれます。

2026年度(4月分より)の給付金額は、前年度から+3.2%の増額となりました。

3.1 老齢は月5620円、障害2級・遺族も月5620円(1級は7025円)

年金生活者支援給付金の支給金額(月額)3/8

年金生活者支援給付金の支給金額を2025年度と2026年度で比較した表

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 老齢年金生活者支援給付金の基準額(月額):5620円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級7025円・2級5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円

老齢年金生活者支援給付金については、上記の基準額をもとに、保険料納付済期間等に応じて実際の給付額が計算されます。

なお、上記はいずれも「月額」です。給付金は偶数月の支給日に、2カ月分がまとめて年金と同じ口座へ、年金とは別に振り込まれます。上記の給付額通りを受け取れる場合、1回の支給で約1万1000円、年額にすると約6万7000円となります。

なお「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2025年3月における平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金4146円、障害年金生活者支援給付金5727円、遺族年金生活者支援給付金5228円でした。

※2025年3月において認定されている平均給付金額です。給付基準額が月5310円だった令和6年度に支給されていた金額のため、2026年度の5620円とは基準が異なります。

奥田 朝

年金生活者支援給付金は、所得基準をわずかに下回ると気づかないまま請求を忘れてしまう方も少なくありません。65歳到達時や退職後に年金額が変わったタイミングでは、ご自身が対象になっていないか、日本年金機構やねんきんダイヤルで一度確認しておくことをおすすめします。

4. 支給要件は?所得基準額など3種類で条件が異なる

ここからは、年金生活者支援給付金の支給要件についても見ていきましょう。以下の所得基準額は、令和8年10月分から適用されるものです。

3種類で異なる支給要件4/8

老齢・障害・遺族それぞれの年金生活者支援給付金の支給要件を比較した表

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」をもとにLIMO編集部作成

「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」を受け取れるのは、それぞれの基礎年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)を受給中で、前年の所得が491万8000円以下の人です。

判定には障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれず、扶養親族等の数に応じて所得基準額は変わります。

なお、老齢年金生活者支援給付金のみ、本人の所得以外に「年齢」と「世帯全体の状況」が支給要件に加わります。次で整理していきましょう。

4.1 「老齢年金生活者支援給付金」は3つの要件をすべて満たす必要がある

老齢年金生活者支援給付金の支給要件5/8

老齢年金生活者支援給付金の3つの支給要件と補足的老齢の対象となる所得の範囲

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」をもとにLIMO編集部作成

老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記1~3の要件をすべて満たす人です。

  1. 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  2. 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  3. 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は82万6500円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は82万4100円以下

なお、老齢年金生活者支援給付金の判定にも、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。

また「基準額ギリギリで給付対象となる人」との間に不公平感が生じないように、「基準額をわずかに超えて給付対象外となる人」は「補足的老齢年金生活者支援給付金(※)」の支給対象となります。

※補足的老齢年金生活者支援給付金:1956(昭和31)年4月2日以後に生まれた方で82万6500円を超え92万6500円以下である方、1956年4月1日以前に生まれた方で82万4100円を超え92万4100円以下である方に支給されます。所得が増えるにつれて、補足的老齢年金生活者支援給付金の給付額は減ります。