4. 国内の「預貸金利回り」が示す業績好調の裏側
MUFGの業績好調を支える「スプレッド(利ざや)の拡大」は、実際のデータとしてどのように表れているのでしょうか。
泉田氏は、決算説明会資料の中から「国内預貸金利回りの推移」というグラフを取り上げ、具体的な数値をもとに解説を進めます。
資料によると、MUFGの国内における「貸出金利回り(企業などに貸し出す際の金利)」は、過去の約1.0%から直近では約1.3%台へと明確な上昇トレンドを描いています。
一方で、資金の調達コストである「預金等利回り(預金者に支払う金利)」は、約0.26%という極めて低い水準でほぼ横ばい(わずかな上昇)に留まっています。
この「貸し出しの金利は上がるが、預金の金利は上がらない」という状況が、まさに先ほど泉田氏が解説した「スプレッドの拡大」をデータで裏付けているのです。
さらに泉田氏は、国内の法人向け貸出における「利ざや」の内訳にも注目します。
大企業向けの貸出利ざやはほぼ横ばいで推移しているのに対し、中堅・中小企業向けの貸出利ざやはじりじりと右肩上がりに上昇していることが資料から読み取れます。
「(以前は)高い金利を銀行が要求できなかったっていうところはあると思うんですけども、それがもう大企業も中小企業も変わらなくなってきてるというのがこの国内の状況かな」(泉田氏)
これまで金利交渉力が弱かったとされる中堅・中小企業に対しても、適切な金利水準への引き上げが進んでおり、これが銀行全体の収益性を底上げしていることがわかります。
一方で、MUFGはグローバルに事業を展開しており、インドネシアやタイなどにも銀行を保有しています。しかし、海外の貸出金利回り差のグラフを見ると、赤い線は横ばいで推移しています。
「海外の貸出金の利ざやも横ばいなので、どっちかというと今変化が起きてるのは日本っていうことになりますね」(泉田氏)
長らくゼロ金利政策が続いていた日本国内において、ついに「金利のある世界」が復活しつつあること。この大きなマクロ環境の変化こそが、MUFGの業績と株価を力強く押し上げている最大の原動力なのです。
