5. 「個人向け国債」や「定期預金」以外のものに目を向けたいケースも

個人向け国債や定期預金は、安全性の高さに加えて金利が得られる点が魅力ですが、ほかの金融商品に目を向けたいケースもあるでしょう。

5.1 インフレ(物価上昇)リスクに対応したい場合

判断軸は「実質的な資産価値の維持」です。

インフレ下では、国債の利息収入(名目上の利回り)だけでは物価上昇には追いつけないことが懸念されます。

総務省によると、東京都区部の消費者物価指数(総合)は、2026年5月に前年同月比1.4%上昇しました(中旬速報値)。個人向け国債の2026年6月募集分は利率がこれを上回りますが、日本銀行の物価目標である2%は下回る状況です。

運用利回りがインフレ率を下回る場合、資産の購買力が実質的に目減りします。

リスクは上昇するものの、より高いリターンが期待できる他の金融商品(例:株式、投資信託、不動産など)の方が、実質的な資産価値を維持しやすい可能性があります。

5.2 少しでも高いリターンを狙いたい場合

判断軸は「機会損失リスクの許容度」です。

個人向け国債や定期預金は安全性が高い分、利回りは低水準に抑えられがちです。

資金を個人向け国債や定期預金に固定することで、より高い利回りを提供している他の商品へ投資する機会を逃すリスク(=機会損失)があります。

6. まとめ

ここまで個人向け国債の最新の情報を解説しました。2026年6月募集分は変動10年が初回利率1.74%、固定5年と固定3年の利率はそれぞれ.1.86%と1.51%となっています。条件の違いから、近年は固定5年の人気が高まっています。

個人向け国債は安全性が高く、かつ定期預金よりは利回りが高い傾向にあり、選好されやすくなっていると考えられます。

とはいえ、安全性の高い個人向け国債はリターンが低い傾向にあり、利回りはインフレ率に見劣りすることも懸念されます。リスク許容度次第ですが、ポートフォリオの一部には、ある程度のリスク資産の組み入れも検討したいところです。

参考資料

若山 卓也