近年、物価高騰対策の給付金などで「住民税非課税世帯」という言葉を目にする機会が増えました。

住民税非課税世帯に該当すると、給付金の対象となる場合があるだけでなく、国民健康保険料や介護保険料の軽減など、さまざまな優遇制度を利用できる可能性があります。

中本 智恵

銀行の窓口では、パート収入の調整や年金の受け取り方に関する、お悩みやご相談を数多くいただいてきました。非課税の基準は自治体や世帯構成によって細かく変わるため、まずはご自身の状況に近いケースで目安を確認しておくことが大切です。

一方で、住民税非課税となる基準は自治体や世帯構成、収入の種類によって異なるため、一律に判断できるものではありません。

本記事では、住民税非課税世帯となる所得・収入の目安を確認するとともに、非課税ラインを意識した働き方や年金の受け取り方についても考えていきます。

1. この記事の3つのポイント

  •  住民税非課税の所得基準は世帯人数によって変わり、扶養親族がいる場合は加算される
  •  給与収入のみなら年収110万円(単身)~166万円(2人以上世帯)、年金収入のみなら155万円(65歳以上単身)が目安
  •  非課税ラインを意識してパート収入や年金の受け取り方を調整するという考え方もある

2. 住民税非課税世帯となる所得の目安は?

住民税非課税世帯に該当するかどうかは、前年の合計所得が自治体の定める基準額以下であるかが判断基準の一つです。

一例として神戸市では、前年の合計所得金額が一定額以下の場合、住民税が非課税となります。

  • 35万円×(本人+同一生計配偶者※+扶養親族数)+10万円+21万円
    ・ただし、21万円は同一生計配偶者※又は扶養親族がいる場合のみ加算します。
    ・※同一生計配偶者とは、納税義務者と生計を一にする配偶者で、前年の合計所得金額が58万円以下の方

なお、非課税の判定に使われる「合計所得金額」は、年収から給与所得控除などの必要経費を差し引いた後の金額であり、年収そのものとは異なります。

続いて、年収ベースでの目安を見ていきましょう。

3. 【給与・年金別】住民税非課税となる収入の目安は?

住民税非課税となる年収の目安は、収入の種類によって異なります。

ここでは、神戸市が公表している基準を参考に、給与収入と年金収入それぞれの目安を紹介します。

3.1 【給与収入のみ】住民税非課税となる年収の目安

神戸市では、給与収入のみの場合、単身世帯は年収110万円以下、扶養親族が1人いる世帯など2人以上の世帯では年収166万円以下が住民税非課税となる目安です。

非課税となる基準額は世帯人数や扶養の有無によって変わるため、自身の世帯状況に応じて確認することが大切です。

3.2 【年金収入のみ】住民税非課税となる年収の目安

公的年金のみを受け取っている場合は、年齢によって非課税となる基準額が異なります。

神戸市では、65歳以上の単身世帯は年金収入155万円以下、2人以上の世帯では211万円以下が目安です。

一方、65歳未満では、単身世帯は105万円以下、2人以上の世帯は171万3334円以下とされています。

年金収入の非課税ラインは、年齢に加えて世帯構成によっても異なるため、自分の状況に当てはめて確認しておきましょう。

中本 智恵

給与収入と年金収入で非課税ラインの金額感がまったく違う点は、意外と見落とされがちです。ご自身やご家族がどちらの収入で基準に近いのか、一度整理しておくと安心です。

4. 【筆者からのアドバイス】非課税ラインを意識した働き方・年金受け取りのアドバイス

筆者の銀行員時代、パート収入の調整や年金の受け取り方についてご相談を受ける際、「103万円の壁」や「106万円の壁」は意識していても、住民税非課税の基準までは把握できていない方が多い印象でした。

これらはそれぞれ別の基準であるため、扶養の範囲内で働きたい方は、両方のラインを意識しながら収入を調整する必要があります。

また、年金収入がある方については、繰上げ・繰下げ受給のタイミングによって非課税世帯に該当するかどうかが変わってくる場合があります。

繰下げ受給で年金額を増やした結果、非課税ラインを超えて保険料負担がかえって増えてしまうケースもあるため、「年金額を増やせば単純に得」とは言い切れない点に注意が必要です。

住民税非課税の基準は、働き方や年金の受け取り方を考えるうえでの一つの判断材料になります。

ご自身の収入構成が基準額に近い場合は、控除の仕組みや優遇制度の有無もあわせて確認したうえで、無理のない範囲で調整を検討することをおすすめします。

5. 自分の世帯が対象か確認し、収入とのバランスを考えよう

本記事では、住民税非課税世帯となる所得・収入の目安と、非課税ラインを意識した働き方や年金の受け取り方について解説しました。

住民税非課税となる基準は自治体によって異なり、世帯人数や扶養の有無、給与収入か年金収入かといった条件によっても変わります。

今回紹介した収入額はあくまで一例であり、自身が対象となるかどうかは、お住まいの自治体が公表している基準を確認することが大切です。

そのうえで、パート収入の調整や年金の受け取り方を考える際は、非課税ラインだけでなく、扶養や社会保険の壁もあわせて意識しておくと、より無理のない家計設計につながるでしょう。

参考資料

中本 智恵