2026年6月3日、財務省は2026年6月に募集する個人向け国債3種類の最新利率を公表しました。長く続いた低金利環境からの転換が進み、3種類とも1%台の水準となっています。
老後資金や退職金の置き場所として元本割れリスクが低い安全資産を探している人にとって、個人向け国債の金利水準は気になるところでしょう。
あわせて、前回の発行で多くの人に選ばれた種類も確認しておきたいポイントです。
そこで本記事では、2026年6月募集の最新利率と仕組み、前回(2026年5月発行分)の発行額が最も多かった種類を、財務省の公表資料に基づいて紹介します。
1. 【個人向け国債】2026年6月募集《変動10年・固定5年・固定3年》の利率はいくら?
財務省が2026年6月3日に公表した、2026年6月募集の個人向け国債3種類の利率を確認します。
1.1 変動10年・固定5年・固定3年の利率(年率・税引前)
2026年6月募集分の利率は、変動10年が1.74%、固定5年が1.86%、固定3年が1.51%です。回号は変動10年が第195回債、固定5年が第183回債、固定3年が第193回債となります。3種類のなかでは固定5年の利率が最も高い水準です。
税引後の利率はそれぞれ、変動10年が1.3865%、固定5年が1.4821%、固定3年が1.2032%です。受け取る利子からは20.315%の税金が源泉徴収されます。
募集期間は2026年6月3日から6月30日まで、発行日は2026年7月15日です。償還期限は変動10年が2036年7月15日、固定5年が2031年7月15日、固定3年が2029年7月15日となります。
1.2 最低金利保証と購入単位
個人向け国債は3種類とも、年率0.05%の最低金利が保証されています。市場金利が大きく下がった局面でも、この水準を下回ることはありません。元本保証と最低金利保証が組み合わさる点が、預貯金と並ぶ安全資産として支持される理由です。
購入は額面1万円から1万円単位で可能で、全国の取扱金融機関は874機関にのぼります。利払いは年2回、毎年1月15日と7月15日です。
なお、変動10年は半年ごとに適用利率が見直されます。固定5年と固定3年は発行時の利率が満期まで変わりません。今回公表された1.74%は、変動10年の初回利子計算期間に適用される水準である点に注意してください。
2. 【個人向け国債】前回の発行額「9435億円」全体の半数以上《固定5年》が占める!
新しい利率を見るうえで、直前の発行月にどの種類が多く買われたかは判断材料の1つになります。
2.1 2026年5月発行分の3種類別発行額
財務省「個人向け国債の発行額の推移」によると、2026年5月発行分の3種類別の発行額は次のとおりです。
- 固定5年:5272億円
- 変動10年:2356億円
- 固定3年:1807億円
- 合計:9435億円
固定5年が全体の半分以上を占め、最も多く発行されました。満期までの利率が確定する安心感に加え、3年では短いが10年は長いと感じる層に受け入れられたことが、最大発行につながりました。
2.2 1年前と比べて発行額が約1.6倍に拡大
1年前にあたる2025年5月発行分の発行額は、固定5年が3043億円、変動10年が1897億円、固定3年が1103億円、合計6043億円でした。
2026年5月発行分の合計9435億円は、1年前と比べて約1.6倍に拡大しています。固定5年に限ると、3043億円から5272億円へと約1.7倍へ伸びました。
利率水準の上昇にともない、個人投資家の関心が高まっています。とくに固定金利型は満期までの利息が読みやすく、金利上昇局面で選ばれやすい商品です。
3. 【個人向け国債】運用前に押さえておきたい仕組みと活用のヒント
利率や発行額だけでなく、運用を始める前に確認しておきたい仕組みもあります。
3.1 中途換金のルール
個人向け国債は、発行後1年を経過すれば額面1万円単位で中途換金できます。国が買い取るため元本割れリスクはありませんが、中途換金時には直前2回分の各利子相当額(税引前)に0.79685を乗じた金額が差し引かれます。
たとえば直前2回の利子の合計が1万円であれば、差し引かれる金額は7968円です。元本そのものは戻ってくる点が、個人向け国債ならではの大きな特徴です。
3.2 退職金や老後資金との相性
変動10年は半年ごとに適用利率が見直されるため、金利上昇局面で恩恵を受けやすい商品です。固定5年と固定3年は発行時の利率が満期まで変わらないため、運用結果を購入時点で見通せます。
退職金などまとまった資金を、預金より少し高い利回りで安全に置きたい人にとって、3種類の使い分けが選択肢となります。利率を確定させたい人は固定5年や固定3年、金利上昇を取り込みたい人は変動10年といった使い分けが参考になります。
4. 【個人向け国債】3つの利率と発行傾向を踏まえて検討しよう
2026年6月募集の個人向け国債は、変動10年1.74%、固定5年1.86%、固定3年1.51%の3種類です。3種類とも年率0.05%の最低金利が保証されており、預金との金利差を狙える局面となっています。
前回(2026年5月発行分)の発行額は固定5年が5272億円で最も多く、合計9435億円のうち半分以上を占めました。合計発行額は1年前と比べて約1.6倍に拡大しています。
募集期間は2026年6月30日までです。利率水準・前回の発行傾向・中途換金時のルールをあわせて確認したうえで、安全資産の置き場所の1つとして個人向け国債を検討してみてください。
参考資料
苛原 寛