8月は2カ月に一度の「年金支給月」にあたります。連日の猛暑による電気代高騰や物価高などで夏の出費がかさむなか、支給日を迎えて「将来自分はいくらもらえるのだろう」と関心を強めた方も多いのではないでしょうか。
老後の生活費を考える際、「年金で月額20万円を受け取れるか」は一つの目安になりますが、実際に年金を20万円以上受け取っている人はどのくらいいるのでしょうか。
本記事では、公的年金の基本や平均受給額を整理したうえで、国民年金だけで月額20万円を受け取れるかを試算し、厚生年金で月額20万円以上を受給する人の割合を確認します。
なお、年金の平均受給額や制度の仕組みに関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. 記事を読むとわかる3つのポイント
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公的年金は「国民年金+厚生年金」の2階建て構造で、平均受給額には男女で大きな差がある -
国民年金だけで月額20万円を受け取るのは、繰下げ受給を使っても現実的ではない -
厚生年金で月額20万円以上を受け取っている人は全体の18.8%にとどまる
2. 公的年金制度は「国民年金+厚生年金」の2階建て
まずは、日本の公的年金制度の基本的な仕組みについて確認しておきましょう。
日本の公的年金は、1階部分となる「国民年金(基礎年金)」と、2階部分にあたる「厚生年金」で構成されています。
2.1 1階部分:国民年金(基礎年金)ってどんな制度?
- 誰が加入する?:原則として「国内在住の20歳以上から60歳未満」全員
- 保険料はいくら?:全員一律(2026年度月額 1万7920円)
- 老後の受給額はいくら?:全期間(480カ月)納付すれば満額(2026年度月額 7万608円)
- 被保険者区分は?:第1号~第3号の3区分
国民年金の被保険者区分
- 第1号被保険者:農業者・自営業者・学生・無職の人など
- 第2号被保険者:厚生年金の加入者
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者
2.2 2階部分:厚生年金ってどんな制度?
- 誰が加入する?:会社員や公務員、またパート・アルバイトで特定適用事業所に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入
- 保険料はいくら?:収入に応じて決まり、給与からの天引きで納付(保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算)
- 老後の受給額はいくら?:加入期間や納めた保険料により個人差あり
- 被保険者区分は?:第1号~第4号の4区分
厚生年金の被保険者区分
- 第1号:第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人
- 第2号:国家公務員共済組合の組合員
- 第3号:地方公務員共済組合の組合員
- 第4号:私立学校教職員共済制度の加入者
3. 厚生年金と国民年金の平均受給額はいくら?
ここからは、厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金と国民年金の平均年金月額を確認します。
3.1 厚生年金の平均年金月額を見る
- 男女全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
※ここで紹介する厚生年金額には、国民年金部分が含まれています。また、会社員など民間事業所で働いていた人が受給する「厚生年金保険(第1号)」の年金月額です。
3.2 国民年金の平均年金月額を見る
- 男女全体:5万9310円
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
国民年金の平均月額は、男性が6万円台、女性が5万円台です。
国民年金は全員が原則として一律の保険料を納めるため、厚生年金ほど受給額に大きな差が生じにくい仕組みです。
一方、厚生年金は国民年金に上乗せして支給されます。
受給額には加入月数や加入中の収入が反映されるため、国民年金よりも個人差が生じやすい点が特徴です。
厚生年金の平均月額は男女全体で15万289円ですが、男性は16万9967円、女性は11万1413円となっており、男女の平均額にも大きな開きがみられます。
公的年金だけで老後の生活費をまかなえるかを考える際、「月額20万円」は一つの目安となるでしょう。
4. 「国民年金だけ」で月20万円を受け取ることはできる?
2026年度の老齢基礎年金(国民年金)の満額は、月額7万608円で、年間では約84万7000円となり、月額20万円(年間240万円)とは約155万円の差があります。
老齢年金は、65歳より受給開始時期を遅らせる「繰下げ受給」を選択することもできます。
繰下げ受給では、1カ月遅らせるごとに年金額が0.7%増額され、75歳まで繰り下げると最大84%増額されます。
2026年度の国民年金満額(月額7万608円)を75歳まで繰り下げた場合、受給額は約12万9900円(7万608円×1.84)となりますが、それでも月額20万円には届きません。
このことからも、国民年金だけで月額20万円を受け取ることは現実的ではなく、厚生年金への加入や私的年金、資産形成などを組み合わせて老後資金を準備することの重要性が分かります。
では、実際に厚生年金を受給している人のうち、月額20万円以上を受け取っている人はどのくらいいるのでしょうか。
次章では、受給額ごとの分布からその割合を確認していきます。
5. 厚生年金を月額20万円以上受け取る人の割合は?
ここでは、国民年金部分を含む厚生年金の受給額分布を見ていきます。
5.1 厚生年金の受給額別人数を見る
- 1万円未満:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
厚生年金を月額20万円以上受け取っている人は、受給権者全体の18.8%です。
裏を返すと、8割以上の人は月額20万円未満となっています。
実際の生活は世帯全体の収入や支出をもとに考える必要がありますが、公的年金だけでは生活費が不足する可能性もあります。
そのため、現役時代から貯蓄や資産形成などを進め、年金以外の老後資金を準備しておくことが重要です。
なお、18.8%という割合は、厚生年金を受給している人のみを対象としており、国民年金だけを受給する人まで含めると、年金月額が20万円以上となる人の割合は、さらに低くなると考えられます。
なお、年代別(60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上)の平均年金月額についてはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
4月分(6月支給分)から年金が増えます!老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら? いまどきシニアの平均月額を整理





