6月は、公的年金が支払われる月です。
日本年金機構によると、公的年金は偶数月(2・4・6・8・10・12月)の15日に、その前2か月分がまとめて支払われます。つまり、6月に受け取る分には、4月に改定された2026年度(令和8年度)の年金額が初めて反映されることになります。
6月初旬には新しい年金振込額がわかる「年金振込通知書」も順次送付される予定です。だからこそこの時期は家計や貯蓄について改めて考えたいところ。
年金が暮らしの柱になる60歳代・70歳代にとって、年金と並んで気になるのが「貯蓄」ではないでしょうか。今回は二人以上世帯の60歳代・70歳代について、貯蓄額の平均と中央値、そして厚生年金・国民年金の平均月額を男女別でみていきます。
1. 【60~70歳代シニアの平均貯蓄額】いくらになるか
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)は、次のようになっています。
1.1 60歳代・70歳代の貯蓄額(平均・中央値)
- 60歳代:平均2683万円/中央値1400万円
- 70歳代:平均2416万円/中央値1178万円
60歳代は平均2683万円に対して中央値1400万円、70歳代は平均2416万円に対して中央値1178万円。いずれも平均が中央値のおよそ2倍近くです。
金融資産を持たない(貯蓄ゼロの)世帯は、60歳代で12.8%(およそ8世帯に1世帯)、70歳代で10.9%(およそ9世帯に1世帯)。
一方で貯蓄2000万円以上は60歳代で39.6%、70歳代で37.5%でした。
2. 厚生年金と国民年金の平均年金月額はいくら?年金月額の男女差はどれくらいか
では、年金は実際にどのくらい受け取れているのでしょうか。最新の統計から、平均的な受給額をみてみましょう。
厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均年金月額(老齢年金)は次のとおりです。
- 国民年金(老齢基礎年金):全体5万9310円(男性6万1595円/女性5万7582円)
- 厚生年金(老齢厚生年金):全体15万289円(男性16万9967円/女性11万1413円)※国民年金分を含む
ここで目立つのが、男女の差です。国民年金は男性6万1595円・女性5万7582円で、その差は約4000円。これに対して厚生年金は男性16万9967円・女性11万1413円と、差はおよそ5万8000円にもなります。
国民年金(基礎年金)は、加入期間に応じた定額部分が中心のため、男女の差は小さくなります。一方の厚生年金は、現役時代の給与水準と加入期間に比例するしくみのため、働き方や納めた保険料が反映され男女差が大きく出やすいといわれます。
特に女性は出産や育児などで就業期間が短くなりやすく、賃金水準の差もあって、厚生年金の平均が男性より低めになる傾向がみられます。あくまで平均であり、実際の受給額は一人ひとりの働き方によって大きく変わります。
3. 「老後の公的年金」夫婦世帯が考えておきたいこと
60歳代・70歳代の二人以上世帯では、夫婦それぞれの年金を合わせた「世帯の年金」で家計を見通すことが大切です。男女で受給額に差があるぶん、ひとりの金額だけでなく、ふたり合わせていくらになるかを把握しておきたいところです。次の3つを意識してみましょう。
3.1 【世帯で年金を合算する】
夫婦それぞれの「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で見込み額を確認し、世帯の年金収入として合算して老後の生活費を考えましょう。男女差があるぶん、ふたり分を合わせてはじめて実態が見えてきます。
3.2 【どちらか一人になったときも想定する】
将来どちらかが先になったときは、世帯の年金収入が減ります。その際の年金制度や、貯蓄でどこまで暮らしを支えられるかも、早めに調べておくと安心です。
3.3 【受け取り方と置き場所を工夫する】
受給開始を遅らせて年金額を増やせる「繰下げ受給」や、当面使わないお金は新NISAなど税制優遇制度の活用も一案です。いずれもメリット・デメリットがあり、本当に得になるかは個人差がありますし、資産運用では元本割れの可能性があったりします。制度を調べた上で、自分の年金の受け取り方やお金の置き場所はよく考えましょう。
4. まとめにかえて
二人以上世帯の貯蓄は、60歳代で平均2683万円・中央値1400万円、70歳代で平均2416万円・中央値1178万円でした。年金の平均月額は、国民年金で5万9310円、厚生年金で15万289円。とくに厚生年金は男女でおよそ5万8000円の差がありました。どれも個人差が大きく、平均はあくまで目安です。
6月に届く年金を「自分の数字」として確かめ、世帯の貯蓄と合わせて、これからの暮らしを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)〔二人以上世帯〕」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「振込月が6月からとなっているのはどうしてですか。」
宮野 茉莉子