2024年に新しいNISA(少額投資非課税制度)がスタートして以降、将来に向けた資産形成への関心がいっそう高まっています。
私はかつて証券会社に勤務し、ファイナンシャルアドバイザーとして多くのお客様のライフプランに寄り添った資産運用をご提案してまいりました。
その中で、子育てや住宅ローンと並行して老後の準備も気になりはじめる40歳代の方から、「同世代がどれくらい貯蓄を持っているのか」とご相談を伺う機会が数多くありました。
同じ40歳代でも、二人以上世帯とひとり暮らしの単身世帯では家計の前提が異なるため、ご自身の状況に近いデータを知ることが大切です。
今回は、40歳代の平均貯蓄額と中央値を二人以上世帯・単身世帯に分けて比較したうえで、将来受け取る厚生年金の目安として「月20万円以上」もらう人の割合もみていきましょう。
1. 【40歳代の平均貯蓄額】二人以上世帯と単身世帯はいくら違う?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、40歳代の金融資産保有額は次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
1.1 40歳代(二人以上世帯)の貯蓄額(平均・中央値)
- 40歳代二人以上世帯:平均1486万円/中央値500万円
1.2 40歳代(単身世帯・おひとりさま)の貯蓄額(平均・中央値)
- 40歳代単身世帯:平均859万円/中央値100万円
二人以上世帯は平均1486万円・中央値500万円、単身世帯は平均859万円・中央値100万円。どちらも平均が中央値を上回っており、一部の貯蓄が多い世帯が平均を押し上げているため、より実感に近いのは中央値のほうといえます。
「貯蓄ゼロ」の世帯は二人以上世帯で18.8%、単身世帯で32.1%。単身世帯はおよそ3人に1人にのぼります。
一方で「2000万円以上」ある世帯は二人以上世帯で21.3%、単身世帯で12.7%。40歳代の時点でも、世帯ごとに金額の幅が広く、二極化のようすがうかがえます。
2. 厚生年金+国民年金「月20万円以上の人」は何割いるか解説
老後の家計の柱となるのが公的年金です。将来の年金額の目安として、いま厚生年金を受け取っている人の分布をみてみましょう。
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和6年度)」によると、厚生年金(基礎年金分を含む)の月額の到達割合は次のとおりです。
- 月10万円以上:81.0%
- 月15万円以上:49.8%
- 月20万円以上:18.8%
月20万円以上を受け取っている人は18.8%、およそ5人に1人にとどまります。
過半数は15万円以上ですが、20万円以上となるとぐっと少なくなります。なお、これは現在の受給者(男女合計)のデータで、40歳代が将来受け取る額は、現役時代の働き方や今後の制度改定によって変わる可能性があります。
公的年金だけでゆとりある暮らしを送るのは簡単ではないことがうかがえます。
だからこそ、現役期間が残っている40歳代のうちから、自助の備えを考えておきたいところです。
3. これからの40歳代、どう備える?
貯蓄と年金のデータをふまえ、40歳代ができる備えを2つの視点からみていきましょう。
3.1 時間を味方につけて積み立てる
40歳代は、定年まで20年前後の時間が残されている世代です。
新NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税制優遇制度を使い、長期で少しずつ積み立てることで、時間を味方につけやすくなります。
預貯金で生活防衛資金を確保したうえで、無理のない金額からはじめるのが基本でしょう。
ただし、投資には元本割れのリスクがあります。
金融商品や投資方法などによってリスクが異なるため、ご自身の家計や考え方、リスク許容度に合うものを無理のない範囲で検討したいところです。
3.2 世帯のかたちに合わせて家計を整える
単身世帯は、家計をひとりで支える前提のため、急な出費や収入の途絶えに備えた手元資金を厚めにしておくと安心です。
二人以上世帯は、教育費や住宅ローンと並行しながら、無理のない範囲で老後資金の準備も進めたいところ。
世帯のかたちによって優先順位は変わります。
4. まとめにかえて
今回みてきたとおり、40歳代の貯蓄は二人以上世帯で平均1486万円・中央値500万円、単身世帯で平均859万円・中央値100万円となっています。
世帯のかたちによって差があり、「貯蓄ゼロ」も単身世帯では約3人に1人と少なくありません。
厚生年金を月20万円以上受け取る人は約5人に1人で、公的年金だけに頼らない備えの大切さがうかがえます。
定年まで時間がある40歳代は、資産形成を始めるのに適した時期。まずは家計を確認し、できる範囲で準備を始めたいですね。
参考資料
安達 さやか