4. 厚生年金で月15万円以上受け取る人の割合
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者全体の平均受給額は月15万289円となっています。
この金額には、国民年金(老齢基礎年金)の受給額も含まれています。
受給額ごとの人数は以下のとおりです。
4.1 厚生年金の「受給額ごとの受給権者数」をチェック
- 1万円未満:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
月15万円以上の厚生年金を受給している人は全体の49.8%で、半数には届いていません。
さらに、厚生年金に加入していない人も含めると、この割合はさらに低くなります。
月15万円という数字だけを見ると「思ったより少ない」と感じる方も多いかもしれません。ただし、これは老齢基礎年金部分を含んだ金額であり、厚生年金に短期間しか加入していない方や、国民年金のみの方はさらに少ない受給額になります。平均や中央値に惑わされず、ご自身の加入実績に基づいた金額を確認することが大切です。実際に、窓口でねんきん定期便を一緒に確認すると、想定より少ない金額に驚かれるお客様も少なくありませんでした。早めに実額を把握しておくことで、老後資金の準備にも余裕を持って取り組めます。分布データを見ても、受給額は月1万円未満から30万円以上まで幅広くばらついており、「平均額」だけを見て自分の見込み額を判断するのは危険だと感じています。
5. シニア世代の生活実態に関する調査データを見る
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」を見ると、シニア世代の生活実態がうかがえます。
5.1 「年金だけで不自由なく暮らせる」は少数
60歳代・70歳代ともに、「年金でさほど不自由なく暮らせる」と回答した割合は、二人以上世帯・単身世帯を合わせても8~12%台にとどまっています。
5.2 単身世帯では生活費の不足感が大きい
「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答した割合は、二人以上世帯では26~33%台でした。
一方、単身世帯では60歳代が50.7%、70歳代でも35.5%となっています。
5.3 最も多い理由は物価上昇
年金生活にゆとりがない理由として最も多かったのは、いずれの年代・世帯でも「物価上昇等」で、回答割合はいずれも50%を超えています。
これに続き、「医療費の自己負担増」や「年金支給額の切り下げ」などが挙げられています。
この結果から、多くのシニア世帯が物価高による家計への影響を実感しており、年金だけで余裕を持って暮らすことが難しい状況にあることが分かります。
実際に年金生活を送っている方の「物価上昇でゆとりがない」という声は、現場の実感とも一致します。年金額の引き上げが行われても、物価の伸びが上回れば実質的な購買力は目減りしてしまいます。年金だけに頼らず、現役時代からの備えがより重要になっていると感じています。特に単身世帯では、頼れる相手がいない分、急な出費や体調の変化にも一人で対応しなければならない場面が増えます。生活費だけでなく、緊急時の備えとしてのまとまった資金も意識しておく必要があるでしょう。
6. 年金の受給実態を把握し、老後資金の準備を進めよう
本記事では、公的年金制度の仕組みや2026年度の年金額、厚生年金の受給実態、さらにシニア世代の生活実態について解説しました。
2026年度は国民年金・厚生年金ともに支給額が引き上げられたものの、実際の受給額は加入期間や現役時代の収入によって大きく異なります。
厚生年金の平均受給額は約15万円ですが、月15万円以上を受け取る人は全体の半数に届かず、国民年金のみを受給する場合は満額でも月約7万円です。
老後の生活設計を考える際は、平均額やモデルケースだけで判断せず、「ねんきんネット」などで自身の見込み受給額を確認し、必要に応じて資産形成や家計の見直しを進めていくことが大切です。
7. 現役IFAの筆者から:老後資金づくりのための資産運用アドバイス
証券会社で個人向けのコンサルティング営業を担当していた頃から、地方公共団体や学校法人などの資産運用に携わってきた現在まで、「年金だけで老後は大丈夫だろうか」というご相談を数多く受けてきました。今回ご紹介したとおり、厚生年金を含めても月15万円以上受け取れる方は全体の半数に届かず、平均的な年金収入だけで生活費をすべて賄うのは簡単ではないのが実情です。特に地方公共団体や学校法人などの資産運用に携わるなかでは、限られた資金をどう配分し、どのようなリスクを取るかという判断が、個人の資産形成にも通じる部分が多いと感じています。
こうした状況を踏まえると、公的年金を土台としつつ、現役時代からNISAやiDeCoなどを活用して自分自身の年金を上乗せしていく発想が欠かせません。特にiDeCoは、今回の年金制度改正で加入年齢の上限引き上げも予定されており、より長い期間にわたって活用しやすくなる見通しです。
資産運用にはリスクが伴うため、まずは家計の状況や将来受け取れる年金の見込み額を把握したうえで、無理のない範囲で少しずつ取り組んでいくことが大切です。ご自身での判断が難しい場合は、IFAやファイナンシャルプランナーなど、中立的な立場の専門家に相談することもひとつの方法です。また、老後資金づくりは一度組んだプランをそのままにするのではなく、収入や家族構成の変化に合わせて定期的に見直していく姿勢も欠かせません。



