2024年から始まった新NISAにより、投資信託の長期積立投資がこれまで以上に注目を集めています。中でも人気なのが、三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称「オルカン」と、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」です。
資産形成に関心を持ち始めた人の中には、「人気のオルカンとS&P500、結局どちらを選ぶべきだろう?」と悩む人も多いでしょう。
そこで本記事では、新NISAの投資先として定番の2大ファンド「オルカン」と「S&P500」を徹底比較します。それぞれの基本的な違いや過去の運用実績をわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
1. 3つのポイントの見出し
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オルカンは1本で全世界の約2500銘柄に分散投資でき、地政学リスクの軽減や値動きの安定性が期待できる。 -
S&P500は米国の優良企業500社に集中投資するため高いリターンを狙える一方、米国経済の下落リスクもダイレクトに受ける。 -
目先のリターンに惑わされず自身の動機やリスク許容度で選ぶことが大切である。
2. オルカンは全世界にマルっと投資!
まずはファンドの中身と基本的な特徴を比較しましょう。オルカンとS&P500はいずれも低コストのインデックスファンドであり、分散投資に適した人気商品です。
オルカンは「オールカントリー」の略称で、名称のとおり全世界の株式市場を対象としています。先進国はもちろん新興国や日本も含め、約2500銘柄以上に分散投資しているため、たった1本で「世界全体にまるごと投資」できる点が最大の特徴です。
地域配分を見ると、組入比率トップはアメリカで約63%(63.0%)、次いで日本で約5%(5.1%)、その次に台湾(3.1%)、イギリス(3.0%)と続いており、実は全世界といっても米国株の割合が高くなっています。
実際、組入上位銘柄もNVIDIAやApple、Microsoftといった米国の大型ハイテク企業が並んでおり、米国市場から得られる成長恩恵をしっかり取り込める構成になっています。
とはいうものの投資先は世界中に広がっているため、一国依存のリスクは軽減されており、地政学リスク分散や値動きの安定性というメリットがあります。「どの国が今後伸びるか」を個人で予想する必要がない点も、初心者には心強いでしょう。
3. S&P500はアメリカの優良企業500社に投資!
S&P500はアメリカの代表的な約500社で構成される株価指数「S&P500」に連動するファンドです。
投資対象は実質的に米国株100%であり、アップル、マイクロソフト、NVIDIA、アマゾンなど世界経済を牽引する米国トップ企業群にまとめて投資できる点が魅力です。
ただし、良くも悪くも投資先がアメリカ一国に集中しているため、米国経済の影響をダイレクトに受ける点には注意しましょう。米国市場が好調なときは大きく値上がりしますが、景気後退局面では下落幅も大きくなりがちです。
成長性の高さと引き換えにリスクも集中している点がS&P500の特徴です。そのため、「より高いリターンを狙いたいが米国株のボラティリティも受け入れる」というスタンスの投資家に向いており、逆に安定重視なら全世界に分散されたオルカンの方が安心感があると言えるでしょう。
4. 運用実績を比較!過去のリターンはどちらが優勢?
次に、両ファンドの過去のパフォーマンスを見てみましょう。それぞれの過去1カ月、3カ月、6カ月、1年、3年、そして設定来のリターンを比較してみます。
4.1 オルカンとS&P500の過去のリターン
- オルカン S&P500
- 過去1カ月 +0.7% +0.3%
- 過去3カ月 +18.2% +19.4%
- 過去6カ月 +13.9% +12.3%
- 過去1年 +38.2% +36.5%
- 過去3年 +93.2% +95.9%
- 設定来 +280.2% +344.0%
※設定日:S&P500は2018年7月、オルカンは2018年10月 - ※2026年6月30日時点
どちらも運用益はプラスになっていますが、期間によって優劣が異なることが分かります。直近1カ月・6カ月・1年ではオルカンがS&P500を上回っています。
一方、3カ月・3年、そして設定来の実績で見るとS&P500のリターンが高く、米国株式の長期的な成長力の強さが際立っています。ただし、これらはあくまで過去の実績であり、将来の成果を保証するものではありません。期間の切り取り方によって見え方が変わる点を理解したうえで、投資判断を行うことが重要です。
5. 両ファンドを正しく理解し、自分に合った選択をしよう
オルカンとS&P500は、いずれも低コストで長期投資に適した優れた投資信託です。
世界全体に分散投資できるオルカンは特定の国や地域に依存しにくく、価格変動を抑えたい人に向いています。一方、S&P500は米国経済の成長をダイレクトに享受できる反面、値動きは大きくなりがちです。
どちらが優れているかを一概に決めることはできず、重要なのは自分のリスク許容度や運用目的に合っているかどうかです。相場を正確に予測することは困難なため、ファンドの特性を理解したうえで、納得できる商品を選んでみてください。
参考資料
苛原 寛