現役世代やプレシニア層において、自らの老後資金を計画する際に指標となるのが、「会社員として平均的な年収を得ながら、定年までフルタイムで働き続けた場合にいくら受給できるのか」という具体的なシミュレーションです。

日本の標準的な給与水準に近い「平均年収400万円」で、大学卒業後から定年退職までの目安となる「38年間」勤務したケースは、多くの方にとってご自身の将来像を投影しやすい現実的なモデルと言えます。

現役時代の給与と同様に、公的年金もまた支給額面がそのまま口座に振り込まれるわけではありません。受給額に応じて所得税や住民税、さらには介護保険料や国民健康保険料などの社会保障コストが直接天引き(特別徴収)される仕組みが厳格に適用されています。

この「額面と手取りのギャップ」を数理的に把握しておかなければ、どれほど精緻に老後予算を組んでも、実際の家計収支には構造的な欠損が生じることになります。

ここでは、平均年収400万円・勤続38年というモデルケースにおける厚生年金と国民年金の試算水準をはじめ、現在のシニア層の受給分布実態、そして年金から天引きされる非消費支出の仕組みについて、官公庁の公表資料に基づき解説していきます。