お盆で帰省した際、実家の親御さんが定年を過ぎても元気に働いている姿を見て、「シニアの就労」を意識した方という方もいるでしょう。
内閣府「令和8年版高齢社会白書」によれば、2025年時点で65~69歳の54.5%、70~74歳の36.2%が就業しており、年代が上がるにつれて働き方や雇用形態も大きく変化していきます。
一方で、雇用保険の給付金の中には「申請しなければ支給されない」ものが少なくなく、条件を満たしていても、知らないまま受け取り損ねている人が一定数いるとみられます。
本記事の前半では、働くシニアが申請できる雇用保険の3つの給付金を整理し、後半では制度の見直し動向と60代の家計の実態から、今できる備えを考えます。
※本記事は一部「【2026年最新】60歳・65歳以上がもらえるお金・公的給付金一覧!年金上乗せ・雇用保険・医療介護の申請漏れを防ぐ完全ガイド!」「60代の世帯別貯蓄額(平均値・中央値)と2000万円以上保有層の割合。老後資金を着実に準備する家計管理の方法とは」を引用のもと執筆しています。
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65~69歳の就業率は54.5%の一方、非正規雇用の割合は60歳を境に64.9%まで急増している
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高年齢求職者給付金は失業時に最大50日分の一時金がもらえるが、離職の翌日から1年で請求権が消える
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高年齢雇用継続給付は2025年4月から支給率が15%から10%に縮小、自助努力の重要性も増している
1. 65歳を境に非正規雇用が急増、それでも"働きたい"高齢者は多い
内閣府「令和8年版高齢社会白書」(令和7年データ)によると、就業率は65~69歳で54.5%(392万人)、70~74歳で36.2%(284万人)、75歳以上でも12.6%(266万人)にのぼります。
性別で見ると、65~69歳の就業率は男性63.4%・女性46.1%、70~74歳では男性44.5%・女性28.8%と、年代が上がるほど男女差も表れてきます。
- 65~69歳の就業率:54.5%(392万人)
- 70~74歳の就業率:36.2%(284万人)
- 75歳以上の就業率:12.6%(266万人)
- 65~69歳の就業率(男女別):男性63.4%/女性46.1%
雇用形態を見ると、非正規雇用の割合は男性の場合、55~59歳では10.5%にとどまるものの、60~64歳で39.8%、65~69歳では64.9%まで急増します。
60歳を境に、正社員から非正規雇用へと働き方が大きく変わる人が多いという実態が見えてきます。
1.1 働く必要はなくても「仕事をしたい」
株式会社マイナビが2026年6月に公表した「シニアのアルバイトに関するライフエンゲージメント調査」では、「生活のために働かなくてもよい状況でも働きたい」と答えた人が男性70歳代で50.7%、女性60歳代で44.4%にのぼりました。
一方で「応募時に年齢の壁を感じる」と答えた人も55.8%と半数を超えています。
意欲があっても、非正規雇用への切り替えや再就職のハードルによって、現役時代より収入が不安定になりやすいのがシニア世代の実情です。
だからこそ、収入の変化を下支えする雇用保険の給付金を、正しく知り、確実に申請できるかどうかが重要になります。
2. シニアが"働きながら"申請できる雇用保険の3つの給付金
※雇用保険の給付金データについては「【2026年最新】60歳・65歳以上がもらえるお金・公的給付金一覧!年金上乗せ・雇用保険・医療介護の申請漏れを防ぐ完全ガイド!」を一部引用しています。
- ①再就職手当:雇用保険の基本手当を受給中の人が早期に再就職した場合の給付金。「所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して就職した場合は支給残日数の60%」「3分の2以上の支給日数を残して就職した場合は支給残日数の70%」が支給される
- ②高年齢雇用継続給付:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の被保険者が対象。賃金が60歳到達時の75%未満となった状態で働き続ける場合、最高で賃金額の10%相当額が支給される(2025年3月31日以前に受給資格を満たした人は15%)
- ③高年齢求職者給付金:65歳以上の高年齢被保険者で失業した人が対象。離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6カ月以上あり、失業の状態にあることが要件。被保険者であった期間が1年未満なら基本手当日額の30日分、1年以上なら50日分が一時金として支給される
いずれの給付金も、条件を満たしていれば自動的に振り込まれるものではなく、ハローワークでの手続きが前提になります。
とくに65歳を境に「基本手当」から名称も条件も切り替わるため、現役時代の失業給付のイメージのまま放置してしまうケースが目立ちます。
退職や再就職を意識し始めた時点で、一度ハローワークの窓口で自分がどの給付金の対象になるかを確認しておくとよいでしょう。
3. 監修者からのコメント
高年齢求職者給付金については、厚生労働省の案内資料で「離職日の翌日から1年以内」が受給期限と明記されています。
この期限を過ぎると、受給要件を満たしていても支給を受けられなくなる点には注意が必要です。
手続きの際は、離職票のほか、マイナンバーカードや本人名義の預金通帳など複数の書類が必要になります。
求職の申し込み後は「待期」期間があり、自己都合退職であればさらに給付制限期間を経る必要もあるため、退職を意識し始めた段階で一度、ハローワークの窓口で自分の状況を確認しておくと安心です。
年金だけでなく、こうした雇用保険の給付金も申請主義である以上、自分から動かなければ受け取れません。制度を知っているかどうかで、老後の家計に差がつく時代になっています。



