「老後は2000万円が必要」—2019年に大きな話題となったこの言葉を、いまも心のどこかに引っかけている方は多いのではないでしょうか。「そんなに貯められない」と不安になった方もいれば、「本当にそんなに要るの」と半信半疑の方もいるかもしれません。
今回は、まず65歳以上の世帯が実際にどれくらい貯蓄しているのかを確認したうえで、この「2000万円」という数字を、住んでいる地域という切り口からとらえ直してみます。
同じ老後でも必要額は個人差がありますし、どこで暮らすかによって必要な備えが変わる傾向もあります。ある試算もまじえて、いっしょにみていきましょう。
1. この記事を読むとわかる3つのポイント
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65歳以上の二人以上世帯の貯蓄は平均2509万円・中央値1658万円。4000万円以上は20.0%(約5世帯に1世帯) -
「老後2000万円問題」(2019年・金融庁)は全国平均を前提とした試算で、必要額は地域で大きく変わる -
ある試算では老後30年の不足額は奈良県で約1639万円、山形県で約3095万円と最大約1456万円の差(東京は年金額3位でも実質17位)
2. 65歳以上「貯蓄4000万円以上ある世帯」はどれくらい?平均値と中央値も
まずはいまのシニア世帯が実際にどれくらいの貯蓄を持っているのかを確認しておきましょう。総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によると、世帯主が65歳以上の二人以上世帯の貯蓄現在高は、平均で2564万円、中央値は1777万円(貯蓄を保有する世帯)でした。
平均と中央値のあいだに800万円ほどの開きがあるのは、一部の貯蓄が多い世帯が平均を押し上げているためです。より実感に近いのは、真ん中に位置する中央値の1777万円のほうでしょう。「平均には届いていないけれど…」と感じている方も、決して少数派ではない、ということです。
貯蓄額の分布をみると、4000万円以上を保有する世帯は全体の21.1%。およそ5世帯に1世帯が該当します。裏を返せば、残りのおよそ8割は貯蓄が4000万円未満ということです。
その一方で、300万円に満たない世帯も14.9%となり、ひとくちにシニア世帯といっても、その貯蓄状況は大きく分かれていることがわかります。まずはこの「実際の姿」を頭に置いたうえで、そもそも老後にはいくら必要とされているのか、話題となった「2000万円」から確認していきましょう。
3. そもそも「老後2000万円問題」とは?
はじめに、言葉の出どころを確認しておきましょう。「老後2000万円問題」は、2019年に金融庁の金融審議会の報告書が示した試算がもとになっています。高齢の夫婦のみの無職世帯を平均でみると、年金などの収入に対して毎月およそ5万5000円の赤字が生じ、それが30年続くとおよそ2000万円の取り崩しが必要になる、という内容でした。
ここで見落とされがちなのが、これが「全国平均」をもとにした数字だという点です。年金の受け取り額は働き方や年収によって異なりますし、毎月の生活費も、住む地域の物価によって差が出ます。
つまり2000万円は、あくまで一つの目安。実際の必要額は、人それぞれ、そして地域ごとに違ってくると考えられます。では、地域によってどれだけ変わるのでしょうか。


