日本で富裕層が増加傾向にあることをご存じでしょうか。その背景には、株価の上昇や円安の進行による資産価値の増加があるといわれています。

近年、株価は上昇傾向にあり、2026年5月には日経平均株価が史上最高値を更新しました。また、歴史的な円安も資産価値を押し上げる一因となっており、富裕層にとっては追い風が吹いている状況です。

この記事では、富裕層の定義や概要、さらに世帯年収ごとの金融資産の内訳について、データを基にわかりやすく解説していきます。

1. 【富裕層・超富裕層】165万世帯以上「全体のおよそ3%」継続して増加傾向

「富裕層」と呼ばれる資産家たちは、具体的にどのような世帯を指すのでしょうか。

株式会社野村総合研究所が2025年2月13日に公表したニュースリリース『野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計』では、純金融資産保有額(※)に応じて、世帯を以下の5つの層に分類しています。

※純金融資産保有額:預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いたもの

1.1 【5つの階層】純金融資産保有額で見る資産規模と世帯数の分類

純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数

出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」

  • マス層(3000万円未満)
  • アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満)
  • 準富裕層(5000万円以上1億円未満)
  • 富裕層(1億円以上5億円未満)
  • 超富裕層(5億円以上)

この調査では、純金融資産が1億円以上5億円未満の世帯を「富裕層」、5億円以上の世帯を「超富裕層」と定義し、それぞれの世帯数や保有資産規模の推計データが公表されています。

このうち「富裕層」と「超富裕層」を合わせた世帯数は165万3000世帯に達し、全世帯のおよそ3%を占めることがわかりました。

この合計世帯数は、推計が始まった2005年以降で最も多い数字です。また、富裕層・超富裕層それぞれの世帯数も2013年以降、継続して増加傾向にあります。

2. 【富裕層・超富裕層】純金融資産「1億円以上」を持つ資産家はどれくらい増えている?

「超富裕層」と「富裕層」を合わせた、純金融資産1億円以上を持つ資産家たちについて、世帯数や資産総額がどのように推移してきたのかを見ていきましょう。

  • 2005年:86万5000世帯・213兆円
  • 2007年:90万3000世帯・254兆円
  • 2009年:84万5000世帯・195兆円
  • 2011年:81万世帯・188兆円
  • 2013年:100万7000世帯・241兆円
  • 2015年:121万7000世帯・272兆円
  • 2017年:126万7000世帯・299兆円
  • 2019年:132万7000世帯・333兆円
  • 2021年:148万5000世帯・364兆円
  • 2023年:165万3000世帯・469兆円

富裕層と超富裕層の世帯数および資産総額は、世界金融危機や東日本大震災といった出来事の影響で一時的に減少したものの、長期的な視点で見ると増加傾向にあることがわかります。

特に2021年から2023年にかけての伸びは顕著です。株式会社野村総合研究所の同調査レポートでは、この背景に株価上昇や円安による資産価値の増大などがあったと指摘されています。

2.1 【2023年データ】資産階層別の世帯数と純金融資産の規模一覧

  • 超富裕層(5億円以上):11万8000世帯・135兆円
  • 富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯・334兆円
  • 準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯・333兆円
  • アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯・282兆円
  • マス層(3000万円未満):4424万7000世帯・711兆円

なお、富裕層と超富裕層が保有する資産の合計は、前回調査から約3割増加して469兆円となりました。全世帯の保有資産額の26.1%が、この2つの層に集中していることがわかります。

3. 【新富裕層】「いつの間にか富裕層」「スーパーパワーファミリー」の特徴とは?

株式会社野村総合研究所の調査では、「いつの間にか富裕層」や「スーパーパワーファミリー」と呼ばれる、新しいタイプの富裕層が出現していることも指摘されています。

3.1 自らのキャリアと知識で資産を築く新富裕層

まず、「いつの間にか富裕層」は、株式投資などを通じて富裕層の仲間入りをした、40歳代後半から50歳代の一般の会社員が中心の層です。

高い金融リテラシーを持つ一方で、富裕層向けの専門的な金融商品や高度な資産管理には不慣れな面もあるとされています。

そして「スーパーパワーファミリー」は、都市部に住む年収3000万円を超える共働き世帯に代表される層です。

20歳代から30歳代の間は、教育費や住宅ローンなどの支払いに苦労するものの、昇格・昇給により40歳前後から資産が急速に増加する傾向があり、高収入を背景に50歳前後で富裕層に到達する可能性が高いとされています。

この「新しい富裕層」に共通するのは、相続や親の資産に頼ることなく、自分自身のキャリア形成や金融知識によって資産を築いている点といえるでしょう。

4. 資産運用は富裕層だけのもの?年収別データで見る一般世帯の金融資産

資産運用は富裕層に限った話ではありません。J-FLEC(金融経済教育推進機構)が2024年12月に公表した『家計の金融行動に関する世論調査 2024年』の結果から、世帯年収ごとの金融資産内訳に関するデータを見ていきましょう。

4.1 【年収別】金融商品の種類ごとの保有額内訳

金融資産保有額

全国: 1374万円

  • 収入はない: 249万円
  • 300万円未満: 661万円
  • 300~500万円未満: 1065万円
  • 500~750万円未満: 1233万円
  • 750~1000万円未満: 1939万円
  • 1000~1200万円未満: 2069万円
  • 1200万円以上: 4178万円
  • 無回答: -

預貯金(運用または将来の備え)

全国: 582万円

  • 収入はない: 154万円
  • 300万円未満: 322万円
  • 300~500万円未満: 446万円
  • 500~750万円未満: 533万円
  • 750~1000万円未満: 750万円
  • 1000~1200万円未満: 821万円
  • 1200万円以上: 1781万円
  • 無回答: -

債券

全国: 66万円

  • 収入はない: 1万円
  • 300万円未満: 14万円
  • 300~500万円未満: 35万円
  • 500~750万円未満: 83万円
  • 750~1000万円未満: 114万円
  • 1000~1200万円未満: 76万円
  • 1200万円以上: 195万円
  • 無回答: -

株式

全国: 260万円

  • 収入はない: 15万円
  • 300万円未満: 111万円
  • 300~500万円未満: 237万円
  • 500~750万円未満: 219万円
  • 750~1000万円未満: 348万円
  • 1000~1200万円未満: 311万円
  • 1200万円以上: 872万円
  • 無回答: -

投資信託

全国: 155万円

  • 収入はない: 41万円
  • 300万円未満: 65万円
  • 300~500万円未満: 103万円
  • 500~750万円未満: 109万円
  • 750~1000万円未満: 300万円
  • 1000~1200万円未満: 340万円
  • 1200万円以上: 437万円
  • 無回答: -

「債券・株式・投資信託の合計額」と「金融資産保有額全体に占める割合」

全国: 35.0%

  • 収入はない: 57万円(22.9%)
  • 300万円未満:190万円(28.7%)
  • 300~500万円未満: 375万円(35.2%)
  • 500~750万円未満: 411万円(33.3%)
  • 750~1000万円未満:762万円(39.3%)
  • 1000~1200万円未満: 727万円(35.1%)
  • 1200万円以上: 1504万円(36.0%)
  • 無回答: -

J-FLEC(金融経済教育推進機構)の『家計の金融行動に関する世論調査 2024年』のデータを見ると、「債券・株式・投資信託」への投資額そのものは年収とある程度相関しています。

しかし、金融資産保有額全体に占める割合を見ると、年収750~1000万円未満の層で割合がやや高くなる(39.3%)ものの、「収入がない」層をのぞく他の層ではおおむね30%台です。

ここからは、資産運用が一部の富裕層だけのものではなく、標準的な年収の世帯にも普及している様子がうかがえます。

インフレが進む今、預貯金だけに頼らず、自分に合った無理のない投資で資産を育てることが将来の安心につながります。

いわゆる「富裕層」たちの資産規模には及ばなくても、自分のリスク許容度に合った運用方法を選んでいくと良いでしょう。

5. まとめにかえて

今回は、富裕層の定義や概要、世帯年収ごとの金融資産の内訳について解説しました。富裕層を目指すには、「無駄遣いをしない」「収入を増やす」「資産運用を活用する」など、自分に合った方法を継続して実践していく必要があります。

また、資産運用を始める際には、リターンだけではなくリスクについてもしっかりと考える必要があります。利益ばかりに注目してしまうと、想定外の損失につながる可能性もあります。まずは、自分自身がどの程度のリスクを許容できるかを確認したうえで、無理のない範囲で資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。

※この記事は再編集記事です。

参考資料

長井 祐人