同じ「課長」という肩書でも、働いている業種によって毎月の給与はどれくらい違うのでしょうか。厚生労働省の統計で16の業種を並べてみると、課長級の所定内給与額には、いちばん高いところと低いところで月27万円あまりの開きがありました。

開きがさらに大きいのは賞与です。課長級の年間賞与その他特別給与額は、業種によって4.2倍違います。月の給与の開きが1.65倍なので、年で見ると業種の差はもっと広がる形です。段が1つ上の部長級で並べても、月の給与の開きは1.79倍と、課長級より大きくなっていました。

いっぽうで、課長級の平均年齢はどの業種でも50歳前後で、ほとんど変わりません。年齢の違いで差がついているわけではない、ということになります。

この記事では、厚生労働省の統計を業種別に並べて、課長級の月の給与と賞与が業種でどう違うのか、部長級との差はどうなっているのかを確かめていきます。

1. 同じ課長級でも、業種で月27万8900円の開きがある

厚生労働省がまとめた「令和7年賃金構造基本統計調査」の役職別の表によると、全産業をならした課長級の所定内給与額は月52万9200円です。これを16の業種に分けて並べると、次のようになります。企業規模の計、男女の計です。

1.1 業種別にみた課長級の所定内給与額(令和7年)

業種別にみた課長級の所定内給与額1/1

業種別にみた課長級の所定内給与額

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」役職第1表(業種別)をもとにLIMO編集部作成

いちばん高いのは金融業,保険業の70万7800円でした。いちばん低いのは医療,福祉の42万8900円で、その差は27万8900円です。金融業,保険業は医療,福祉の1.65倍にあたります。全産業をならした52万9200円だけを見るのではく、このように業種ごとにみるといいでしょう。

人数の少ない鉱業,採石業,砂利採取業を除くと、上位には電気・ガス・熱供給・水道業の65万4200円、学術研究,専門・技術サービス業の63万1600円、情報通信業の57万3400円が並びました。下位のほうには宿泊業,飲食サービス業の43万5600円、生活関連サービス業,娯楽業の44万9300円が続いています。

2. 全産業の52万9200円を上回るのは7業種

全産業をならした52万9200円を基準にすると、それより高い業種は16のうち7つでした。金融業,保険業、鉱業,採石業,砂利採取業、電気・ガス・熱供給・水道業、学術研究,専門・技術サービス業、情報通信業、不動産業,物品賃貸業、製造業です。

卸売業,小売業はちょうど52万9200円で、全産業の数字と同じ金額でした。残りの8業種は、全産業の数字を下回っています。

人数の面から見ると、課長級がいちばん多いのは製造業の39万2640人、次が卸売業,小売業の38万5460人です。この2つの業種だけで、課長級全体のおよそ4割を占めています。全産業の52万9200円は、この人数の多い2業種の金額にかなり近いところにあります。

ご自身の業種を見ると、全産業の数字と比べたときとは違う見え方になるはずです。

宮野 茉莉子
業種別の数字を読むときに、1つだけ気をつけていただきたいことがあります。

鉱業,採石業,砂利採取業は課長級が65万9300円で2番目に高いのですが、この業種の課長級は全国で630人しかいません。部長級は290人です。人数がごく少ないので、ほかの業種と同じ重さで比べないほうが正確です。この業種では、課長級の金額が部長級の64万4700円を上回っていました。16業種のなかで課長級が部長級より高いのは、この業種だけです。

反対に、製造業と卸売業,小売業はどちらも課長級が38万人を超えています。多くの方が実際に向き合うのは、こうした人数の厚い業種の数字です。

次のページでは、月の給与よりもずっと開きの大きい賞与を見ていきます。