7月に公表された厚生労働省「令和7年簡易生命表の概況」によると、平均寿命は女性87.33年、男性81.35年。人生100年時代といわれるいま、40歳代・50歳代のおひとりさまにとって、これから先の暮らしを支えるお金は気になるテーマではないでしょうか。

ひとりの家計は、支えるのも、見直すのも自分次第。同じような収入でも、蓄えが増えていく人と、なかなか増えない人がいます。その差はどこから生まれるのでしょうか。

今回は、40歳代・50歳代のおひとりさま(単身世帯)の平均貯蓄額と中央値を確認したうえで、「貯まる人」と「貯まらない人」の違いを考えていきましょう。

1. この記事を読んだらわかる3つのポイント

  •  おひとりさま40・50歳代の平均と、100万円台にとどまる中央値の意味
  •  収入が同じでも差がつく、「貯まる人」と「貯まらない人」を分ける習慣
  •  見える化・先取り・目的—今日から動かせる家計の一歩

2. 【40歳代・50歳代おひとりさまの平均貯蓄額】中央値は100万円前後に

金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、単身世帯の金融資産保有額(平均・中央値)は次のとおりです。

※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。

2.1 40歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)

  • 40歳代単身世帯:平均859万円/中央値100万円

平均859万円に対し、中央値は100万円。平均が中央値を大きく上回るのは、一部に蓄えの多い人がいるためです。貯蓄がない人は32.1%とおよそ3人に1人、2000万円以上を持つ人も12.7%おり、蓄えの差がはっきりしています。

2.2 50歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)

おひとりさま50歳代の貯蓄額2/2

おひとりさま50歳代の貯蓄額

出所J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成

  • 50歳代単身世帯:平均999万円/中央値120万円

平均999万円、中央値120万円。貯蓄がない人は35.2%と、この年代で高くなります。一方で2000万円以上を持つ人も15.9%おり、老後を目前に、蓄えのある人とない人の差がいっそう広がっています。

40歳代・50歳代のおひとりさまは、いずれも中央値が100万円台にとどまる一方で平均は800万〜1000万円台と、両者の開きが大きいのが特徴です。中央値でみれば、多くの人は「これから」の段階。だからこそ、貯め方の見直しがこれからの蓄えを左右します。

宮野 茉莉子
あくまで平均や中央値といえども、金額ごとの割合もみることで「みんなどれくらい貯蓄を貯めているのか?」と客観的なデータをみることは大切です。一般的な貯蓄額を知る中で、自身の貯蓄についても具体的な目標を考えていきましょう。

3. お金が「貯まる人と貯まらない人」の違いはどこか

同じくらいの収入でも、蓄えが増える人となかなか増えない人がいます。その違いは、才能や我慢の量ではなく、日々の「仕組み」と「意識の向け方」にあることが多いものです。3つの違いを見ていきましょう。

ひとつめは、家計を「見えるようにしているか」です。貯まる人は、毎月の収入・支出・貯蓄残高をおおまかにでも把握しています。

数字が見えると、使いすぎに早く気づき、調整できます。たとえば日々の生活費の中で、漠然と節約しようと思っても数字が見えないことには適当になりやすいでしょう。貯蓄残高についても、具体的な金額をみることで現在地をしり、老後の始まりである60歳代までにいくら貯めるべきかを考えることができます。

お金のよいところは「具体的な数字が見える」ところですので、見える化をまずは取り入れましょう。

二つ目は「まず、貯めているか」です。貯まる人は、収入が入った時点で一定額を貯蓄へ回し、残りで生活します。反対に、使ったあとの残りを貯めようとすると、なかなか手元に残りません。「まず貯める」行動が大切です。だんだんとお金が貯まっていくことモチベーションにもつながるでしょう。

三つ目は「目的を持っているか」です。「◯歳までに◯◯万円」「老後の予備費に」といった目的があると、貯蓄が続きやすくなります。特に「期間」と「何のために」は明確な目標を立てましょう。途中でうまく貯蓄ができない時期があっても、「◯歳までに◯◯万円」などと決めることで、軌道修正も考えやすくなるものです。

また、老後など長期の目的には新NISAなどの制度を活かす選択肢もありますが、投資には元本割れのリスクがあり、金融商品や投資方法などによってリスクが異なるため、生活防衛資金を確保したうえで無理のない範囲で考えたいところです。

投資はメリットもあるので、「月〇万円を年利〇%で運用できたらいくらになるのか」をシミュレーションしてみてもよいでしょう。こちらに関しても、具体的なシミュレーションをして見える化をすることで判断しやすくなったり、行動につなげやすくなったりするものです。

4. 元証券会社社員が「40歳代、50歳代おひとりさまが今からはじめたいこと」うぃアドバイス

40歳代・50歳代おひとりさまの貯蓄は、40歳代で平均859万円・中央値100万円、50歳代で平均999万円・中央値120万円でした。中央値が100万円台にとどまる一方で2000万円以上を持つ人もおり、蓄えの差は小さくありません。ただ、中央値でみれば多くの人は「これから」の段階です。本文でふれた「見える化・先取り・目的」を土台に、今日から動かせる具体的な一歩を、元証券会社社員として3つお伝えします。

まずは「ねんきんネット」に登録して、自分が将来受け取れる年金の見込み額を確認すること。老後にいくら足りなくなりそうかの目安がつかめ、貯蓄の目標額を決めやすくなります。

次に固定費を1つ見直すこと。スマホを格安プランに変える、重複した保険を整理する、使っていないサブスクを解約する—どれも一度手を動かせば、その節約効果は毎月ずっと続きます。

最後にボーナスや臨時収入の使い道を「先に」決めること。手元に入ってから考えると使い切りがちですが、受け取る前に「何割を貯蓄に回すか」を決めておくと、無理なく蓄えを増やせます。

宮野 茉莉子
ひとりの老後は長く続きます。まずはこの3つのうち、いちばん取りかかりやすいものを1つ、試してみるといいでしょう。お盆休みの時期ですから、時間のあるときにゆっくり考えて見てくださいね。

参考資料

宮野 茉莉子