50歳から65歳までの15年間、新NISAで毎月5万円を積み立てたら、資産はどこまで育つのでしょうか。結論からいえば、想定利回り3%で約1135万円が目安です。

本記事では利回り別のシミュレーションを確認します。あわせて、「投資は怖い」という人の受け皿になる、最新の個人向け国債の金利もチェックします。

1. この記事の3つのポイント

  •  50歳から15年間の長期的な資産形成を行う場合、少額投資非課税制度の非課税メリットを活用することで複利の力を生活基盤に取り入れやすくなる
  •  元本の変動に不安を覚える場合は、金利情勢に応じて利回りが変わる個人向け国債などの元本保証型商品を資産全体のバランスに組み込む工夫が役立つ。
  •  投資の継続を支えるのはシミュレーション上の利回りそのものではなく、自身の世帯手取りを把握し、先取りの仕組みを用いて家計の損益分岐点を整える日常的な管理である。

齊藤 慧
「官公庁の家計調査や労働統計を取材して感じるのは、50代後半からの15年間は、役職定年や再雇用によって額面収入が変化しやすく、手取り額が変動しやすい時期だという点です。シニア期の資産づくりは、利回りの高さだけでなく、家計の『可処分所得』の範囲内で継続できる無理のない掛け金を設計することが重要になります。制度の特徴を知り、現実的な収支に合わせた準備を進める参考にしてください。

※本記事は、編集部が金融庁などが公表する公式資料を確認の上、執筆・検証しています。

2. そもそも新NISAとは?運用益が非課税になる制度

新NISAとは、投資で得た利益が非課税になる国の制度です。通常、株式や投資信託の運用益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座で得た利益は非課税です。

2024年に始まった新NISAでは、年間最大360万円まで投資でき、非課税保有期間は無期限です。生涯の非課税保有限度額は1800万円で、そのうち成長投資枠は1200万円までです。投資枠は、投資信託の積立に使う「つみたて投資枠」と、上場株式や一定の投資信託なども買える「成長投資枠」の2種類で、併用も可能です。

新NISA制度2/3

新NISA制度

出所:金融庁「NISAを知る」

あくまで一例ですが、つみたて枠で全世界株や米国株のインデックス投信を毎月定額で自動積立し、ここを資産形成の土台にするイメージです。

成長投資枠は、たとえば①同じインデックス投信を上乗せして非課税枠を早く埋める②高配当株やETFで配当を狙う③個別株で値上がり益に挑戦する、といった使い分けが考えられます。

3. 【利回り別】月5万円を15年間続けたシミュレーション

毎月5万円を15年間積み立てると、元本は900万円です。運用益が複利で積み上がると、最終的な資産は利回りに応じて次のようになります。

  • 利回り1%:約971万円(運用益→約71万円)
  • 利回り3%:約1135万円(運用益→約235万円)
  • 利回り5%:約1336万円(運用益→約436万円)

※毎月末に5万円を積み立て、年利を月次換算して複利運用した場合の概算です。NISA口座での運用益は非課税ですが、購入時手数料・信託報酬・為替コストなどは考慮していません。実際の運用では元本割れする可能性があります。

複利とは、利益を再投資して、その利益がさらに利益を生む仕組みです。年5%で15年間続いた場合、運用益は元本の半分近くに達します。ただし、利回りは毎年一定ではなく、途中で元本割れする時期もあります。

4. 【利回り別】月3万円を15年間続けたシミュレーション

「毎月5万円はさすがにしんどい」という人は、月3万円から始めてみましょう。積立額を無理のない水準に抑えることが、結果的に長く続ける近道になります。

毎月3万円を15年間積み立てると、元本は540万円です。利回り別の最終資産は次のようになります。

  • 利回り1%:約582万円(運用益→約42万円)
  • 利回り3%:約681万円(運用益→約141万円)
  • 利回り5%:約802万円(運用益→約262万円)

※毎月末に3万円を積み立て、年利を月次換算して複利運用した場合の概算です。税金・手数料・信託報酬は考慮していません。

月5万円には及ばないものの、利回り3%なら運用益だけで約141万円が上乗せされます。家計に余裕が出てきたら増額すればよいので、まずは続けられる金額で一歩を踏み出すことが大切です。

5. 【投資が怖い人へ】最新の「個人向け国債」金利をチェック

元本割れリスクをできるだけ避けたい人には、個人向け国債という選択肢があります。金利のある世界が戻ったいま、その利回りは無視できない水準です。

個人向け国債とは、国が個人向けに発行する債券です。財務省によると、2026年7月募集分の金利(税引前・年率)は次のようになっています。

  • 変動10年:1.80%
  • 固定5年:1.95%
  • 固定3年:1.56%

個人向け国債の金利情報3/3

個人向け国債の金利情報

出所:財務省「個人向け国債」

個人向け国債は満期時・中途換金時とも額面100円につき100円で償還されるため、元本割れリスクはありません。ただし、発行後1年間は原則として中途換金できず、中途換金時には直前2回分の利子相当額に一定率を掛けた金額が差し引かれます。

変動10年は半年ごとに適用利率が見直されるため、今後金利が上がる局面では受取利子が増える可能性があります。一方で、金利が下がれば受取利子も減る点には注意が必要です。

ただし、株式投資のような大きな成長は期待できません。物価上昇率がこの金利を上回れば、実質的な価値は目減りします。「守りは個人向け国債、攻めは新NISA」と役割を分け、両方を組み合わせるのが現実的な使い方です。

6. まとめにかえて

50歳から月5万円を15年間積み立てると、利回り3%で約1135万円が目安になります。非課税の新NISAは、50歳代からでも老後資金づくりの心強い味方です。

値動きが不安なら、金利が1%台後半まで戻った個人向け国債を守りの土台に据える手もあります。攻めと守りを組み合わせて、自分が続けられる形で資産を育てていきましょう。

7. 監修者のコメント

齊藤 慧

50歳からの資産形成において、シミュレーション上の数字や利回りの比較だけに気を取られてしまうのは避けたいものです。

私が各種の社会調査を通じて痛感してきたのは、将来の安心を分ける要因が投資のテクニックではなく、毎月使える『可処分所得』を正しく把握し続けているか否かという現実です。

50代から60代にかけては、役職定年や継続雇用によって、額面以上に税金や社会保険料の天引き負担が重く感じられ、手取り収入が変化する節目を迎えます。だからこそ、今月手元にある給与明細や『課税決定通知書』を確認し、実際の家計収支のバランスを見直すことが防衛の第一歩になります。

新NISAや個人向け国債という手段も、無理のない先取り貯蓄の仕組みがあってこそ活かされます。公的な軽減措置の手続き手順と合わせ、確かな家計の土台づくりを今日から着実に進めていきましょう。

参考資料