5. 投資家が知っておくべき今後のリスクとまとめ

ここまで見てきたように、金利上昇局面において銀行株は非常に強い味方となります。

しかし、元機関投資家である泉田氏は、手放しで楽観視するのではなく、プロの視点から今後のリスク要因についても警鐘を鳴らします。

「金利が上がれば上がるほど儲かるんだけど、上がりすぎちゃうと企業の資金繰りって行き詰まっちゃって、本当に景気を冷ましちゃうんで。今度不良債権とか貸倒先みたいな話が出てきちゃうので」(泉田氏)

適度な金利上昇は銀行の利ざやを拡大させますが、金利が急激に上がりすぎた場合、お金を借りている企業の利払い負担が限界を超えてしまいます。

その結果、企業が倒産して貸したお金が返ってこなくなる「不良債権リスク」が高まるのです。そうなれば、銀行は多額の損失を計上することになり、株価にとっても大きなマイナス要因となります。

また、逆に景気が悪化して中央銀行が「利下げ(金利を引き下げること)」に転じた場合、これまで恩恵を受けていたスプレッドが縮小するため、銀行株にとっては逆風となります。

利下げ局面は一般的にハイテク株などにはプラスに働きますが、銀行にとっては厳しい環境となるのです。

とはいえ、現在の日本の状況を俯瞰すると、長きにわたるゼロ金利からようやく抜け出し始めた初期段階にあります。

MUFGの決算から読み解けるのは、「お金を預かり、金利を乗せて貸し出す」という銀行の伝統的なビジネスモデルが、金利上昇という追い風を受けて再び強力な利益創出エンジンとして機能し始めているという事実です。

株式市場で半導体やAI関連銘柄が調整色を強める中、金利上昇を味方につけることができる銀行株は、投資家のポートフォリオ(資産配分)において重要な役割を果たすかもしれません。

MUFGの今後の業績動向、そして日本銀行の金利政策の行方に、引き続き注目が集まります。

参考資料

  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ「2026年3月期 決算短信」(2026年5月15日)
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ「2025年度 決算説明会資料」(2026年5月15日)
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ「2025年度 決算ハイライト資料」(2026年5月15日)
  • Youtubeチャンネル「イズミダイズム」