3. 2026年3月期決算ハイライト:純利益は驚異の2.4兆円超
金利上昇の恩恵は、実際の決算数値にどれほど表れているのでしょうか。泉田氏は、MUFGが発表した2026年3月期(2025年度)の決算短信を基に、その驚異的な業績を解説します。
決算短信によると、MUFGの「経常収益(一般企業の売上高に相当)」は14兆6,208億円(前期比+7.3%)に達しました。
さらに本業の儲けを示す「経常利益」は3兆4,102億円で前期比+27.7%、最終的な利益である「親会社株主に帰属する当期純利益」は2兆4,272億円となり、前期比で+30.3%という大幅な増収増益を達成しています。
泉田氏はこの大幅増益の要因について、決算説明会資料の「ウォーターフォールチャート(増減の要因を滝のように階段状で示したグラフ)」を用いて分析します。
前期の純利益約1兆8,600億円から、当期の約2兆4,200億円へと利益が押し上げられた背景には、複数の要因があります。
一つは、本業である顧客部門の利益が順調に伸びたこと(+2,500億円)です。これに加えて泉田氏が注目するのが、「持分法投資損益」という項目の大きなプラス(+2,100億円)です。
MUFGは、リーマンショック時にアメリカの大手投資銀行であるモルガン・スタンレーに出資し、現在も持分法適用関連会社としています。
このモルガン・スタンレーの業績好調による利益の取り込みが、MUFG全体の純利益を大きく押し上げる要因となっているのです。
さらに泉田氏は、銀行ならではの「次期業績予想」の出し方についても言及します。通常の企業であれば、来期の売上高や営業利益、純利益などを詳細な表形式で発表しますが、MUFGの決算短信には次のように記載されていました。
「今年の予想、会社の予想どうなっているかっていうところなんですけども、これ超シンプルであるんですが、この1行ですね。『27年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益は2.7兆円を目標としております』っていうので」(泉田氏)
終わった期の2.4兆円という莫大な利益から、さらに来期は2.7兆円を目指すという力強いメッセージが、たった1行でシンプルに提示されている点に、現在の事業環境に対する銀行側の自信が窺えます。
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日