街角に咲く紫陽花が雨に美しく映え、本格的な夏を間近に控えた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。公的年金は老後の主要な収入源ですが、受給額は人によって大きな幅があります。会社員として長く働いた人と、加入期間が短い人とでは月額に大きな差が生まれます。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2025年3月末時点の厚生年金(第1号)老齢年金受給権者は1608万5696人です。
本記事では、この受給権者のうち、月15万円以上を受け取る人がどれくらいいるのかを最新データで確認します。また、2026年度の年金額例もおさえつつ、月額階級別の分布から「月15万円」という水準の位置づけを見ていきます。自分の年金見込額と比較できる内容なので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 月15万円以上は厚生年金受給者の約49.8%
1.1 受給権者1608万人の平均月額は15万289円
「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(第1号)の老齢年金受給権者は1608万5696人、平均年金月額は15万289円でした。
男女別の平均月額は男性が16万9967円、女性が11万1413円で、男女差は月額約5万8000円あります。
この平均月額には国民年金(老齢基礎年金)部分が含まれており、いわゆる「国民年金+厚生年金」の合算月額です。
1.2 月15万円は平均月額に近い水準
平均月額15万289円は「月15万円」とほぼ同じ水準です。
ただし平均は全体の代表的な水準を示す数値であり、上下にどれだけ広がっているかは別の指標で確かめる必要があります。次の章で月額階級別の分布を見ていきます。
2. 月15万円以上の人数は約801万人で全体の49.8%
2.1 1万円刻みの分布を集計するとほぼ半数が該当
同概況では、厚生年金(第1号)の老齢年金受給権者を月額1万円刻みで集計しています。月15万円以上のデータを抜き出すと以下のとおりです。
【厚生年金第1号 老齢年金受給権者の月額階級別人数(2025年3月末時点)】
- 15〜16万円:96万5035人
- 16〜17万円:100万1322人
- 17〜18万円:103万1951人
- 18〜19万円:102万6888人
- 19〜20万円:96万2615人
- 20万円以上:302万7673人
合計すると、月15万円以上を受け取る人は801万5484人です。受給権者1608万5696人に占める割合は約49.8%で、ほぼ半数が該当します。
逆にいえば、残りの約50.2%、人数にして約807万人は月15万円未満です。同じ厚生年金受給者でも、月15万円という水準を境に二分される構造が見えます。
2.2 月20万円以上は約302万人で全体の約18.8%
月15万円以上のうち、月20万円以上の人は302万7673人で全体の約18.8%です。
現役時代に高い報酬で長く厚生年金に加入した人ほど月20万円台の受給になりやすく、このゾーンには男性が大半を占めます。月15万円から20万円のレンジには男女ともに一定数が分布しています。
3. 2026年度の年金額例と直近の制度改正
3.1 2026年度の年金額は前年度から1.9%引き上げ
2026年度(令和8年度)の年金額は、国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられました。新しい金額が実際に振り込まれるのは、2026年6月15日に支給される4月分・5月分からです。
【2026年度の主な年金額(月額)】
- 老齢基礎年金(満額・1人分):7万608円(前年度比+1300円)
- 厚生年金の標準的な年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む):23万7279円(前年度比+4495円)
厚生年金の標準モデルは、夫が平均的な収入(賞与込みで月額換算45万5000円)で40年間就業し、妻が同期間ずっと専業主婦だった世帯を想定しています。この夫婦が65歳から受け取る合算月額が23万7279円です。
3.2 2025年6月成立の年金制度改正法で加入対象が広がる
2025年6月13日に成立した年金制度改正法では、短時間労働者への厚生年金適用拡大が一段と進みます。
企業規模要件と月額賃金要件(106万円の壁)の段階的な撤廃が決まり、これまで厚生年金に加入できなかったパート・アルバイトの人も加入対象に広がる見通しです。
厚生年金の加入期間が延びれば、将来の年金月額の底上げにつながります。
4. 自分の見込額を確認して老後計画を立てよう
厚生年金(第1号)の受給権者1608万5696人のうち、月15万円以上を受け取る人は801万5484人で、全体の約49.8%でした。平均月額15万289円とほぼ重なる水準で、受給者は月15万円を境に半々に分かれています。
男女別では男性平均が16万9967円、女性平均が11万1413円で、月額約5万8000円の開きがあります。現役時代の加入期間と報酬が老後収入を大きく左右する構造です。
2026年度は国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられ、6月15日に支給される4月分・5月分から新額が反映されます。短時間労働者への適用拡大も進むため、加入できる立場の人は厚生年金加入期間の延長を検討する余地もあります。
まずは「ねんきんネット」で自分の見込額を確認しましょう。50歳以上であれば、ねんきん定期便にも見込額が記載されています。老後収入が不足する想定の人は、繰下げ受給やiDeCo・新NISAでの上乗せを組み合わせて、月額1〜2万円単位で老後収入を底上げする計画を立ててみてはいかがでしょうか。
参考資料
苛原 寛