3. 年金からも「税金・社会保険料」が天引きされる

注意したいのは、試算した金額があくまで「額面」だという点です。年金からは現役時代の給与と同じように、次のようなお金が差し引かれます。

  • 所得税や住民税
  • 後期高齢者医療保険料、国民健康保険料
  • 介護保険料

総務省の家計調査(2025年平均)によると、65歳以上の単身無職世帯では、実収入13万1456円に対して税金・社会保険料が1万2990円引かれ、手取りは11万8465円でした。

目安として、額面の1~1.5割ほどが天引きされると見ておきましょう。月13万6000円なら、手取りは12万円前後になる計算です。ただし、住民税や医療保険料、介護保険料は自治体、世帯所得、年齢などで異なるため、手取り額は居住地の保険料試算などを用いて個別に確認する必要があります。

4. 企業年金もチェック。受け取り方で手取りが変わる

会社員だった人は、公的年金に加えて「企業年金」も必ず確認すべきです。確定給付企業年金(DB)や企業型確定拠出年金(DC)など、制度ごとに受け取れる金額は異なります。

そして重要なのは、同じ企業年金でも「受け取り方」によって最終的な手取りが変わる点です。受け取り方は大きく、一時金でまとめてもらう方法と、年金形式で分割してもらう方法に分かれます。

4.1 一時金受け取り

一時金受け取りのメリットは、退職所得控除という大きな非課税枠を使える点です。

たとえば勤続38年なら控除額は2060万円に達し、この範囲内なら税金はかかりません。住宅ローンの完済など、まとまった用途にも充てられます。

一方で、手元にあると使いすぎてしまうリスクや、その後の運用を自分で担う負担がデメリットです。

4.2 年金受け取り

年金受け取りのメリットは、受給中も残りの資産が運用され続け、受取総額が増える場合がある点や、定期収入として家計を管理しやすい点です。

一方で、雑所得として毎年課税され、公的年金と合算されるため税金や社会保険料が増えやすいというデメリットがあります。

どちらが有利かは、退職金の額や他の収入、生活設計によって変わります。退職が近づいたら、勤務先の制度と控除額を確認し、手取りベースで比較してみてください。

5. まとめにかえて

平均年収400万円で38年間働いた場合、厚生年金+国民年金の目安は月額約13万6000円です。そこから税金や社会保険料が1割前後引かれる点も忘れてはいけません。

手取りを増やす鍵は、公的年金に上乗せされる企業年金の受け取り方にあります。額面ではなく「最終的に手元へ残る金額」で、老後の収入計画を立てていきましょう。

参考資料

柴田 充輝