4. 富裕層が「やっていること・やらないこと」3つ

年金の見込みがわかったら、次に気になるのは「では、老後に向けてどう貯めていくか」ではないでしょうか。証券会社でご家庭の資産形成を拝見してきた経験からみると、コツコツと資産を築く方には、共通する「やっていること」と「あえてやらないこと」があります。

4.1 富裕層がやっていること

一つ目は、収入の一部を「先取り」で自動的に貯めることです。使って余った分を貯めるのではなく、入ってきたら先に貯蓄や積立へまわし、残ったお金で暮らす。自動引き落としにしておけば、意志の力に頼らずに続けられます。この仕組みを利用できるのがポイントでしょう。

二つ目は、家計を「見える化」することです。毎月の収支と、いま自由に使えるお金を把握している人ほど、ムダに気づきやすくなります。

特に富裕層はお金の使い方に対して関心が強い方が多く、たとえばATMの手数料といった金額も習慣的に払わないように注意するなどして、その分を投資へまわすといった意識をされている方もいます。細かな金額でも把握し、「何に使うか」はしっかりと考えている方が多い印象でした。

4.2 やらないこと

一方で、あえて「やらないこと」もあります。まず、見栄や勢いで支出を増やしません。収入が増えても、住居や保険、通信などのランニングコストをむやみに膨らませないことが、手元にお金を残すコツです。「本当にお金を使う価値があるのか」という判断に対してはシビアな方が多いでしょう。

また、相場に振り回されて短期の売り買いを繰り返しません。値動きのたびに動くとコストもかさみ、気持ちも疲れてしまうことも。手数料や少額のムダを「まあいいか」では放置せず、大切にします。数百円でも、積み重なれば大きな差になると心得ている方でしょう。

裏を返せば、派手なことをしなくても、こうした小さな習慣の積み重ねが資産を築く一つになるともいえるでしょう。

5. 元証券会社社員から

平均年収600万円・勤続38年でも、年金は月およそ17万1000円。しかも手取りはさらに下がります。年金だけに頼るのが不安なら、「先取り」で貯める、本当にお金を使う価値があるかを考えるなどといった、お金が貯まる人の習慣をいまから一つずつ取り入れておきたいところです。

宮野 茉莉子(監修)
元証券会社社員としてお伝えしたいのは、老後の備えは「いまの年金見込みを知る」ことから始まる、ということです。今回の試算では、平均年収600万円・勤続38年で年金は月およそ17万1000円。ここから税や社会保険料が引かれ、手取りはさらに目減りします。だからこそ、生活費と照らして「毎月いくら足りないか」をつかんでおくことが大切です。その不足分を、貯めた人がやっているように、先取りの積み立てで少しずつ埋めていくイメージを持てると、不安はぐっと小さくなります。 早く始めるほど、毎月の負担は軽くてすみます。まずは、ねんきんネットなどでご自身の見込み額を確認し、無理のない金額から積み立てを始めてみてはいかがでしょうか。数字が見えると、不安は具体的な行動に変わっていきます。

参考資料

宮野 茉莉子