2. 戦略17分野の全体像と注目ポイント
では、具体的にどのような分野が選ばれているのでしょうか。資料に掲載されている順に、17分野の全体像と泉田氏の寸評を見ていきましょう。
2.1 AI・半導体
資料の一番最初に来るのがこの分野です。株式市場でもすでに大きなテーマとなっていますが、国としても最重要課題として位置づけています。特に「フィジカルAI(AIロボット)」や半導体が先行検討の対象となっています。
2.2 デジタル・サイバーセキュリティ
社会のデジタル化が進む中で不可欠な基盤です。データプラットフォームや政府・地方公共団体のDX基盤が先行して検討されます。
2.3 情報通信
オール光ネットワークが先行対象となっているほか、海底ケーブルや次世代ワイヤレス技術も含まれています。島国である日本にとって、通信インフラはまさに国策と言えます。
2.4 量子
次世代の計算技術である量子コンピューティングが先行して検討されます。
2.5 防衛産業
地政学的な緊張が高まる中、小型無人航空機などが先行対象となっています。国防は継続的なテーマとして関心を集めています。
2.6 航空・宇宙
民間航空機や空飛ぶクルマ、ロケット射場などが先行対象です。米国でSpaceXが上場した話題もあり、日本でも宇宙ベンチャーの上場が続くなど、株式市場の関心も高い分野です。
2.7 海洋
海洋無人機(海洋ドローン)が先行対象となっているほか、革新的海底開発技術も挙げられています。四方を海に囲まれた日本にとって、海底資源の探査も含めて重要なポイントになると泉田氏は見ています。
2.8 造船
次世代船舶が先行して検討されます。
2.9 マテリアル(重要鉱物・部素材)
日本の製造業を支える素材産業です。モーターなどに不可欠な永久磁石が先行対象となっています。
2.10 合成生物学・バイオ
バイオものづくりやバイオ医薬品などが先行対象です。古くから注目されてきたテーマですが、改めて国策として位置づけられました。
2.11 創薬・先端医療
感染症対応製品などが先行対象となっており、ヘルスケア分野の強化が図られます。
2.12 資源・エネルギー安全保障・GX
次世代型太陽電池(ペロブスカイト)や水素、グリーン鉄などが先行対象です。脱炭素社会に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)の要となります。
2.13 フュージョンエネルギー
次世代の夢のエネルギーとされる核融合技術が先行して検討されます。
2.14 フードテック
食の安全保障の観点から、植物工場や陸上養殖が先行対象となっています。
2.15 防災・国土強靱化
インフラの老朽化が進む日本において、防災技術は古くから続く必須のテーマです。
2.16 港湾ロジスティクス
物流の要である港湾荷役機械などが先行対象です。
2.17 コンテンツ
日本が世界に誇るアニメやマンガ、音楽に加えて、ゲームが先行対象として赤字で示されています。
このように、先端技術からインフラ、食料、エンターテインメントに至るまで、非常に幅広い分野が網羅されていることがわかります。
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日