「手すりを付けたいけれど、介護保険から補助が出ると聞いた」——そう思って、まず工事の見積もりを取り、業者に工事を依頼してから申請しようとする人は少なくありません。しかし、この順番のまま進めると、補助を受けられなくなる可能性があります。

この記事では、東京都八王子市の公式情報にもとづき、介護保険の住宅改修費支給制度の仕組みと、申請の際に見落とされがちな注意点を、編集部が整理します。

1. 支給限度基準額は20万円で、自己負担割合に応じて支給額が決まる

八王子市の公式情報によると、介護保険の住宅改修費の支給限度基準額は20万円です。要介護度にかかわらず一律の金額で、複数回に分けて工事した場合も、20万円の枠内で合算されます。

実際に支給される金額は、工事費用のうち自己負担割合(1〜3割)を除いた分です。20万円の改修工事を行った場合、自己負担1割の人は自己負担額2万円、2割の人は4万円になります。20万円を超えた部分は、全額が自己負担になります。

齊藤 慧
「20万円まで補助が出る」という金額だけを覚えていると、支給されるのはその一部(自己負担割合を除いた分)だという点を見落としがちです。実際に手元に戻ってくる金額のイメージを、事前に持っておくとよいでしょう。

2. 工事前の「事前申請」が必須で、着工後の申請は対象外になる

八王子市の公式情報によると、住宅改修費の支給を受けるには、工事に着工する前に市へ事前申請を行い、改修計画の確認を受ける必要があります。着工後に申請しても、この制度の対象にはなりません。

「まず工事をして、後から申請すればいい」と考えて先に業者に工事を依頼してしまうと、たとえ対象工事であっても、支給を受けられなくなってしまいます。宮崎県川南町の案内でも同様に、事前申請の必要性が明記されています。工事を検討し始めた段階で、まずケアマネジャーや市区町村の窓口に相談することが欠かせません。

齊藤 慧
「急いで手すりを付けたい」という気持ちがあっても、申請を飛ばして工事を進めてしまうと、あとから取り返しがつきません。焦る気持ちを一度落ち着けて、まず窓口に相談する一手間を惜しまないようにしましょう。順番さえ守れば、決して難しい手続きではありません。

2.1 【介護保険の住宅改修費・支給の流れと注意点】

前提:東京都八王子市公表の資料に基づく編集部整理1/2

前提:東京都八王子市公表の資料に基づく編集部整理

出所:東京都八王子市「介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修費の支給制度」を基に編集部作成

  • 支給限度基準額:20万円(要介護度にかかわらず一律)です
  • 自己負担割合:1〜3割で、残りが支給されます
  • 事前申請:着工前に必須で、着工後の申請は対象外です
  • 対象工事の例:手すり取付け、段差解消、洋式便器への取替えなどです

事前申請という手続きの順番は、対象工事の種類以上に見落とされがちなポイントです。急いで工事を進めたい気持ちがあっても、必ず申請を先に済ませる必要があります。

3. 【編集者の視点】

「対象工事かどうか」ばかりに気を取られ、「申請の順番」を見落としてしまう人は少なくありません。

工事を検討し始めた時点で、まず窓口に相談するという一歩目が、制度を正しく使うための分かれ道になります。

※本記事は、編集部が東京都八王子市の公表する公式の最新情報を直接確認の上、執筆・検証しています。

4. 要介護度が3段階重くなった場合や、転居した場合は枠がリセットされる

八王子市の公式情報によると、20万円の支給限度基準額は、原則として同一の対象者・同一の住宅について1回限りです。ただし、初回の着工日以降に要介護状態区分が3段階以上重くなった場合、あるいは転居した場合は、それぞれ新たに20万円の枠が適用されます。

「一度使い切ったら、もう二度と利用できない」と思い込んでいる人もいますが、要介護度の変化や転居というタイミングによっては、再度制度を利用できる可能性があります。状況が変わったときは、あらためて窓口に確認してみる価値があります。

4.1 【住宅改修費の支給限度額がリセットされる2つのケース】

前提:東京都八王子市公表の資料に基づく編集部整理(3段階リセットは同一対象者につき1回限り、転居リセットは回数制限なし)2/2

前提:東京都八王子市公表の資料に基づく編集部整理(3段階リセットは同一対象者につき1回限り、転居リセットは回数制限なし)

出所:東京都八王子市「介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修費の支給制度」を基に編集部作成

  • 要介護状態区分が3段階以上重くなった場合:新たに20万円の枠が適用されます
  • 転居した場合:転居後の住宅について新たに20万円の枠が適用されます

要介護度が3段階重くなった場合のリセットは「1人1回(同一住宅で1回)限り」という制限が設けられています。そのため、要介護度が変動して再び上がったような場合でも、何度もリセットを利用できるわけではない点に注意が必要です(転居の場合は、新たな住宅に移るたびに原則として新しい枠が設定されます)。

齊藤 慧
「もう使ってしまったから」と諦めてしまう前に、要介護度や住まいの状況が変わっていないか、一度確認してみる価値があります。制度を最大限活用できるかどうかは、この確認の一手間にかかっています。あきらめずに窓口へ問い合わせてみましょう。

5. 【編集者の視点】

「一度使ったら終わり」という思い込みは、要介護度の変化や転居というタイミングを見落とす原因になります。

状況が変わったときこそ、あらためて制度を確認し直す価値があります。

介護費用全体の目安については、介護費用は総額いくらかかるかを試算した記事もあわせて確認してみてください。

6. まとめ

  • 介護保険の住宅改修費は、支給限度基準額20万円のうち、自己負担割合(1〜3割)を除いた分が支給されます
  • 工事前の事前申請が必須で、着工後に申請しても制度の対象になりません
  • 要介護状態区分が3段階以上重くなった場合や転居した場合は、新たに20万円の枠が適用されます
  • 対象工事には、手すり取付け・段差解消・洋式便器への取替えなどがあります

介護保険の住宅改修費は、対象工事の種類だけでなく、事前申請という手続きの順番を守ることが何より重要な制度です。工事を検討し始めた段階で、まずケアマネジャーや市区町村の窓口に相談することをおすすめします。

個別の手続きについては、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に確認することをおすすめします。

7. よくある質問

7.1 Q. 先に工事をしてから申請することはできますか。

A. できません。工事前の事前申請が必須で、着工後に申請しても制度の対象外になります。工事を検討し始めた段階で、必ず先に窓口に相談してください。

7.2 Q. 支給限度基準額の20万円は、要介護度によって変わりますか。

A. 変わりません。要介護度にかかわらず一律20万円です。

7.3 Q. 一度20万円の枠を使い切ったら、もう利用できませんか。

A. 要介護状態区分が3段階以上重くなった場合、または転居した場合は、それぞれ新たに20万円の枠が適用されます。

7.4 Q. どのような工事が対象になりますか。

A. 手すり取付け、段差解消、床材の変更、扉の取替え、洋式便器への取替えなどが対象です。詳細はお住まいの市区町村の窓口で確認できます。

参考資料

齊藤 慧