3. 賞与は業種で4.2倍の開き

ここまでの月の金額には、賞与が入っていません。同じ表の「年間賞与その他特別給与額」の列で、課長級の賞与も業種別に並べてみます。

いちばん多いのは金融業,保険業の374万8400円でした。いちばん少ないのは宿泊業,飲食サービス業の89万1900円です。金融業,保険業は宿泊業,飲食サービス業の4.2倍にあたります。月の所定内給与額の開きが1.65倍だったので、賞与のほうが業種の差はずっと大きく出ています。

月の給与の順位と賞与の順位は、おおむね同じ並びでした。ただ、入れ替わりもあります。月の給与では16業種のうち最下位だった医療,福祉は、賞与では122万9600円で15位です。宿泊業,飲食サービス業のほうが下に来ています。

賞与の列では、課長級が部長級を上回る業種が3つありました。鉱業,採石業,砂利採取業、卸売業,小売業、生活関連サービス業,娯楽業です。卸売業,小売業では課長級が237万1000円、部長級が235万8600円で、その差は1万2400円でした。

4. 年齢はどの業種も50歳前後。違うのは勤続年数

課長になる年齢についても見ていきましょう。課長級の平均年齢を業種別に並べると、いちばん若い不動産業,物品賃貸業が47.9歳、いちばん上の建設業と電気・ガス・熱供給・水道業が50.6歳で、幅は2.7歳です。

平均年齢の幅が2.7歳しかないのに対して、月の給与の幅は27万8900円あります。違いが大きいのは勤続年数のほうです。いちばん短い宿泊業,飲食サービス業が15.9年、いちばん長い複合サービス事業が27.5年で、11.6年の開きがありました。

ただ、勤続年数が長い業種ほど給与が高いという並びにはなっていません。勤続年数がいちばん長い複合サービス事業の課長級は45万4000円で、16業種のなかでは13位です。月の給与で1位の金融業,保険業の勤続年数は22.2年でした。勤続年数がいちばん短い宿泊業,飲食サービス業は、月の給与では16業種の下から2番目です。

5. 医療,福祉は、部長級との差がいちばん大きい

課長級と部長級の差も、業種によって違います。全産業では課長級52万9200円に対して部長級は63万5800円で、差は10万6600円でした。

業種別に差を並べると、いちばん大きいのは医療,福祉の20万400円です。医療,福祉の部長級は62万9300円で、16業種のなかでは7番目です。課長級の月の給与が16業種で最も低いのに、部長級との差は最も大きい、という並びになっていました。

差が大きいほうには、金融業,保険業の17万9200円、学術研究,専門・技術サービス業の17万5700円が続きます。課長級が部長級を上回る鉱業,採石業,砂利採取業を除くと、差が小さいのは建設業の5万3000円、宿泊業,飲食サービス業の6万200円でした。同じ「課長から部長へ」という一段でも、業種によって金額の上がり方は3倍以上違うことになります。

部長級そのものの業種差も見ておきます。部長級がいちばん高いのは金融業,保険業の88万7000円、いちばん低いのは宿泊業,飲食サービス業の49万5800円で、差は39万1200円、1.79倍でした。課長級の27万8900円、1.65倍より開いています。段が1つ上がると、業種の差も広がる形です。

6. まとめにかえて

業種ごとの数字から見えてきたことを、これからの働き方と家計に当てはめると、次の3つになります。

6.1 1つめ:ご自身の業種を基準に、数年先の目標を決める

全産業の52万9200円は、人数の多い製造業や卸売業,小売業の金額に近い数字です。ご自身の業種がそこから離れていれば、全産業の数字と比べても立ち位置は見えてきません。まずはご自身の業種の課長級の行を基準にしてください。そのうえで、同じ業種のなかで5年後、10年後にどの段にいたいかを考えておくと、いまの仕事で何を積んでいくかが決めやすくなります。

6.2 2つめ:賞与の重さに合わせて、毎月の家計の組み方を決める

月の給与の開きは1.65倍でしたが、賞与の開きは4.2倍でした。賞与が年収に占める重さは業種によってかなり違う、ということです。賞与の多い業種で働いているなら、賞与が減った年でも暮らしが回るように、毎月の給与の範囲で生活費を組んでおく考え方があります。賞与の少ない業種なら、毎月の給与から少しずつ取り分けておくほうが、まとまった支出に備えやすくなります。

6.3 3つめ:部長への一段を目指すかどうかを、業種の差も入れて考える

課長級から部長級への差は、鉱業,採石業,砂利採取業を除くと、建設業の5万3000円から医療,福祉の20万400円まで、業種で3倍以上違いました。部長を目指すのか、課長として専門を深めるのか、役職とは別の形で経験を積むのか。どれを選んでも構いません。ただ、その一段で得られる金額がご自身の業種ではどれくらいなのかを知っておくと、この先の10年をどう使うかを決めるときの材料になります。

7. 編集部よりコメント

宮野 茉莉子
業種別の課長級の数字を見ていただいて、いちばんお伝えしたいのは、月の給与より賞与のほうが業種の差が大きいということです。

月の給与で1.65倍だった開きが、賞与では4.2倍になります。求人や転職の話で月給だけが話題になることは多いのですが、課長級の年の収入を業種で比べるなら、賞与の列を一緒に見るほうが実際の差に近づきます。ただし、賞与は会社の状況によって変動する部分もありますので注意しましょう。

数字の読み方も添えておきます。この調査の業種は、働いている人の職種ではなく、勤め先の事業所の業種で分けています。同じ会社のなかで事務をしていても、会社が製造業なら製造業の行に入ります。

また、ここで見たのは各業種の課長級の平均です。同じ業種のなかでも、会社の規模や地域によって金額は変わってきます。業種の行は、ご自身の立ち位置を知るための物差しの1本だと思ってください。

参考資料

宮野 茉莉子