9. まとめ:これからの老後、家計をどう見通すか

ここまで見てきたように、後期高齢シニア夫婦の家計は、生活費・年金収入・貯蓄という3つの要素のバランスで成り立っています。

多くの世帯では年金収入だけで生活費をまかなうことは難しく、貯蓄を取り崩しながら生活している実態が明らかになりました。さらに、将来の医療費や介護費が加わることで、支出の不確実性は増していきます。

一方で、後期高齢者医療制度や高額療養費制度など、医療費の負担を軽減するための公的なセーフティネットも整備されています。こうした制度をあらかじめ理解しておくことで、予期せぬ出費に対する過度な不安を和らげることができるでしょう。

また、資産構成に目を向けると預貯金の割合が高く、安全性を重視する傾向が見られます。しかし、物価上昇が続く環境下では、資産の実質的な価値が徐々に目減りしていくリスクも無視できません。

そのため重要なのは、「いくら貯蓄があるか」という金額だけでなく、「その資産で何年間生活を支えられるか」という「資産寿命」の視点を持つことです。

人生100年時代といわれる今、長く続く老後生活を見据えるためには、年金・貯蓄・医療制度を総合的に捉えた家計設計が不可欠です。

現役時代からの準備はもちろんのこと、リタイア後も公的制度を賢く活用しながら、長期にわたって安定した生活基盤を維持していくことが、これからの高齢期を乗り越えるための重要な鍵となるでしょう。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

マネー編集部家計班