4. 教育費や老後資金、住宅ローン、健康など、年代で移り変わるお金の悩み
では、世代ごとに悩みはどう移り変わっていくのでしょうか。同じ調査の結果を、もう少し細かくみていきます。
まず住宅ローンの悩みは、20代ではわずか5.0%ですが、30代になると24.4%へと増え、教育費の悩みも30代で29.5%、40代で32.4%とピークを迎えます。つまり30代は、住宅ローンと教育費という大きな支出が重なりやすい世代だといえます。30代ではお子さんが小さくて働き方をセーブするご家庭もあると思いますが、出ていくお金だけが増えていくと悩まれる方もいるのではないでしょうか。
そして年代が上がるにつれて存在感を増すのが、老後資金への不安です。老後への不安は20代で25.0%だったものの、30代57.7%、40代64.7%、50代では69.4%と増えていきます。50代では「生活費・物価高」と並んで、悩みの首位に立ちました。
老後を目前として、備えられる年数を思い、不安を抱える方も多いのでしょう。
さらに、自身の健康問題による収入の減少への不安も50代では30.6%と増えています。50代は、老後資金・自分の健康・親の介護という三つの不安が、同時に重なりやすい年代ともいえるでしょう。
この調査では、73.3%の人が「子育てや住宅ローンが終わっても、別の悩みが出てくると思う」と答えています。裏を返せば、「いまを乗り切れば楽になる」と考えがちですが、実際には悩みは消えるのではなく、形を変えて続いていく、ということなのでしょう。だからこそ、早くから計画的な貯蓄計画を立てていくことが大切なのです。
5. 「わかっているけど動けない」を、どうほどくか
もう一つ、この調査で印象的だったのは、89.1%の人が「毎月貯金しているだけでは、将来困ることがあると思う」と答えている点です。多くの人が「貯金だけでは心もとない」と頭でわかっているが、何をすればいいかわからず動けない、リスクがあるものは避けたいと悩む方は多いでしょう。
ここで大切なのは、あわてて投資を始めたり、勧められるまま金融商品を選んだりすることではありません。
まずは、自分や家族がこの先「いつ、いくら必要になりそうか」という全体像を書き出し、いまの家計の現在地を確かめること。目的地と現在地がはっきりすれば、「いまの貯めるペースで足りるのか」が見えてきます。
悩みが形を変えて続いていくからこそ、一つずつ片づけるだけでなく、早いうちに全体を見渡しておく。それが、「動けない」から抜け出すための、遠回りのようでいちばんの近道ではないでしょうか。
6. 元証券会社社員よりアドバイス
お金の悩みは「完全にゼロになる日」を待っていると、いつまでも動き出せません。生活費、教育費、住宅ローン、老後資金—悩みは形を変えながら、そのつど目の前にあらわれます。
だからこそ、「落ち着いたら」ではなく、いまできる小さな一歩から始めるのがよいと思います。まずは毎月の収支を把握して、先に一定額を取り分けておく。金額は無理のない範囲でかまいません。裏を返せば、早く始めた人ほど、時間を味方につけられることでしょう。
参考資料
- 株式会社トラスト(金融教育スクール FEラボ)「世代別のお金と資産形成に関する実態調査」(2026年8月6日公表・有効回答202名/引用元:FEラボ)
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」
- 【全世代(20〜70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」
宮野 茉莉子
