6. 監修者コメント:「月20万円」という基準を、窓口相談の実感から考える
銀行窓口で、「老後って月20万円あれば足りますか」というご質問を本当によく受けました。ですが実際には、住居費(持ち家か賃貸か、ローンが残っているか)や医療・介護費の見込みによって、必要な金額は世帯ごとにまったく違います。20万円という数字は「平均的な目安」としては便利ですが、ご自身の家計にそのまま当てはめてよい数字ではない、という点はまず押さえておいていただきたいです。
また、繰下げ受給についても、窓口では「増額率の大きさ」にばかり注目される方が多い印象でした。しかし実際にご相談を受ける中で重要だったのは、繰り下げている間の生活費をどう確保するか、そして繰下げ中に本人が亡くなった場合、その期間の年金は原則として遡って受け取れない(未支給分の扱いになる)という点への理解です。増額率だけでなく、ご自身や配偶者の健康状態、貯蓄の余力を踏まえたうえで判断することをおすすめします。
最後に、厚生年金で月20万円以上受け取れる人が18.8%にとどまるというデータは、裏を返せば「多くの方が公的年金だけでは目標額に届かない」という現実を示しています。現役時代のうちからiDeCoや新NISAなどで年金以外の資産形成を進めておくこと、そして退職が近づいたら「ねんきん定期便」で自分の見込額を具体的な数字として把握しておくことが、老後の家計不安を減らす一番の近道だと感じています。
7. 月額20万円を目安に、年金以外の老後資金も準備しよう
本記事では、国民年金と厚生年金の仕組みや平均受給額、国民年金を繰下げ受給した場合の試算、厚生年金を月額20万円以上受け取る人の割合について解説しました。
2026年度の国民年金の満額は月額7万608円で、75歳まで繰り下げても月額約12万9900円となるため、国民年金だけで月額20万円を受け取ることは現実的ではありません。
また、厚生年金で月額20万円以上を受給している人は全体の18.8%で、8割以上は20万円未満です。
老後の生活費は世帯ごとの収入や支出によって異なります。
自身の年金見込額を確認し、公的年金で不足する可能性がある場合は、現役時代から貯蓄や資産形成などで補う準備を進めることが大切と言えるでしょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
鶴田 綾
