6月15日に年金支給日を終え、次は8月14日です。年金の支給は2か月に1回で、月に1度のタイミングで収入を得ていた現役時代からペースが変わり、家計管理が大変だと感じている方もいるのではないでしょうか。
折しも、2026年6月19日に総務省統計局が発表した「2020年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)5月分」では、生鮮食品を除く総合指数は113.0で、前年同月比は1.4%の上昇となりました。
2026年度の公的年金は物価上昇を反映し、4年連続のプラス改定となりましたが、まだまだ止まらない物価上昇のトレンド…年金の引き上げが実際の生活にどれほどの余裕が生まれるか不透明です。
現役時代の働き方によって受給額には大きな格差があります。
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯における1カ月あたりの消費支出は平均14万8445円となっています。
年金支給額がこの平均額を上回る、支給額「月額15万円」を超えている人は全体のどれくらいいるのでしょうか。
今回は、最新の2026年度の年金額例や、厚生年金の受給額別の分布データを詳しく紐解いていきます。
1. 日本の公的年金制度における「2階建て構造」とは?知っておきたい公的年金の仕組み
日本の公的年金制度は、ベースとなる「国民年金(基礎年金)」と、上乗せ部分の「厚生年金」から成り立つため、「2階建て構造」と呼ばれています。
2つの年金制度の基本を、確認していきましょう。
1.1 知っておきたい公的年金の仕組みと基礎知識
1.2 【1階部分】すべての人に関係する「国民年金(基礎年金)」
- 加入対象:原則として日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
- 保険料:全員定額、ただし年度ごとに改定される(※1)
- 受給額:保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降で満額の老齢基礎年金(※2)を受給できる。未納期間分に応じて満額から差し引かれる
※1 国民年金保険料:2026年度月額は1万7920円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2026年度月額は7万608円
1.3 【2階部分】会社員や公務員が上乗せで加入する「厚生年金」
- 加入対象:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たす人が、国民年金に上乗せで加入
- 保険料:収入に応じて(上限あり)決定される(※4)
- 受給額:加入期間や納付済保険料により、個人差が出る
2階部分の厚生年金は、会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入します。国民年金と厚生年金では、加入対象や年金保険料の決定方法、そこで受給額の計算方法などが異なります。
そのため、老後に受け取る年金額にも、その方の加入状況や収入によって差が生まれます。
また、公的年金額は物価や現役世代の賃金の変動に応じて毎年度見直される仕組みとなっている点も重要なポイントです。
※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
2. 【2026年度の国民年金・厚生年金の最新支給額】4年連続のプラス改定!国民年金(基礎年金)1.9%、厚生年金(報酬比例部分)2.0%の増加
公的年金の金額は、賃金や物価の動向を踏まえ、年度ごとに改定されます。2026年度分は、前年度より国民年金(基礎年金)1.9%、厚生年金(報酬比例部分)2.0%、4年度連続のプラス改定となりました。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):7万608円(1人分 ※1)
- 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※2)
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
国民年金のみの場合、満額(※3)でも月額で約7万円です。繰下げ受給(※4)の上限年齢である75歳まで受給を待機したとしても、月額13万円に届かないことになります。
※3 国民年金(老齢基礎年金)の満額:国民年金保険料を480カ月納付した場合に、65歳から受け取れる年金額
※4 繰下げ受給:老齢年金の受給開始年齢を66歳~75歳までの間に後ろ倒しする制度。「繰下げ月数×0.7%」の増額率が適用され、75歳で受給開始した場合の増額率は84%。
3. 厚生年金と国民年金で「月額15万円以上」もらえる人の割合は半数以下の「49.8%」
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の男女全体の平均月額は「15万289円」です。なお、この金額には1階部分の国民年金(老齢基礎年金)の月額部分が含まれています。
受給額ごとの人数分布は以下のとおりです。
3.1 【受給額別の分布】厚生年金の受給権者数データをチェック
- 1万円未満:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
厚生年金を月額15万円以上受給している人は、全体の半分に満たない49.8%です。厚生年金を受給していない人も含めて計算すると、この割合はさらに低くなります。
さらに月額10万円未満の受給権者は全体の約19%で、約5人に1人が該当しています。
4. まとめ:公的年金制度の仕組みを正しく理解して、安心できるシニアライフを
2026年度の年金増額は朗報ですが、受給額の分布を見ると「月15万円以上」を受け取れる層は決して多数派ではない現実が見えてきます。
特に今の60歳代以上の世代にとっては、今後の物価変動や社会保険制度の見直しが生活に直結するため、最新の情報を常にアップデートしておくことが欠かせません。
年金だけで不足する部分をどう補うか、日頃の支出の管理や部分的な就労など、それぞれの状況に合わせた柔軟なライフプランが必要とされています。
まずはご自身の「ねんきん定期便」などを通じて、将来実際に受け取れる見込み額を正確に把握することから始めてみましょう。
変化の激しい時代だからこそ、公的年金制度の仕組みを正しく理解し、見通しを持った安心できるシニアライフを築いていきたいものです。


