3. 【元銀行員の視点】通帳は「1か月」ではなく「3か月」で見る
窓口で通帳を拝見していて感じたのは、1か月分だけでは傾向が見えにくいということです。
3.1 1か月だと「たまたま」が混ざる
1か月分だけを見ると、その月だけの特別な出費なのか、毎月のことなのかが判別できません。冠婚葬祭や家電の買い替えが入っていれば、それは例外です。
3か月分を並べると、毎月繰り返されているものだけが浮かび上がります。
3.2 繰り返されているものが「クセ」
同じ曜日、同じ場所、同じくらいの金額。そうした出金が3か月続いていれば、それは偶然ではなく習慣です。
習慣になっているものは、意識せずに続いてしまいます。だからこそ、まず見つけることに意味があります。
4. 自分はちゃんと貯蓄できてる?通帳で確かめられる3つのステップ
特別な準備は要りません。順番に見ていきましょう。
4.1 3か月分を記帳する
しばらく記帳していない場合は、まず記帳します。
インターネットバンキングを使っているなら、入出金明細を3か月分表示させます。
4.2 毎月出ている出金に印をつける
3か月とも出ている出金に印をつけます。これが固定費にあたる部分です。
金額の大小より、繰り返されているかどうかで選びます。
4.3 カードの明細を1か月分だけ開く
カードへの引き落としに印がついたら、その中身を確かめます。
すべての月を見る必要はなく、まず1か月分だけで十分です。
毎月出ている項目に印をつければ、カードの中に隠れていた固定費が見えてきます。
5. 「節約」のつもりが逆効果になることも
見直しを始めると、やりすぎてしまうことがあります。3つほど気をつけたい点があります。
5.1 手数料を惜しんで手間が増える
手数料を避けるために遠くのATMまで行く、時間を気にして予定を変える。
金額としては節約になっても、負担が増えれば続きません。
引き出す回数と時間帯を決めておくほうが、結果として無理がありません。
5.2 保険をまとめて解約してしまう
固定費を減らそうとして保険を一度に解約すると、必要な保障まで失うことがあります。
重複している部分があるかどうかは、契約の中身を見ないと判断できません。
見直す場合は、保障の内容を確かめたうえで進めることをおすすめします。
5.3 続かない金額から始めてしまう
貯蓄の先取りも、金額を大きくしすぎると途中で止まります。
止まってしまうと、かえって遠回りになります。
金額は後から増やせます。まずは続けられる水準から始めるほうが確実です。
6. まずは通帳を3か月分並べるところから
お金が逃げていきやすい家計には、通帳に表れるサインがあります。
手数料が繰り返し出ていること、引き落としの中身を説明できないこと、給料日の直後にまとまった出金があること、借入が日常の生活資金に向いていることの4つです。
定期的な支払いの67.7%はクレジットカードで、カードにまとめるほど通帳からは中身が見えなくなります。
まずは3か月分を並べ、毎月出ている出金に印をつけるところから始めてみてください。
借入の残高が減っていない場合や、保険の見直しで迷う場合は、自己判断で進めず、金融機関の窓口や専門の相談窓口に早めに相談することをおすすめします。
参考資料
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査2025年」
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査2025年」二人以上世帯調査 単純集計データ
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)のポイント」
中本 智恵