7月に入り、2026年も折り返しを迎えました。

物価高の影響が長引く中、老後の生活に漠然とした不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。

特に、単身世帯で「おひとりさま」として暮らす人は、ご自身の貯蓄のみで老後に備える必要があります。

「いくら貯めれば安心なのか」「周りはどの程度貯蓄しているのか」など、貯蓄に関する悩みは尽きないでしょう。

今回は、おひとりさまの年代別貯蓄額の平均と中央値を一覧で紹介します。

1. この記事の3つのポイント

  •  おひとりさまの貯蓄額は年代が上がるほど平均・中央値ともに増加するが、平均と中央値の乖離が大きい
  •  どの年代でも金融資産非保有・100万円未満の人が約4〜5割を占め、貯蓄の二極化が見られる
  •  貯蓄の差を生む要因として「①お金の状況の把握」「②先取り貯蓄の仕組み化」「③お金の情報収集」の3つが大事

 

2. 《おひとりさまの貯蓄額》平均と中央値を年代別にチェック

J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「2025年家計の金融行動に関する世論調査」のデータをもとに、30代〜60代の貯蓄額を見ていきましょう。

※なお、これから確認する金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

年代別貯蓄額の平均・中央値1/1

年代別貯蓄額の平均・中央値

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「2025年家計の金融行動に関する世論調査」をもとにLIMO編集部作成

2.1 【30代】おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)

30代単身世帯の貯蓄額の平均・中央値は、以下のとおりです。

  • 平均:501万円
  • 中央値:100万円

〈金額別の分布〉

  • 金融資産非保有:32.3%
  • 100万円未満:14.2%
  • 100~200万円未満:14.2%
  • 200~300万円未満:4.9%
  • 300~400万円未満:4.3%
  • 400~500万円未満:2.8%
  • 500~700万円未満:5.5%
  • 700~1000万円未満:3.1%
  • 1000~1500万円未満:5.5%
  • 1500~2000万円未満:4.3%
  • 2000~3000万円未満:2.5%
  • 3000万円以上:3.4%
  • 無回答:3.1%

30代の平均は501万円であるのに対し、中央値は100万円となっています。

この2つの数値には大きな乖離がありますが、平均は一部の富裕層によって押し上げられる傾向があるため、実態よりも高額になりやすいです。

ご自身の貯蓄額と比較する際は、全体のちょうど真ん中に位置する中央値を目安とするのがよいでしょう。

また、30代では金融資産非保有・100万円未満の人の割合が合わせて46.5%となっています。

2.2 【40代】おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)

40代単身世帯の貯蓄額の平均・中央値は、以下のとおりです。

  • 平均:859万円
  • 中央値:100万円

〈金額別の分布〉

  • 金融資産非保有:32.1%
  • 100万円未満:15.1%
  • 100~200万円未満:7.1%
  • 200~300万円未満:5.9%
  • 300~400万円未満:4.3%
  • 400~500万円未満:2.2%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:4.6%
  • 1000~1500万円未満:6.2%
  • 1500~2000万円未満:1.2%
  • 2000~3000万円未満:2.8%
  • 3000万円以上:9.9%
  • 無回答:2.5%

40代の中央値は30代と変わらず100万円ですが、平均は859万円と300万円以上高くなっています。

金融資産非保有・100万円未満の人が47.2%いる一方で、3000万円以上の貯蓄がある人は9.9%と、全体の約1割に達しています。

2.3 【50代】おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)

50代単身世帯の貯蓄額の平均・中央値は、以下のとおりです。

  • 平均:999万円
  • 中央値:120万円

〈金額別の分布〉

  • 金融資産非保有:35.2%
  • 100万円未満:10.1%
  • 100~200万円未満:7.4%
  • 200~300万円未満:4.6%
  • 300~400万円未満:2.7%
  • 400~500万円未満:3.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:4.6%
  • 1000~1500万円未満:6.0%
  • 1500~2000万円未満:3.3%
  • 2000~3000万円未満:5.5%
  • 3000万円以上:10.4%
  • 無回答:1.9%

50代になると、平均と中央値の差はさらに開きます。

ただし、金融資産非保有・100万円未満の人も4割を超えており、個人によって貯蓄への意識が大きく異なる様子がうかがえます。

2.4 【60代】おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)

60代単身世帯の貯蓄額の平均・中央値は、以下のとおりです。

  • 平均:1364万円
  • 中央値:300万円

〈金額別の分布〉

  • 金融資産非保有:30.4%
  • 100万円未満:9.1%
  • 100~200万円未満:4.3%
  • 200~300万円未満:2.4%
  • 300~400万円未満:4.5%
  • 400~500万円未満:3.1%
  • 500~700万円未満:6.0%
  • 700~1000万円未満:4.8%
  • 1000~1500万円未満:8.1%
  • 1500~2000万円未満:4.1%
  • 2000~3000万円未満:5.5%
  • 3000万円以上:15.6%
  • 無回答:2.2%

60代では、それまで100万円台であった中央値が300万円まで上がります。

これは、退職金や相続資産による影響であると考えられるでしょう。

また、60代においても約4割は金融資産非保有・100万円未満となっています。

3. 【元銀行員の視点から】貯蓄の差はどこで生まれる?意識すべき3つのポイントとは

30〜60代の貯蓄額は、どの年代においても個人差が大きいことがわかりました。

では、貯蓄がある人とない人の差はどこで生まれるのでしょうか。

本章では、貯蓄のために意識すべきポイントを3つ解説します。

3.1 ポイント1:お金の状況を具体的に把握する

貯蓄がある人とない人の差として、お金の状況を具体的に把握しているかどうかが挙げられます。

お金が貯まらない人は、「どこにお金を使いすぎているのか」「なぜお金が貯まらないのか」を把握できていない場合が多いです。

家計簿をつけて支出を具体的に分析することで、節約すべきポイントを洗い出せます。

また、支出とともに現在・将来の収入についても確認すれば、老後までの貯蓄計画をより明確化させられます。

キャリアプランを見据えた年収の変化や将来の年金額をチェックし、最適な貯蓄ペースを見極めましょう。

3.2 ポイント2:貯蓄を「仕組み化」する

「毎月の生活費から余った分を貯蓄しよう」と考える人は多いですが、この方法では貯蓄ペースが乱れやすいうえ、月によっては貯蓄分を確保できない可能性も。

財形貯蓄や自動積立定期などを活用して、「先取り貯金」の仕組みを整えましょう。

3.3 ポイント3:お金に関する情報をキャッチする

新NISAのスタートやiDeCoの制度改正など、お金に関する情報は目まぐるしく変化しています。

リスクを伴う資産運用には抵抗を示す人も少なくありませんが、必要な情報をキャッチすることで、その後の選択肢が広がるのも事実です。

うまく活用すれば効率よく貯蓄を増やせる可能性もあるため、まずは情報収集だけでも意識してみるとよいでしょう。

4. 老後に向けて貯蓄計画を見直してみよう

ゆとりあるセカンドライフを送るためには、現役時代からの計画的な貯蓄が不可欠です。

まずはご自身の年代に当てはまる貯蓄額の中央値をチェックし、現在の立ち位置を把握してみましょう。

また、貯蓄計画は収入・支出の変化に合わせて定期的に見直すことが重要です。

この機会に家計収支と貯蓄を再確認して、先取り貯金を「仕組み化」してみてはいかがでしょうか。

4.1 監修者からワンポイントアドバイス:「中央値が上がる60代」の裏にある二極化に注意

中本 智恵

60代で中央値が300万円まで上昇する背景には、退職金や相続といった「まとまった資金が入るタイミング」が大きく影響しています。ただし、ここで注意していただきたいのは、60代になっても約4割の方が金融資産非保有・100万円未満のままだという事実です。退職金や相続の有無、そしてそれ以前からの積立習慣の有無によって、60代では貯蓄額の二極化がむしろ拡大していく傾向があると感じています。

私が銀行員時代、相談を受けてきた中で、老後の資金に余裕を持てていた方に共通していたのは、退職金という「点」の資金だけに頼るのではなく、現役時代からの積立という「線」の準備を並行して行っていた点でした。退職金はまとまった金額に見えますが、一括で受け取った後の運用や取り崩し方を誤ると、想定より早く目減りしてしまうケースも少なくありません。

また、記事の3つのポイントにあるとおり、お金の情報を早くからキャッチしている方ほど、新NISAやiDeCoといった制度をうまく活用し、退職金が入る前の段階から資産形成を進められていました。60代で中央値が上がるという数字に安心するのではなく、「自分は今どちらの側にいるのか」を現役のうちから確認し、先取り貯蓄の仕組みづくりを早めに始めていただくことをおすすめします。

参考資料

池田 夕華