3月は新年度の制度変更を確認しておきたいタイミングです。2026年度は年金額が改定され、標準的な夫婦世帯(会社員の夫と専業主婦の妻)で月額23万7279円と、前年度より4495円の増額となります。

一方で、「月30万円以上もらえる人はどれくらいいるのか」「年金は本当に破綻するのか」といった疑問や不安の声も多く聞かれます。

本記事では、厚生年金の受給額分布や高額受給者の割合、さらに制度に関するよくある誤解について整理し、現実的な見方を解説します。

1. 【2026年4月から】標準的な夫婦世帯の「厚生年金額」は月額23万7279円に!

厚生労働省は、物価や賃金の変動を踏まえ、令和8年度の年金額改定を発表しました。

▼令和8年度 年金額の例(月額)

  • 国民年金(満額・1人分):7万608円(前年度比+1300円)
  • 厚生年金(標準的な夫婦世帯):23万7279円(前年度比+4495円)
    ※厚生年金は、平均的な収入(平均標準報酬額45.5万円)で40年間就業した夫と、専業主婦の基礎年金を合算したモデルケースです。

2. 【厚生年金】支給日に「月額30万円以上」受け取れる人はどれくらい?

厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、老齢基礎年金を含む厚生年金の平均月額(男女計)は15万289円となっています。

では、受給額はどのような分布になっているのでしょうか。

2.1 厚生年金の「受給額ごとの割合」をチェック

厚生年金の受給額2/7

厚生年金の受給額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 10万円未満の割合:19.0%
  • 10万円以上の割合:81.0%
  • 15万円以上の割合:49.8%
  • 20万円以上の割合:18.8%
  • 20万円未満の割合:81.2%
  • 30万円以上の割合:0.12%

注目すべきは、「月30万円以上」を受給している人の割合で、その結果は0.12%でした。

約1000人に1人程度の水準で、極めて少ないことが分かります。

平均が約15万円台である点を踏まえると、月30万円を超える年金は例外的なケースといえるでしょう。

3. 年金制度の「よくある誤解」3選を解説

ここからは年金のよくある誤解について3つ確認していきましょう。

3.1 よくある誤解①:年金制度はいずれ破綻するの?

日本の公的年金には「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みが導入されています。

これは、少子高齢化や平均寿命の延びを考慮し、給付水準を自動的に調整する制度です。

あらかじめ財政の均衡を保つ仕組みが組み込まれているため、「突然支給が止まる」といった性質のものではありません。

重要なのは「制度が破綻するかどうか」ではなく、どの水準で持続していくのかという点を考えることです。

3.2 よくある誤解②:将来、年金保険料はもっと上がる?

厚生年金の保険料率は2017年に18.3%で固定されており、制度上、これ以上際限なく引き上げられる仕組みにはなっていません。

さらに、女性や高齢者の就労が広がったことで保険料収入が増加し、積立金の残高は当初の想定より約70兆円上振れする見通しとされています。

負担だけが一方的に増え続けるという単純な構図ではない点にも注意が必要です。

3.3 よくある誤解③:年金は元が取れない?

公的年金は、単なる積立型の貯金ではなく、以下の要素を含む社会保険制度です。

  • 老齢年金(長生きリスクへの備え)
  • 障害年金(病気やけがへの保障)
  • 遺族年金(家族の生活保障)

世代と世代の支えあい6/7

世代と世代の支えあい

出所:日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」

また、所得再分配の仕組みによって、現役時代の収入差ほど受給額に大きな差が出ないよう設計されています。

公的年金の所得再分配機能7/7

公的年金の所得再分配機能

出所:厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料①」

「元が取れるかどうか」といった単純な比較だけでは、本来の役割を評価することはできません。

4. まとめ|2026年の年金額改定と現実を踏まえた備えが重要

2026年度の年金額は増額改定となり、標準的な夫婦世帯では月額23万7279円と、前年度より4495円のプラスとなりました。

ただし、厚生年金で月30万円以上を受け取る人は、現役時代の収入や加入期間が長い一部の層に限られ、決して一般的とはいえません。

また、「年金は破綻する」「払い損になる」といった見方もありますが、実際には制度は見直しを重ねながら維持されており、老後の基盤としての役割は今後も続くと考えられます。

3月のこの時期は、新年度の制度変更を理解し、自分の年金見込みや老後資金を見直す絶好のタイミングです。

平均やモデルケースだけでなく、自身の状況と照らし合わせながら、早めに備えを進めていくことが大切です。

参考資料