7月に入り、本格的な夏の暑さが続く時期となりました。冷房などの光熱費が膨らみやすいこの季節は、日々の生活費と将来の年金収入のバランスを改めて見直す適期です。
老後の生活設計を考えるとき、多くの人が最初に気になるのは「自分は年金をいくらもらえるのか」という点ではないでしょうか。会社員として働いてきた人の場合、老後に受け取る公的年金は、原則として国民年金と厚生年金の2本立てになります。
では、平均年収400万円で38年間働いた人は、将来どれくらいの年金を受け取れるのでしょうか。結論からいえば、一定の前提を置いた簡易試算では、厚生年金と国民年金を合わせて月額13万6000円前後がひとつの目安になります。
そこで今回の記事では、平均年収400万円で38年間働いた場合の年金月額の目安を試算します。あわせて、年金から差し引かれる税金や社会保険料、額面と手取りの違いについても確認していきます。
1. 年収400万円・38年勤務なら年金はいくらか
まず、今回の試算では次のような人を想定します。
- 平均年収は400万円
- 2003年4月以降に厚生年金へ38年間加入
- 国民年金の納付済期間も38年
- 配偶者や扶養家族に関する加算は考慮しない
- 65歳から老齢年金を受け取る前提
会社員や公務員は、厚生年金に加入している期間について、国民年金にも同時に加入している扱いになります。そのため基礎年金である国民年金に、会社員時代の報酬や加入期間に応じた厚生年金が上乗せされて支給されます。
1.1 厚生年金と国民年金、それぞれいくらもらえるか
厚生年金
厚生年金の金額は、会社員として働いた期間や、その間の報酬によって変わります。ここでは、わかりやすくするために、次の前提で試算します。
- 平均年収:400万円
- 平均標準報酬額:約33万3000円
※年収400万円を12カ月で割った金額 - 厚生年金の加入期間:38年
- 加入月数:456カ月
※38年×12カ月
2003年4月以降の厚生年金の報酬比例部分は、概算で次の式を使って計算できます。
平均標準報酬額 × 5.481 ÷ 1000 × 加入月数
※2003年4月以降の加入期間の場合
この前提で計算すると、厚生年金部分は年額約83万円となります。月額にすると、約6万9000円がひとつの目安です。
国民年金
一方、国民年金は、20歳から60歳までの40年間保険料を納めると、老齢基礎年金を満額受け取れます。ここでは、現時点での受給額を参考に試算します。
- 2026年度の老齢基礎年金の満額:月額7万608円
- 年額にすると:約84万7300円
- 国民年金の納付済期間:38年(学生納付特例、追納なし)
- 満額に対する割合:38年 ÷ 40年
また、今回のモデルケースでは、満額に対して保険料を納めた期間の割合をかけて考えます。
老齢基礎年金の満額 × 38年 ÷ 40年
この前提で計算すると、38年納付の場合の国民年金は年額約80万5000円となります。月額にすると、約6万7000円がひとつの目安です。
以上を整理すると、次のようになります。
| 項目 | 年額の目安 | 月額の目安 |
|---|---|---|
| 厚生年金 | 約83万円 | 約6万9000円 |
| 国民年金 | 約80万5000円 | 約6万7000円 |
| 合計 | 約163万5000円 | 約13万6000円 |
※いずれも一定の前提を置いた概算です。実際の年金額は、加入期間や過去の収入、保険料の納付状況などによって異なります。
つまり、平均年収400万円で38年間働いた人の年金は、厚生年金と国民年金を合わせて月13万円台半ばがひとつの目安になります。
ただし、ここでの金額は、あくまで理解しやすくするための概算です。実際の年金額は、給与や賞与の推移、加入時期、未納・免除期間、繰上げ・繰下げ受給の有無などによって変わります。
2. 月13万円台は「額面」ベース、手取りは少なくなる
注意したいのは、年金の支給額がそのまま手元に残るわけではないことです。現役時代の給与と同じように、公的年金からも税金や社会保険料が差し引かれる場合があります。
主に確認したい項目は次のとおりです。
- 所得税
- 住民税
- 介護保険料
- 国民健康保険料
- 後期高齢者医療保険料
年金から差し引かれる金額は、住んでいる自治体、年齢、所得、世帯構成、加入する医療保険制度などによって異なります。そのため、「年金月額13万6000円なら手取りはいくら」と一律に言い切ることはできません。
ただし、老後資金を考えるうえでは、額面よりも手取りが少なくなることを前提にしておく必要があります。
たとえば、税金や社会保険料で毎月1万円前後が差し引かれれば、使えるお金は月12万円台になる可能性もあります。
3. 自分の年金見込額を確認するには?
今回の試算は、平均年収400万円・38年勤務という条件を置いたモデルケースです。実際の金額を知りたい場合は、自分の記録を確認しましょう。
ウェブ上にはさまざまな年金試算ツールがありますが、正確な数字を確認できるのは、日本年金機構の「ねんきんネット」です。
ねんきんネットを使えば、働き方や受給開始年齢を変えた場合の試算もできます。
特に50代以降は、年金見込額が老後の家計設計に直結します。受給開始まで時間があるうちに、年金だけで足りるのか、貯蓄や運用でどれくらい補う必要があるのかを確認しておきましょう。
4. 老後の資産形成は「収入(年金)」「支出」「資産」の確認から
今回の記事では、厚生年金と国民年金の仕組みを整理しながら、平均年収400万円で38年間働いた場合の年金月額の目安を試算しました。
老後資金を考える際は、平均額やモデルケースを参考にすることも大事ですが、自分の年金記録を確認することを先に行いましょう。
年金見込額を把握したうえで、生活費との差額をどう補うかを早めに考えておくと、老後の資金計画を立てやすくなります。
厚生年金の平均受給額を見ると、自分の試算額が高いのか低いのかを確認する材料になりますが、平均値だけで安心したり、不安になりすぎたりするのは避けたいところです。
厚生年金は、現役時代の収入や加入期間の影響を大きく受けます。長く会社員として働き、収入が高かった人ほど年金額は増えやすくなります。一方、非正規雇用の期間が長い人、厚生年金に加入していない期間がある人、育児・介護などで働き方を変えた人は、想定より少なくなることもあります。
また、老後の支出は人によって大きく異なります。持ち家か賃貸か、住宅ローンが残っているか、医療費や介護費がどれくらいかかるかでも、必要な生活費は変わります。
年金月額だけを見るのではなく、毎月の生活費、臨時支出、貯蓄、退職金、iDeCoや新NISAなどの資産形成も含めて、全体で考えることが大切です。
