厚生労働省が5日に発表した毎月勤労統計調査によると、基本給にあたる所定内給与は4か月連続で上昇しています。

ガソリン代の補助や物価抑制策の効果で、実質賃金は4か月連続でプラスとなっており、賃金改定で基本給の底上げができている企業が増えていることが伺えます。しかし、万人の収入が上がるわけではなく、お勤め先や働き方によってさまざまですので、素直に喜べないという方もいるのではないでしょうか。

また、年金受給世帯は年金支給額が上がらなければ収入を増やすことは困難です。実際、公的年金はここ数年増額しておりますが、十分な金額を受け取れるのでしょうか。今回は、公的年金について深堀していきます。

1. 年金は2階建ての仕組み、国民年金保険料「全員一律で月1.7万円」厚生年金保険料は?

公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。

国民年金は原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象で、年金のベースとなります。国民年金保険料(※1)は全員一律です。

厚生年金は企業や官公庁などで働く人たちが、国民年金に上乗せして加入する年金です。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めます。

国民年金保険料を全期間(480月)納めると、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。未納期間があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。

厚生年金は、「年金加入月数」と「納めた保険料」により、老後の年金額が決まります。

上記の年金額の決まり方からは、実際に受け取る年金額は一人ひとり異なります。ただし厚生労働省が毎年度の年金改定内容とともに公表する「年金額例」が、一つの目安となることもあるでしょう。

具体的には、最新となる2026年度の年金額例によると「標準的な夫婦世帯」は8月の年金支給日に「約47万5000円」支給されます。

※1 国民年金保険料:2026年度は月額1万7920円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2026年度は月額7万608円

2. 2026年度の年金受給額、国民年金の満額「1人分7万円台へ」厚生年金はいくら?

公的年金の支給日は「偶数月の15日(※)」です。

そのため、次回支給日の8月14日(金)には「6月分と7月分」の年金が支給されます。

厚生労働省によると、2026年度の年金額の例は次のとおりとなります。

※15日が土日祝日の場合、直前の平日に前倒しされます。

  • 国民年金(老齢基礎年金):7万608円(1人分※1
  • 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※2

※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円
※2 平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

厚生年金のモデル世帯の場合、夫婦で月額「23万7279円」。これは「老齢厚生年金1人分+老齢基礎年金2人分」の合算です。

2カ月に一度の年金支給日には、2カ月分が合算で支払われます。この夫婦世帯の場合、8月14日支給の年金額は合算で「47万4558円」ですね。

これが「約47万5000円」の根拠となります。

3. 再来月、8月は年金支給月!いちどに約47.5万円振り込まれる「標準的な夫婦」とは?

1回の年金支給時に「約47万5000円」を受け取る「標準的な夫婦」とは、具体的にはどのような世帯なのでしょうか。

厚生労働省による年金額の定義を見てみましょう。

男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45.5 万円)で 40 年間就業した場 合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

引用:厚生労働省令和8年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から国民年金(基礎年金)が 1.9%の引上げ 厚生年金(報酬比例部分)が 2.0%の引上げです~」

夫は40年間の平均標準報酬(賞与含む月額換算)が45万5000円、年収にして546万円で就労した会社員など。そして妻は扶養内パートや専業主婦などで、厚生年金への加入期間がなく国民年金のみの受給となるケースです。

こうした夫婦の合計年金が23万7279円となり、2カ月分がまとめて支給されるのです。さらに多くの場合、老齢年金からは住民税や介護保険料といった税や社会保険料が天引き(特別徴収)されます。

天引き内容や実際に振り込まれる金額は、6月に送付される「年金振込通知書」などで確認しましょう。1回の年金支給で「約46万5000円」となれば大きな金額に思えるかもしれません。しかし、一人当たりの月額に換算すると、必ずしも余裕のある水準とは言い切れないでしょう。

また、現役時代の給与とは異なり「2カ月に一度の定期収入」となるため、家計管理のサイクルが変わる点も、留意が必要となりそうですね。

4. 年金の平均受給額、厚生年金15.2万円・国民年金5.9万円「男女差はどれくらい?」

ここからは、厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、一人ひとりが受け取る年金について、グラフを交えて見ていきます。

個人差や、平均年金月額の男女差などに着目してみてください。

4.1 「厚生年金」の平均年金月額

厚生年金:年金月額階級別の受給権者数3/4

厚生年金:年金月額階級別の受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金部分を含む

4.2 「国民年金(老齢基礎年金)」の平均年金月額

国民年金:年金月額階級別の受給権者数4/4

国民年金:年金月額階級別の受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

平均年金月額は、厚生年金(国民年金部分を含む)の受給権者は男性約17万円、女性約11万円。国民年金の場合は、男女ともに平均月額は6万円前後です。

公的年金は2カ月分がまとめて支給されるため、1回あたりの支給額は一見高めに感じる人もいるでしょう。しかし、これをひと月分に換算すると、年金収入だけで生活できる世帯は多数派ではないかもしれません。

また、上記はあくまでも全受給権者の平均です。実際に一人ひとりが受給する金額は、グラフが示すように大きな個人差があります。

夫婦それぞれの年金見込み額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用して把握しておきましょう。

5. まとめにかえて

今回は、今の公的年金の実態について解説しました。また、公的年金の増額率は物価上昇率に現状追い付いておらず、目減りをしているという現状もあります。

収入が減って物価が上がるとなると、どうしても生活水準を下げざるを得ません。老後も今まで通りの生活がしたい、生活水準を下げたくないと思われる場合、自助努力で収入を確保する必要があります。

将来の収入を増やす方法はさまざまあり、中にはリスクの高い方法もありますので、やみくもに始めるのではなく、必要な金額や老後までの期間など、自分自身に合った方法を見つけていきましょう。

参考資料