厚生年金の受給額を巡っては、「老後は月20万円くらいはもらえるはず」という声を聞くことがあります。
厚生労働省が公表した「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金の受給権者の平均月額は「15万289円」でした。年金月額の分布を見ると、月20万円以上を受け取っている人は全体の2割に届いていません。8月は偶数月の年金支給月にあたり、8月14日に振り込まれた方も多いタイミングです。
この記事では、厚生年金の平均月額や「月20万円」に届く人の割合について、厚生労働省の統計をもとに解説します。
なお、厚生年金の平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 老齢厚生年金の受給権者の平均月額は15万289円で、月20万円以上を受け取る人は全体の2割に届きません
- 平均額を押し下げているのは、まだ老齢基礎年金の受給が始まっていない64歳以下の人たちです
- 年金額には個人差が大きく、平均や「20万円」という数字だけで安心したり不安になったりする必要はありません
1. 厚生年金「20万円」に届く人は約2割 老齢年金の平均月額の実態
まずは、厚生年金全体の平均受給額と、「月20万円」という金額がどのくらいの位置づけにあるのかを確認します。
平均的な水準については、「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認しておきましょう。
厚生年金の平均年金月額は、全体では15万289円でした。男女別は下記のとおりです。〈男性〉平均年金月額:16万9967円〈女性〉平均年金月額:11万1413円
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
1.1 老齢厚生年金の受給権者、平均月額は15万289円
厚生労働省「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和7年12月公表)によると、令和6年度末現在の老齢厚生年金(第1号)の受給権者数は1609万人で、平均年金月額は15万289円でした。
この金額には、老齢基礎年金を合わせて受け取っている人の分も含まれています。
1.2 月20万円以上を受け取る人は全体の2割に届かない
同じ資料の年金月額階級別データを見ると、老齢厚生年金の受給権者1608万5696人のうち、月20万円以上を受け取っている人は302万7673人でした。
割合にすると2割弱にとどまります。「月20万円」は、多くの人にとって当たり前の水準ではなく、届く方がむしろ少数派という位置づけになります。
※月15万円以上を受け取る人の割合については、別の記事でより詳しく解説しています。LIMO「【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント」もあわせて参考にしてください。
男女別に見ると、平均月額は男性が16万9967円、女性が11万1413円でした。月20万円以上の層は男性が中心で、女性は現役時代の厚生年金加入期間や標準報酬額の違いから、この水準に届く人がより少ない傾向にあります。
2. 厚生年金の新規裁定の平均が低く見えるのはなぜか 3層に分けて見る内訳
年金の平均額は、いつの時点のどの層を見るかによって数字が変わってきます。ここでは3つの層に分けて確認します。
2.1 全体平均と、基礎年金の有無で分けた平均の差
先ほどの15万289円という平均には、老齢基礎年金を合わせて受け取っている人と、まだ受け取っていない人の両方が含まれています。
内訳を見ると、老齢基礎年金または特別支給の老齢厚生年金の定額部分を受け取っている人の平均は15万3895円でした。
一方、これらを受け取っていない人の平均は7万9220円にとどまっています。
2.2 新規裁定者の平均が全体より低く出る背景
令和6年度中に新たに老齢厚生年金の受給権を得た人は56.7万人で、平均年金月額は9万7967円でした。全体平均の15万289円と比べると、5万円以上低い数字です。
新規裁定者の中には、まだ老齢基礎年金の受給が始まっていない64歳以下の人が含まれることもあるため、平均が低く出やすい構造になっています。特別支給の老齢厚生年金は支給開始年齢の引き上げが段階的に進んでおり、男性は昭和36年4月2日以降に生まれた人ではすでになくなっています。
「基礎あり」「基礎なし」という2つの層を分けて見ると、同じ新規裁定でも中身がまったく違うことが分かります。

