7. 著者からのアドバイス:新NISAは「ほったらかし」でいい

中本 智恵

銀行員時代、窓口で資産運用のご相談を受けていると、「値動きが気になって毎日チェックしてしまう」という声をよく聞きました。ですが、15年という長期の積立においては、日々の値動きを追いかけることにあまり意味はありません。

新NISAで積立投資を始めたら、基本的には「ほったらかし」にしておくくらいの気持ちで、淡々と継続することをおすすめします。相場が下がった時期に慌てて売却してしまうと、複利効果を享受する前に運用をやめることになりかねません。

もちろん、無理のない金額で始めることが大前提です。まずは生活防衛資金(生活費の半年〜1年分程度)を預金で確保したうえで、余裕資金の範囲で積立額を設定すると、途中で焦って取り崩す事態を避けやすくなります。

また、積立設定は口座振替やクレジットカード決済で自動化しておくことをおすすめします。毎月自分で金額を入力して買い付ける方式だと、忙しい時期や相場が下がった時期についつい後回しにしてしまい、積立が途切れてしまうことがあります。あらかじめ自動で買い付けが実行される仕組みにしておけば、意思の力に頼らず淡々と継続できます。

相場が大きく下落した局面でも、慌てて積立を止めたり、保有している資産を売却したりする必要はありません。むしろ、価格が下がっている時期に同じ金額で多くの口数を買えることは、長期の積立投資においてはプラスに働きます。

過去の相場を振り返っても、一時的な下落から数年かけて回復してきた例は少なくありません。目先の値動きに振り回されず、当初決めた方針を淡々と続けることが、結果的に資産形成の近道になります。

収入やライフイベントの変化に応じて、積立額を柔軟に見直すのも一つの方法です。ボーナス月だけ増額する設定や、昇給・支出の変化に合わせて金額を調整することで、無理なく積立を続けやすくなります。まずは少額からでも始めておき、余裕が出てきたタイミングで金額を引き上げていく、という進め方でも十分です。

最後に、積立商品を選ぶ際は、値動きの大きさ(リスク)と、期待できる利回りのバランスも意識しておきたいポイントです。

株式の比率が高い商品ほど長期的なリターンは期待できる一方、値動きも大きくなる傾向があります。ご自身がどこまでの値動きなら落ち着いて受け止められるか、無理のない範囲で商品を選ぶことも、長く続けるための工夫のひとつです。迷った場合は、まず少額から始めてみて、値動きへの慣れ具合を見ながら金額や商品を調整していくとよいでしょう。

参考資料

中本 智恵