お盆休みを迎え、夏休みムードも高まるこの季節。夏のボーナスを受け取り、その使い道も一通り落ち着いた頃という方も多いのではないでしょうか。

まとまったお金が手元を通り過ぎていく中で、ふと「我が家の貯蓄は世間と比べてどうなのか」と気になり始める時期かもしれません。

2026年5月、総務省統計局が最新の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年平均結果」を公表しました。

これによると、二人以上世帯の平均貯蓄額は2059万円となり、比較可能な2002年以降で初めて2000万円を超えました。

さらに注目すべきは、この調査の貯蓄分布において最も高い階級に設定されている「貯蓄4000万円以上」の世帯が、全体の15.2%にも上っているという事実です。

「これだけの貯蓄がある世帯は、さぞ年収も高いのだろう」と推測されがちですが、実際のところはどうなのでしょうか。 本記事では、最新データをもとに「貯蓄4000万円」を保有する世帯のリアルな年収を見てみましょう。

記事後半では「新たな富裕層」の台頭についても紐解いていきます。

ココがポイント
  • 総務省統計局の最新調査によると、二人以上世帯の平均貯蓄額は2059万円に。2002年以降で初めて2000万円を超え、7年連続の増加となった。
  • 貯蓄4000万円以上の世帯は全体の15.2%、およそ6世帯に1世帯。ただし平均年収は837万円で、必ずしも高年収世帯とは限らないことが分かった。
  • 50歳未満は負債が貯蓄を上回る世帯が多く、住宅ローンなどが影響。資産運用や資産承継の有無が将来の「二極化」を左右する可能性がある。

◆日本の富裕層事情や年代別・年収別の貯蓄事情についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

【最新データ】日本の富裕層の割合は?年代別の平均貯蓄額と年収別データから見る資産形成の最適解
【最新データ】日本の富裕層の割合は?年代別の平均貯蓄額と年収別データから見る資産形成の最適解

1. 「貯蓄4000万円以上」の世帯はどのくらい存在する?

まずは、総務省統計局のデータをもとに、4000万円以上の貯蓄を保有する世帯の割合を世帯区分別に見ていきましょう。

  • 二人以上世帯(全体): 15.2%

  • 勤労者世帯(働く世帯): 10.9%

  • 世帯主が65歳以上のシニア世帯: 21.1%

【二人以上世帯のうち世帯主が65歳以上の世帯】貯蓄現在高階級別世帯分布4/6

【二人以上世帯のうち世帯主が65歳以上の世帯】貯蓄現在高階級別世帯分布

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)貯蓄の状況」

二人以上世帯全体では15.2%と、およそ6世帯に1世帯が4000万円以上の貯蓄を保有しています。

一方、世帯主が65歳以上の世帯では21.1%となり、約5世帯に1世帯の割合です。

また、勤労者世帯では10.9%となっており、世帯区分によって保有状況に違いが見られます。

2. 貯蓄4000万円超の世帯は高年収なのか

では、4000万円以上の貯蓄を持つ世帯は、年収も高いのでしょうか。

総務省統計局の調査をもとに、二人以上世帯全体と勤労者世帯に分けて、貯蓄額ごとの平均年収を確認します。

2.1 二人以上世帯全体

  • 貯蓄1000~1200万円: 平均年収 681万円
  • 貯蓄2000~2500万円: 平均年収 688万円
  • 貯蓄4000万円以上: 平均年収 837万円

2.2 二人以上世帯のうち勤労者世帯

  • 貯蓄1000~1200万円: 平均年収 835万円
  • 貯蓄2000~2500万円: 平均年収 863万円
  • 貯蓄4000万円以上: 平均年収 1107万円

勤労者世帯では、4000万円以上の貯蓄を持つ世帯の平均年収は1107万円となっています。

一方、二人以上世帯全体で見ると平均年収は837万円です。

先ほど見たように、世帯主が65歳以上の世帯では4000万円以上の貯蓄を保有する割合が高くなっています。

そのため、退職金や相続など、毎年の年収には表れない資産形成の要因も、貯蓄額に影響していると考えられます。

このことから、貯蓄額は年収だけで決まるものではないことが分かります。

3. 現役世代を取り巻く「貯蓄4000万円」へのハードル

総務省統計局の家計調査では、世帯主が50歳以上の世帯では貯蓄額が負債額を上回る一方、50歳未満では負債額が貯蓄額を上回る年代があることが示されています。

2025年平均(二人以上世帯)の数値を比較すると、その差がはっきりと表れています。

【負債超過の世代(50歳未満)】

  • 40歳未満:貯蓄994万円に対し、負債1882万円(純貯蓄額:マイナス888万円)
  • 40〜49歳:貯蓄1381万円に対し、負債1483万円(純貯蓄額:マイナス102万円)

【貯蓄超過の世代(50歳以上)】

  • 50〜59歳:貯蓄1756万円に対し、負債743万円(純貯蓄額:プラス1013万円)
  • 60〜69歳:貯蓄2843万円に対し、負債234万円(純貯蓄額:プラス2609万円)
  • 70歳以上:貯蓄2471万円に対し、負債81万円(純貯蓄額:プラス2390万円)

物価上昇による生活費の負担に加え、住宅ローンなどの負債を抱える世帯も多く、50歳未満では純貯蓄額がマイナスとなっています。

こうした状況から、多くの現役世代にとって、4000万円の貯蓄を築くことは容易ではないことがうかがえます。

4. 監修者からのコメント

熊谷 良子

40歳未満や40代で純貯蓄額がマイナスになるのは、決して珍しいことではありません。

住宅ローンや教育費は、目先の負担が大きい一方で、将来の資産形成や子どもの可能性への「先行投資」という側面も持っています。

大切なのは、貯蓄額の絶対値だけに一喜一憂するのではなく、住宅ローンなど負債の内容や返済計画、さらには持ち家という実物資産も含めた「純資産」の視点で、ご自身の家計を定期的に点検することです。

50歳以降にどのように純貯蓄額をプラスへ転じさせていくか、収入・支出の見通しを立てながら逆算でロードマップを描いておくと、将来への安心感は高まるかもしれません。

特に教育費のピークと住宅ローンの返済が重なる時期は要注意で、早めに家計の見通しを立てておくことが後々の負担を軽くします。