4. 2025年年金制度改正と社会保険の適用拡大(106万円の壁)
2025年の年金制度改正に伴い、社会保険の加入要件が見直され、パートタイマーなどの働き方に影響を与えてきた、いわゆる「106万円の壁」が解消される方向で制度が変更されます。
4.1 パート・アルバイトの社会保険加入要件はどう変わる?
賃金要件の撤廃(2028年6月まで)
これまで社会保険加入の基準の一つであった「月額8万8000円以上」という賃金要件が、最低賃金の動向を考慮しつつ、2028年6月までに撤廃される予定です。これにより、今後は収入額ではなく、週の労働時間が20時間以上かどうかが加入判断の主な基準となります。
企業規模要件も段階的に撤廃へ
勤務先の従業員数に基づく加入制限も、2027年10月から10年間かけて段階的に引き下げられます。将来的には、企業の規模に関わらず、労働時間などの条件を満たす全ての労働者が社会保険の対象となる見込みです。
今後の働き方を考える上でのポイント
この制度変更は、働き方に大きな影響を与えます。保険料の負担増による手取り額の変化、将来受け取る年金額の増加、健康保険の保障内容の充実など、様々な側面を考慮する必要があります。ご自身の家庭状況やライフプランに合わせて、働き方を再検討することが、これまで以上に重要になるでしょう。
また、扶養内で働く際の基準である「130万円の壁」についても、社会保険の適用が拡大していく中で、その位置づけが相対的に変化していくと予想されます。
5. まとめ:自身の「受給権」と「働き方のルール」をセットで確認しよう
ここまで年金とは別に受け取ることが出来る公的給付について詳しく見てきました。
申請することで受け取れる給付金になっておりますので、改めて要件と申請方法を確認するといいでしょう。
また、老後の生活は就労収入がなくなるため年金と貯金を取り崩す生活が一般的ですが、昨今では資産運用を活用しながら取り崩すという方法もあります。
預貯金を取り崩してく場合と比べると資産を効率的に活用できる可能性があるのでまずは自分自身で詳しく調べてみてはいかがでしょうか。
6. 【監修者のコメント】この記事の総括とこれからの実務上の注意点
シニア向けの公的給付において注意すべきは、管轄の異なる『年金』と『雇用保険』を同時に受け取る際に発生する併給調整ルールです。
60代前半で高年齢雇用継続給付を受給すると、連動して老齢厚生年金が最大で標準報酬月額の6%相当分、強制的に停止となります。
また、パートシニアに直結する『社会保険の適用拡大(106万円の壁撤廃方針)』も重要な実務ポイントです。今後は短時間労働でも厚生年金等の加入が義務化される範囲が広がり、目先の手取り収入は減ることもあるでしょう。
一方で、厚生年金への加入は将来受け取る『年金額の底上げ』に直結するメリットでもあります。
目先の手取り減少だけで就労時間をセーブするのではなく、給付金の受給権利と将来の年金増額分を合わせた『世帯全体の生涯キャッシュフロー』で損益を比較計算する視点が不可欠です。
参考資料
- 日本年金機構「初めて老齢年金を請求するとき」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 厚生労働省「再就職手当のご案内」
- 厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
- 厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
- 厚生労働省「「年収の壁」への対応」
筒井 亮鳳
