公的介護保険で介護サービスを利用した際の自己負担割合は原則1割ですが、一定以上の所得がある場合は「現役並み所得者」とみなされ、3割負担になります。
では、具体的にどのような要件に該当すると3割負担の対象になるのでしょうか。
本記事では、判断基準となる合計所得金額や世帯の年金収入の具体的なラインを単身世帯・二人以上世帯ごとに分かりやすく解説します。
1. 【公的介護保険】65歳以上の約19%が介護認定「40~64歳の場合はどれくらい?」
公的介護保険制度とは、高齢者などの介護を社会全体で支えることを目的として2000年から始まった制度です。
令和4年度の報告によると、65歳以上の第1号被保険者(年度末現在)は加入者約3585万人のうち19.0%にあたる681万人が介護認定を受けています。
一方、40歳〜64歳の第2号被保険者(年度内月平均)は約4188万人加入しているものの、対象が特定疾病に限られるため実際の認定者はわずか0.3%の13万人にとどまります。
1.1 加入対象者
公的介護保険制度の加入対象者は、以下のように第1号被保険者と第2号被保険者にわかれています。
- 第1号被保険者:65歳以上の方
- 第2号被保険者:40歳以上65歳未満の公的医療保険加入者
第2号被保険者は65歳になると自動的に第1号被保険に切り替わります。
1.2 受給要件
公的介護保険制度のサービスを受けられるのは、以下の要件に該当した場合です。
- 第1号被保険者:要介護・要支援状態になったとき
- 第2号被保険者:老化が原因の特定疾病により要介護・要支援状態になったとき
なお、特定疾病とは末期がんや関節リウマチ、骨折を伴う骨粗しょう症など16の疾病です。
公的介護保険制度の被保険者は、第1号・第2号それぞれにおいて、上記状態に該当した場合に介護サービスの利用料の支払い負担が軽減されます。
2. 【公的介護保険】65歳以上の自己負担割合《1割・2割・3割》所得基準をみる
介護サービスを利用する際には自己負担が発生しますが、負担割合は所得に応じて1割・2割・3割のいずれかになります。
利用者負担割合は「介護保険負担割合証」に記載されているものが適用されますが、給付額減額措置を受けている場合はそちらが優先される仕組みです。
利用者負担割合は、年齢により以下のように決められています。
- 65歳以上の方:①1割 ②一定以上の所得のある場合は2割 ③さらに所得の高い場合は3割
- 40歳から64歳までの方:1割
では、1割・2割・3割負担になる要件を確認していきましょう。
2.1 自己負担が3割負担となる要件
3割負担となるのは、次の1と2の両方にあてはまる方です。
- 65歳以上の方で本人の前年の合計所得金額が220万円以上
- 前年の年金収入とその他所得金額の合計が下記以上
・同一世帯の65歳以上の人数が1人:340万円以上
・同一世帯の65歳以上の人数が2人以上:合計463万円以上
2.2 自己負担が2割となる要件
2割負担となるのは、以下のいずれにも該当する方です。
- 65歳以上の方で本人の前年の合計所得金額が220万円以上
- 前年の年金収入とその他所得金額の合計が下記以上
・同一世帯の65歳以上の人数が1人:280万円以上340万円未満
・同一世帯の65歳以上の人数が2人以上:合計346万円以上463万円未満
2.3 自己負担が1割となる要件
1割負担になるのは、次のいずれかに該当する方です。
- 65歳未満
- 市民税非課税
- 生活保護受給者
65歳以上の方で、本人の前年の合計所得金額が160万円未満の方や、160万円以上220万円未満であっても「年金収入+その他の所得金額」の合計が単身で280万円未満(2人以上の世帯の場合は合計346万円未満)の場合などが1割負担となります。
2.4 自己負担割合の判定チャートも参考に
介護保険制度のサービスを利用した際の自己負担割合は、以下のチャートを利用しても確認できますので参考にしてみてください。
3. 【公的介護保険】月々の支払いに上限はある?「高額介護サービス費」で負担を抑える方法
介護保険サービスを受けた際の自己負担が一定金額を超えた場合、その超えた分が「高額介護サービス費」として還付されます。介護サービス費の支払い負担を軽減できる可能性があります。
自己負担の限度額は、一般的な所得の世帯で月額4万4400円です。ただし、3割負担の対象となる「現役並み所得者」の世帯では、課税所得に応じて上限額が4万4400円〜14万1000円まで高くなる点に注意が必要です。なお、住民税非課税世帯は2万4600円、生活保護受給者等は1万5000円となっています。
なお、同一世帯に介護サービス利用者が複数人いる場合は、利用者全員の負担額を合計して計算します。
ただし、以下のように高額介護サービス費の対象外となるものもあるため注意しましょう。
- 利用限度額を超えてサービスを利用した際の、超えた分の利用料金
- 福祉用具購入費
- 住宅改修費
- 施設サービスでの居住費や食費、生活費
- 介護保険からの支給対象外の利用者負担分
不明な点がある場合は、市区町村役所の介護保険課などに問い合わせましょう。
4. おわりに
介護サービスを利用した際の自己負担割合は原則として1割ですが、一定の所得以上になると2割または3割になります。
高齢になるほど介護サービスを利用する可能性は高まるため、毎月の家計への影響が気になる方も多いかと思いますが、高額な自己負担が生じた際には、高額介護サービス費を利用すると自己負担限度額を超えた分が還付されます。
とはいえ、高額介護サービス費の対象外の費用もあるため、介護費用については現役時代のうちから計画的に準備しておくことをおすすめします。
参考資料
- 厚生労働省「介護保険制度について」
- 厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」
- 多摩市公式ホームページ「介護保険の自己負担は所得に応じて1割から3割までのいずれかです」
- 多摩市公式ホームページ「介護保険利用者負担割合の判定の流れ」
- 江戸川区 介護保険のページ「高額介護サービス費の支給申請」
木内 菜穂子